ベートーヴェンの「大フーガ」自筆譜が再発見
夕刊に出ていた。http://www.asahi.com/culture/update/1014/014.html
それを記念して、この難曲を二種類のバージョンで聴きなおしてみた。
まずは写真右側のオーケストラ(弦楽合奏)版。フルトヴェングラー指揮のベルリン・フィルハーモニカーによる1952年2月10日 ベルリン、ティタニア・パラストでのライヴ録音。(18'22")戦後のベルリンというわけではないが、重戦車の爆走をイメージするような猛烈な音楽だ。
ピアノソナタ第29番(ハンマークラフィーア)のフィナーレのフーガも難曲だが、こちらの大フーガはさらに難曲だ。しかし、巨大な音楽ゆえ、かえって大オーケストラによる合奏で聴く方がなんとなくわかったような気になることができるのではなかろうか?そういう意味で、ヴァインガルトナーが編曲したという「ハンマークラフィーア」のオーケストラ版を一度聴いてみたいと思っている。
ベートーヴェンが1827年の死の直前1825,1826年に、最後に完成させた弦楽四重奏曲群。その中に含まれている。もとは作品130の弦楽四重奏曲第13番のフィナーレ(第6楽章)として作曲されたが、すぐに独立曲として作品133が与えられ、新たな第6楽章が作曲されたといういきさつがある。上記の写真、アルバン・ベルク・カルテットの1980年代の録音では、この大フーガが作品130の6楽章目に入れられ、その後に現在の第6楽章が続いている。CDの操作によって、オリジナルの作品130と、改版された現在の作品130が聞けるという寸法だ。こちらの所要時間は、15'32"とフルトヴェングラー指揮の録音よりも3分ほど短いが、逆に長く感じられる。この大フーガという音楽が、弦楽四重奏というフォーマットに収まりきらないためではないかと想像する。
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「ベートーヴェン 大フーガ」でGOOGLEしたら、FCLAでコメントを拝見したことのある「炎のコンティヌオ」さんのページがヒットして、拝見したところ、丁寧な楽曲解説がありMIDIファイルで聴けるようになっていた。今でも活動されているようだ。
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二台のピアノの為のがあったことを知りませんでした。復活したエッシャンバッハとフランツ組が録音しそうですね。
フルトヴェングラー盤は、まるで「魔王」のようなオドロオドロシイ演奏のような印象があります。ベルクカルテットのCDは、LP初出だったので、そこまでの気が利いた企画があったかどうか。
投稿: pfaelzerwein | 2005年10月15日 (土) 05:15
pfaelzerweinさん コメンントありがとうございます。
「二台のピアノの為」と読んであれ?と思い元記事を読み直してみたら、今回発見されたのは、ベートーヴェン自身の死の前年のピアノ編曲版だったんですね。当然オリジナルの弦楽四重奏版だと思い込んでおり、恥ずかしい限りです。
エッシェンバッハはピアニストとして復活したのですか?フランツとのコンビは昔、FMラジオで音楽祭などに出演した実況録音をよく耳にしました。ブラームスのハイドン・バリエーションをエアチェックしてよく聴きました。今度の再発見楽譜を彼らが録音してくれるといいですね。
フルトヴェングラー/BPOの演奏は、確かに非常におどろおどろしいものです。
ベルク・カルテットの録音、LP初出だとすると、大フーガを通常の第6楽章の位置に置いたかどうかは疑問ですね。
P.S. こういう場合、楽譜の所有者のCOPYRIGHTはどうなるんでしょうね?
投稿: 望 岳人 | 2005年10月15日 (土) 10:03
私も連弾の為の編曲版のOpus 134自体を知りませんでした。それが今回の自筆譜ですね。その編曲過程も良く知らないのですが、筆の進め方にその解があると誰でも想像します。自筆譜を見ると必ず何かアイデアが見付かりそうです。
現行の楽譜が当時の写譜で、今回の譜を元に研究後に批判版の作成が予想されます。同時にファクシミリを直接当たりたい音楽家も多いでしょう。ファクシミリ版と云うのも使えますね。
オリジナルのニュース元はまだ見付かりませんが、普通は競り屋さんに持ち込む前に研究家に持ち込むのではないでしょうか?真贋を確かめる為にも。
ファクシミリは一度取れば、後は誰でもコピー出来ます。つまり、研究用に気軽に提供するのは普通と思いますが。望 岳人さんなら如何します?手垢やフケの科学測定でもさせるために、誰にもさわらせません?校訂しない限り著作権等は発生しないので、競売額への影響は殆んど無いですね。
そもそも三億円の価値は、楽譜屋さんや専門家には微塵も無いです 。骨董愛好家価値です。名器に似ていますね。
カルテットの初出のオランダ盤は第二面の最後に入っています。ただ自己プログラミングを当時は考えなかったでしょう。
投稿: pfaelzerwein | 2005年10月15日 (土) 15:10
連弾の二人ですが、ザルツブルクのサイトで見つけて復活と思ったら、昔の記録でした。訂正します。1983年のことです。
でも企画としては非常に面白い。どちらの方が今でも弾けますかね。序でにシュミットさんにも出てきてもらいますか。
サイト、色が変わってカラフルになりましたね。
投稿: pfaelzerwein | 2005年10月15日 (土) 15:18
pfaelzerwein さん、copyright関係で詳しいコメントありがとうございました。研究者としては高い価値があるのでしょうが、数億円の値段というのはoriginalの持つ骨董価値なんですね。
今回の編曲は最晩年の1826年とのことなので、わざわざ2台のピアノ版ということは、オーケストレーションも視野に入っていたのではないでしょうか?彼には第十交響曲を含む壮大な作品予定目録があったそうですね。
西ドイツのシュミット首相は、モーツァルトの3台のピアノのための協奏曲で第3ピアノを受け持ったのでしたか?
開設以来、これまでの「山手線」カラーだったのですが、ちょっと気分を変えてみました。
投稿: 望 岳人 | 2005年10月15日 (土) 21:17
その後作品目録などを調べてみたところ、今回再発見された自筆譜ですが、既にOp.134ということで出版されていたようです。新聞記事をよく読むと 「作品134」と書かれていました。
この自筆譜を元に、出版譜の原典版などが作成され新たに録音される可能性はあるでしょうが、まったく知られていなかった編曲が発見されたということではなかったようです。(ついそのように思い込んでいました。早合点を反省したいと思います。現在の出版譜での録音はあるのでしょうか?)
なお、「再発見」としたのは、既に出版譜があったことを認識していたのではなく、過去に売買の記録があったからという意味からあえて再発見としました。(アメリカ大陸の「発見」への異議と同じスタンスです)
かつて同じ場所で発見されたモーツァルトの自筆譜といい、欧州人が移住した欧州以外の地には、意外な宝物が眠っているんですね。
投稿: 望 岳人 | 2005年10月17日 (月) 09:24
この編曲の経過について改めて書きましたが、十分に調べていないので、また書き直さなければいけないかもしれません。四手の為の編曲でした。
CDは、新旧のビーレフェルダーカタログでは、三種類ほどあります。
A.ベルクカルテットの初出盤も大フーガを終曲として、最後の余白に小さな終曲がカッティングされていました。訂正しておきます。
投稿: pfaelzerwein | 2005年10月20日 (木) 08:46
pfaelzerwein さん フォローありがとうございます。
また、トラックバックありがとうございました。ビクトリアの先輩格の作曲家ですか。初めて知りましたが、そのような貴重な文化遺産が風前のともし火というのは悲しいことですね。
投稿: 望 岳人 | 2005年10月20日 (木) 23:39