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2005年11月の25件の記事

2005年11月28日 (月)

「フィガロの結婚」ベーム(1956)

figaro_boem_vso 1956年4月16日から22日 ヴィーン ブラームスザールでの録音。

指揮:カール・ベーム、管弦楽:ヴィーン交響楽団、合唱:ヴィーンシュターツオーパー合唱団、チェンバロ:ピルス

アルマヴィーヴァ伯爵:シェフラー、伯爵夫人:ユリナッチ、ケルビーノ:ルートヴィヒ、フィガロ:ベリー、スザンナ:シュトライヒ、マルチェリーナ:マラニウク、バルトロ:チェルヴェンカ、バジリオ:マイクト、ドン・クルツィオ:ディッキー、アントニオ:デンス、バルバリーナ:シュヴァイガー、村の娘:マイクル、フラス

モノーラル録音。1956年のモーツァルト生誕200年を記念して録音されたもの。当時のヴィーンシュターツオーパーの名歌手たちを起用。

このCDは、小学館モーツァルト全集の全巻予約の景品として入手したもので、入手困難かと思っていたが、オランダ・フィリップス盤で入手可能なようだ。

ヴィーンフィル(シュターツオーパー管弦楽団)が起用されていないのは、当時ヴィーンフィルがデッカと契約をしていたためだという。この前年、1955年にエーリヒ・クライバーの指揮で、ヴィーンフィルがデッカに「フィガロの結婚」を録音している。こちらは、ステレオ録音。LP時代に入手して、幾度となく聞いた。ギューデンが伯爵夫人、デラ・カーザがスザンナ、ダンコがケルビーノ、シエピが伯爵で、ベルがフィガロという配役。

CDでは、ベームとベルリン・ドイツ・オペラ ヤノヴィッツ、マティス、トロヤノス、ディースカウ、プライ(1968年)。ワルターのザルツブルクライブ(1937年)。DVDでは、ベームとVPO、ポネル演出の楽しい舞台が見られる。歌手は、テ・カナワ、フレーニ、ユーイング、そして68年でも活躍のディースカウとプライ。

2005年11月27日 (日)

無料ココログ開始

http://www.cocolog-nifty.com/about/

現在の有料版よりも高機能で無料。有料版のヴァージョンアップは来年の3月までかかるという。

無料版が始まったせいか、このところ非常に重い。こんなことなら@niftyを退会して、無料サービスを利用する方がお得ではなかろうか?

この件について@nifty社長が謝罪とのこと。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0511/30/news121.html

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲集 クレーメル

kremer_kashkashian_harnoncourt1 kremer_kashkashian_harnoncourt2 先日、ブックオフでモーツァルトのヴァイオリン協奏曲集を購入した。モーツァルトのザルツブルク時代19歳の時に一気に連作したK.207,211,216,218,219(第一番から第五番)のソロ協奏曲は、彼のヴァイオリン協奏曲ということで有名だが、彼の他の作品と比べるとどうしても若書きの印象が強く、あまり愛好する曲ではない。父が購入してきた、SERAPHIMシリーズのメニューヒンとバース音楽祭管弦楽団による3番と5番のLPで聞いたのが初めてだったせいもあるかも知れない。音楽が古典派的に構成的ではなく、かつての天才少年メニューヒンのヴァイオリンもあまり魅力的ではなかったから。モーツァルト自身、もっとも脂の乗り切ったヴィーン移住後には、ヴァイオリン協奏曲は残していない。彼自身、名クラフィア奏者として自ら評価しており、自作自演用のピアノ協奏曲の傑作には事欠かないが、残念なことに傑作と呼べるヴィオリン協奏曲は残してくれなかった。このほかには偽作しか残っていない。

ヴァイオリン協奏曲第6番変ホ長調K.268(K3=365b)(Anh.C14.04)(1780頃?)[3楽章]〔※1799年出版、偽作?(おそらくF.J.エックの作品)〕

ヴァイオリン協奏曲ホ長調K.Anh.294a(Anh.C14.05)「アデライーデ(Adelaide)」[3楽章]〔偽作〕〔※Marius Casadesus作曲?(1933)〕

ヴァイオリン協奏曲第7番ニ長調K.271a(271i)[3楽章]〔※1907年発見、偽作;271aはK2の番号〕

その後、小学館のモーツァルト全集(没後200年記念のフィリップス原盤のもの。来年の生誕250年にはどのような企画がだされるのだろうか?)に所収の、シェリングのヴァイオリンによるもの(どうして名盤のグリュミオー盤を収録しなかったのだろうか?)。

今回のクレーメル、アルノンクール/VPOという一癖ある組み合わせでも、モーツァルトのこれらの一連の協奏曲の魅力を再発見はできなかった。アルノンクールとVPOは、新年音楽会でも共演したことがあり、今となっては奇異な組み合わせとはいえないが、録音1983、1984、1987年当時は、意外な組み合わせだった。アルノンクールは、VPOを使って以前のコンセルトヘボウによる交響曲と同じく、硬い響きや突発的なアクセントを用い、「刺激的な」モーツァルトをVPOから生み出させている。クレーメルは、短いフレージングにより、歌うよりも訥弁で語るモーツァルトをイメージしているようだ。

ところで、パリから帰ったモーツァルトが書きおそらく自身Violistとして初演に参加したVn&Vaのための協奏交響曲K.364は、K300番台だけあり、充実した音楽になっている。ここで、クレーメルと共演しているのが、キム・カシュカシアンという美しいヴィオリスト。彼女の音は、豊麗ではあるが、このヴァイオリンにヴィオラが張り合うようなヴィオラにとっては難曲だと思われるこの曲でも一歩も引かない雄弁な演奏を聞かせてくれる。1983年10月ヴィーンでの録音。

ところで、クレーメルと彼女は当時結構共演していたようで、このほかにも1984年の3月にニューヨークで録音したモーツァルトのK.563の弦楽三重奏のためのディヴェルティメント(ヨーヨーマが共演)、1984年5,6月に珍しいアファナシェフのピアノで、K498のケーゲルシュタットトリオ(クラリネットの代わりにクレーメルのVn)と病のM.ハイドンのために代作したというVn&Vaのデュエット2曲を録音している。

kremer_kashkashian_ma kremer_kashkashian_afanassiev

いずれも大変すばらしい演奏だ。

なお、先日のチェクナボリアンと同様、彼女の姓は、アルメニア系だという。

P.S. 12/6 クラシック音楽のひとりごと の同じ協奏交響曲の記事にTBさせてもらった。

マカフィー Personal firewallの追跡機能

McAfee の VirusScan や Personal firewall は Symantecのノートンアンチウィルスや Trendmicroのウィルスバスターと並んで3大ウィルス対策ソフトとされているようだが、ノートンやウィルスバスターに比べて、日本での認知度は低いようだ。

ところで、このマカフィーの機能で面白いものとしていわゆるファイアーウォールソフトの追跡機能がある。公式サイトには、

マカフィー・パーソナルファイアウォールプラスは、高度なハッカー追跡機能を搭載。お客様のパソコンへの侵入を試みたハッカーの攻撃元を特定し、その攻撃ルートを世界地図でグラフィカルに表示。さらに、詳細なコンタクト情報、オーナー情報も表示します。

とあり、不正アクセスしてきたサイトを逆にたどれるような仕組みになっている。

昨夜は、中国からのアクセスが多く、現在はアメリカからのアクセスが多いようだ。まったく性懲りもなくアクセスするようで、一日つなぎっぱなしではないのだが、100件近い不正アクセスのブロックが記録される。

ノーガードPCは、おそらくこのような攻撃の餌食にされてしまい、ウィルス感染、スパイウェア埋め込み、ボット埋め込みにさらされるのだろう。

今アクセスしたきたのは、中国からで、USAのリッチモンドとタコマを経由して、日本のこのPCまで攻撃してきているようだ。BLOGなどで交わす情報交換以外にも知らぬうちにこのような不正アクセスが行われている。平穏無事な日常の裏面で暗躍する何者かの存在をこのときほど実感することはない。

2005年11月26日 (土)

ノートンからの乗り換え

以前のPCでは、ソースネクストが一時期マカフィーのサポートをしており、その関連でマカフィーを使っていたが、このソフトの負荷が重すぎて、古いPCはまともに動かなくなってしまった。(スタンドアローンでは動くのだが)

現在のPCを購入したところ、ノートンアンチウィルスがプレインストールされており、2ヶ月無料トライアルが可能だったが、そろそろ期限が切れるので、ノートンを慎重にアンインストールして、まだたっぷり有効期限が残っているマカフィーに乗り換えた。

この、インターネットの無法状態では、無防備PCは数十分でウィルスだらけにされるというから、アンチウィルスソフトのインストールは不可欠なのだが、インターネットという文明の利器にもこのようなウィルス、スパイウェア、ボットなどが蔓延するというのは、人間のサガなのだと思うと憂鬱になる。

2005年11月21日 (月)

Werther という綴り

日本では森永製菓が販売しているヴェルタースオリジナルというキャンディーがある。

Werther's と綴ってある。Googleで検索してみると、ゲーテとかウェルテルとかが出てくるので、どういうことだろうと最初の内はわからなかったが、よく綴りを見るとドイツ語の旧式な読み方をするとヴェルテルではないか!つまり、このスペリングが、「若きウェルテルの悩み」の Werther なのだ。

ヴェルターとウェルテルが同じとは、「ギョエテとは誰のことかとゲーテ言い」よろしく、まったく気が付かなかった。

ところで、こんな初歩的な発音のことではないが、このヴェルタースを調べていたところ、ドイツ文学者の方のサイトが見つかった。この「ウェルテル」関係の誤訳の記事もあった。また、今テレビアニメで親しいアンデルセンの誤訳の指摘もあった。よく翻訳書で、どうにも自然に意味が取れない部分があり、これが理解できない自分の頭脳を呪うことが若い頃にはよくあるが、このような誤訳が含まれた翻訳書が大手を振って出版されているということを普通は知らないので、多くは無意味な努力をさせられている場合もあるのだろう。最近では、研究が進み、難解な哲学書であってもそれなりにこなれた日本語に訳されているものも増えているという。このような点では、コンピュータによる情報の蓄積が大いに役に立つのではなかろうか?(容易にテキストや各種翻訳文を並べて比較もできるし、検索機能も役立つ)。

2005年11月20日 (日)

Thunderbird 使用開始

新型PCに乗り換えてからしばらくは、WEBメールのまま使っていたが、ローカルなプログラムよりも反応や一覧性が鈍いので、既定のOutlook Expressを使用し始めた。ところが、最近は、spammailや迷惑メールが一日に十件近く届き、WEBメールではフィルタリングをかけていても、Outlook Expressでは受信してしまい、メールアドレス禁止をかけても、毎回異なった擬装アドレスを使うらしく、まったく途絶えないため、以前からその便利さを聞いていて、一度業務でも試用してみた Mozilla の thunderbird というメーラーを使うことに決めた。

OutlookExpressのメールボックスには結構大量のメールが保存されていたので、移行は一発では完了しなかったが、ツールによって移行した後、既定のフォルダに移動するなどして、使用環境を整えた。

早速、海外からspamメールが届いたが、自動的に迷惑メール印がつけられており、感心した。これで、spamメールに悩まされることは少なくなりそうだ。

このメーラーの欠点は、少々動作がもっさりしていることくらいだろうか?

スター選手たちの活躍が目立った昨日今日

テニスの全日本選手権では、日本人最年少プロの森田あゆみ15歳。

フィギュア女子では、15歳の浅田真央が、グランプリ大会のひとつフランスカップで優勝(シニア大会では初優勝)、残念ながら年齢制限7月に15歳の条件を満たさず今回のトリノ五輪には出場できない。

プロゴルフでは、宮里藍が、暫定賞金女王に立つ逆転優勝。

今日はまた、あのマラソンの高橋尚子が、二年ぶりのマラソンで復活優勝を遂げた。もうだめだろうと多くのファンが思っていたのを覆すすばらしい復活ぶりだった。33歳。心機一転巻きなおしがこうも見事に成功するのは見たことがない。気象条件がよかったとはいえ、日本選手中第二位が2時間30分を切れないという中、24分台での優勝はすごい。こうなると二年前のエネルギー切れでの失速は返す返すも惜しかった。恐るべし、Qちゃん。

そして、世界的な価値という意味では一番の、スピードスケート「男子500メートルで加藤条治(日本電産サンキョー)が34秒30の世界新を樹立し、W杯初勝利を挙げた。従来の記録は2001年3月に清水宏保(NEC)が同じリンクでマークした34秒32で、4年8カ月ぶりに0秒02塗り替えた。(時事通信)」 世界記録を日本選手が保持しているというのはすごいことだ。比較的スケート人口の少ない山形県が生んだ天才。彼もまだ20才そこそこ。なお、第一人者清水の30歳を越えてもなお未踏の領域を目指す姿勢もすごい。

2005年11月19日 (土)

Beaujolais nouveau 2005

200511_011 2005年の新酒をいただいた。(これはセブンイレブンで購入した約2600円もの、某ナンバーワンソムリエご推奨。朝日新聞でも一面広告で掲載されていた。)

某ナンバーワンソムリエによると「2005年は好天に恵まれ、フランスワインにとっては最良の年のうちのひとつとなった」らしい。

ボーイスカウトの父兄会のお好み焼き売りの活動で疲労困憊したが、父兄会の人たちの協力により何とか大過なく終えることができてよかった。そのお祝いと先日の妻の誕生日を祝ってコルクを抜いた次第。

昨年は知人から同じ銘柄のボージョレーヌーボーをいただき、乾杯したので、比較できればいいのだが、昨年がブドウジュース的だったのに比べると、香りも味も今年の方がより葡萄酒的だといえるだろうか、と言ったら言いすぎだ。(少々酔い=良い加減)。

こういうときは、ディオニソス的なベートーヴェンの7番でも聞きましょうか?定番のカルロスではなく、少々お蔵入り気味のレニーのCDを選択。

2005年11月17日 (木)

弦楽器のヴィブラート奏法の始まりは?

昨晩、アンナー・ビルスマのチェロによるブラームスのチェロソナタ第1番をヘッドフォンで聞きながら就眠したが、そのノンヴィブラート奏法による少々滑稽で野暮ったく感じられる音色と語り口を聞きながら、そう言えば、弦楽器のヴィブラート奏法はいつ頃から一般化したのだろうと思った。

というのは、確かあるBLOGで、マーラーの第1交響曲をノリントンが初演当時奏法や楽器を用いるピリオドアプローチで演奏したというCDのことを読んだ記憶があるのだが、その記事に、マーラーのこの曲の初演当時は、ヴィブラートが用いられていなかったというコメントを読み半信半疑だった。19世紀後半のヨーロッパのオーケストラ演奏がそうであるなら、あの濃厚で官能的な弦楽合奏をベースにした音響で我々を酔わせるヴァーグナーやリヒャルト・シュトラウスの多くの曲もそのように演奏されていたのだろうか?当然ブラームスやブルックナーの管弦楽曲でもノン・ヴィブラートだったのだろう。たとえば、弦楽合奏が生命の営みのように無限旋律を奏でる「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲を、ノン・ヴィブラートでやればいったいどうなるのか?

現代の弦楽器奏法ではヴィブラート奏法が当然のようになっているが、その起源は相当新しいのだとすると、楽器の相違もあるだろうが、前述のビルスマのような音が盛期・後期ロマン派でも当たり前だったのだろうか?

現在、既に古典派以前ではモダンオケでもノン・ヴィブラートを用いるようになりつつあるが、20世紀以前のロマン派もそうなるとすると、音楽へのイメージが相当変わるような気がする。

2005年11月15日 (火)

さまざまな無料BLogサービス

ニフティーサーブのパソコン通信の時代からの縁で、現在も@niftyのcocologサービスを@nifty会員料金で使っているが、その他にも多くの無料サービスがあるようなので、そのうちのいくつかを試用してみようと思う。

1. goo  http://blog.goo.ne.jp/

     細かい設定が可能。

2. excite  http://blog.excite.co.jp/

     全体的に使いやすい      

3. doblog  http://www.doblog.com/weblog/PortalServlet 

      容量無制限のせいか、非常に重い。

4. google まだ登録だけ

などなど。

2005年11月14日 (月)

DVDのBURNING

この土日は、DVCからのDVDを作成に取り組んだが、結果的には再び落ち込んだ。

現在のソフトとDVD-DRIVEの組み合わせでは、最も性能がいいとされる太陽誘電のDVD-Rでもどうやらだめだ。8倍速対応なDVD-Rだが、4倍速でファイナライズエラー、2倍速ではと試したら同じエラー発生。家電のDVDプレーヤーにはかからず。PCのDVDドライブとソフトでは視聴可能だが、DVDドライブ制御が異常になるようで、使えない。

DVD-RWは何とか使えるので、まずはこれで保存用のディスクを作成しておこうと思う。

次には、もっと評判のよいDVD BURNINGソフトを入手して使って見たい。またその内、外付けドライブの購入も考えたい。

どうもこの東芝サムソン製のTSというDVDドライブは外れだったようだ。某巨大掲示板を見ると、HDDも光学ドライブも、LCDもいろいろなメーカーの部品を使用していて、当たり外れがあるようだ。コンポーネントの品質がマチマチということになると、このようなグローバルなBTOも善し悪しというところだろう。次回の購入時の選択には慎重になってしまう。

国内メーカーもどんどん廉価になっており、ジャパネットのテレビショップでは、富士通製のノートPC(メモリは256MBでセレロン?)とHPのオールインワンプリンタ(私のより1ランク上の)が合計で11万円ほどだった。

このHPの機種は他はあたりだったので、このDVD-DRIVEの外れは残念だ。

(もともとこのような廉価PCでのDVD BURNING自体が欲張りすぎという意見が某掲示板にあったが、安かろう悪かろうではブランドイメージを落とすだけだと思うので、まともなDVD-DRIVEをまともな値段で提供してもらいたかった)

2005年11月12日 (土)

テクノラティ プロフィール

<a href="http://www.technorati.com/claim/uwtx359r2e" rel="me"></a><a href="http://www.technorati.jp/profile/MochiTakehito">テクノラティプロフィール</a>

童門冬二 小説「二宮金次郎」

風邪で寝ている間に、先日ブックオフで購入した文庫(上下)を読んだ。先の上杉鷹山もそうだったが、この人物も内村鑑三「代表的日本人」に取り上げられた人物ということで、著者が取り組んで小説にしたということだ。

薪を背に負いながら読書をする少年像は、私の少年の頃の田舎の小学校には未だ残っていたが、今ではほとんど目にすることはなくなってしまった。

戦前小国民の模範としてあまりにももてはやされたために、その後の「民主化」により、反動的、封建的だとしてまったく省みられなくなった人物の代表だという。私にしても、神奈川県に引っ越してきて、小田原市が二宮尊徳の生まれ故郷だということを知りはしたが、子供たちに質問されても、彼の事績がどのようなものだったのかを説明できなかった。

この小説は、二宮金次郎の伝記的なものではなく、その半生を描いたもので、読了してみて少々物足りなさを覚えたが、尊徳を知る手がかりにはなったと思う。

Google desktop β版をアンインストール

Googleからdesktop検索のβ版の日本語版が出たので、インストールして使ってみたが、今のところあまり有用ではなく、アンインストールした。

自分のPC内に多くの情報がストックされれば便利なのだろうが、個人使用ではそれほどではない。会社のPCにインストールすれば、多分数年前のあの資料、データをキーワードで探せるので非常に有用だろうとは思うが、WINDOWSのバージョンが古いのでそれもかなわない。

MSNサーチツールバーでもデスクトップ検索が可能になり、それをインストールするとIEがタブブラウザにはや代わりするという。しかし、デスクトップ検索は、絶えずハードディスク情報をリスト化しようと、アクセスするので、ハードディスクがチリチリ音を立て、それが気になることが多い。当面は様子見としよう。

ボロディン 交響曲第2番 チェクナヴォリアン ナショナルフィルハーモニー管弦楽団

1883/11/12 ボロディン(Borodin.Alexander Porfiryevich) 誕生 ロシアの作曲家

borodin ボロディンの代表作、交響曲第2番 ロ短調、交響詩「中央アジアの草原にて」、歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」など。

チェクナヴォリアンはアルメニア人。トルコとの紛争により、イランに逃れてきてそこで成長したのだという。

だったん人とは、タタール人、モンゴル族の一派をさすのか、チェクナヴォリアンと因縁の浅からぬ「ロシア連邦領内のトルコ系諸種族の総称。主に回教・シャーマニズムを信奉する。蒙古系の韃靼とは別。(Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988)」を指すのか?

なお、だったん人の踊りの合唱は、先日フォーレの「ラシーヌの雅歌」で取り上げて、ジョン・オールディス指揮の合唱団が担当している。

交響曲第2番は、あのカルロス・クライバーが取り上げたことが話題になった。チャイコフスキーの悲愴と同じ調性だが、陰鬱さはまったくなく、むしろ逞しさを感じる曲想だ。

ボロディンといえば、弦楽四重奏曲の「夜想曲」の楽章が思い出される。なにゆえ突発的にあのような美しいメロディーを書いたものか?

p.s. 風邪がはやっており、木曜日、金曜日は休養をとって臥せっていた。

2005年11月 8日 (火)

フランクの作品を聞く

      franck_ormandy franck_kantrow       franck_thibaud                                                 1890/11/8 フランク(Franck.Cesar)没67歳(誕生:1822/12/10)フランスの作 曲家 。

セザー ルフランクの命日に手元にあるフランクの作品を聞いた。LPでは、マルティノン、ビーチャムの交響曲と、パレナン四重奏団の弦楽四重奏曲、パールマンとアシュケナージのヴァイオリンソナタ(併録は、タックウェルを交えてのブラームスのホルントリオ)があるのだが、現在の手持ちは上記三枚のみ。

オーマンディとフィラデルフィアのフランクは比較的珍しいと思うが、ピアノと管弦楽のための交響的変奏曲は、カサドシュとの共演。また「英雄的な・・・」というオルガン曲も収録されている。

セザール・フランクは、ベルギーのリエージュ生まれで、肖像画的にも同じフランドルが祖父の出身地(メッヘレン、メケレン、マリーヌという別名で呼ばれる)のルートヴィヒ・ファン・ベートヴェンとの類似が存命当時から指摘されていたという。フランドルと言えば、ルネサンス時代の多くの大作曲家を輩出した土地だ。オケゲム、オブレヒト、イザーク、ウィラールト、ゴンベール、ラッソ、デ・モンテ(メッヘレンの出身)。ジョスカンなども含まれるかも知れない。

長らくオルガニストとして、パリ・コンセルヴァトワールの教授として務めた後、弦楽四重奏曲で作曲家として認められ、交響曲、ヴァイオリンソナタの傑作を残してくれた、セザール・フランク。教科書的には循環形式の作曲家とされるが、交響曲は、フランス的というより、ドイツ的重厚さを強く感じさせてくれるが、ヴァイオリンソナタは、不思議な浮遊感があり、どこかしら官能的でもある。

この傑作ヴァイオリンソナタとの出会いは高校時代の音楽鑑賞だった。誰の演奏だっただろうか?1970年代だったので、グリュミオーとハイデュ盤だったかもしれない。

その後LPではコスモポリタン的な演奏のパールマンとアシュケナージで聞いていた。また、エアチェックしたテープでは、ギトリスとアルゲリッチのをよく聞いた。

その後、CDで歴史的名盤、なんと1929年という古い録音のティボーとコルトーのを入手したが、いくらティボーのヴァイオリンがすばらしいとはいえ、録音が古く、特にフィナーレのコルトーのピアノパートが完全に弾ききれていないこともあり、そうは楽しめない。

カントロフとルヴィエ盤は、その点完全に満足だ。録音もよく、カントロフの美しいヴァイオリンの音色が楽しめる。ルヴィエのピアノも冴えている。

2005年11月 7日 (月)

著作権についての面白いエッセイ発見

小寺信良:人は後世に何を残せるか 「著作物であるかどうかは、時として我々のイメージとズレていることがあり、そこに著作権法の限界を感じる。芸術性を認めながら人間の創造性を保護し、かつ多くの人の幸福に貢献するのは、もうこの法律では無理なのではないだろうか。」というもの。

文筆家の多くが、ベストセラーの新刊書を図書館が大量購入するのに反対するというが、その神経が信じがたいと思っている。また、いわゆる書籍の流通に縛りをかける再販制度も他の面では正義派ぶっている文筆家の多くが、この制度擁護の署名活動を展開していた。誰しも自分の金銭的利益には盲目になるようだ。

現代人は、権利=金銭的な利益に縛られすぎているのではなかろうか?要するに交換価値がなければ(売れなければ)、価値がないとみなしていることと同義だからだ。芸術的な価値は金銭と等価交換できるとでも考えているのだろうか?

そのように考えているので、上記のエッセイであの谷川俊太郎氏が自分の著作権を守るために教科書会社を訴えたというのはショッキングだったし、このエッセイの内容にも共感を覚えた。

死後50年、70年間の権利維持は、顔も見られない子孫の生活を保障するための著作権保護ではなく、企業の利益を守るためのものだ。文筆家や作曲家などの活動期や老後にそれなりの生活基盤を与えるためには、印税による収入を不労所得として高率の税金を掛ける税体系を改めることも有効ではなかろうか?現代日本での高額所得者である漫画家などは、一回ベストセラーを生み出してしまうと、その税金の支払いのために非常に苦労を強いられているというではないか。

このエッセイの中では、料理のレシピや盛り付けなどが著作権保護の対象にならず、それを単に写真に収めた写真に著作権が発生するという本末転倒の事例が紹介されていた。いわゆる銘菓でも、ヴィーンのザッハートルテではないが、まったくの類似品が売り出されたとしても著作権(copyrright)の保護対象にならず、似たような菓子が全国に出回ってします。仙台の「萩の月」という菓子がオリジナルだと思うが、その類似の菓子がいまや全国各地で売り出され食べられるようになっている。

(以前もそうだったが、著作権については、まだまだ考えがまとまらず、こんな風に思いつきだけ書きなぐるばかりだ。)

ドイツ トリア(TRIER)のローマ遺跡

日曜日の夜、アニメ「雪の女王」と大河ドラマ「義経」の間に、「NHKとユネスコがお送りする」世界遺産の短い番組紹介がある。昨夜は、ドイツのトリーア(トリア)のローマ遺跡とモーゼルワインを紹介していた。

(本編は毎日平日の午後5時頃放送されるらしいが、名曲アルバムもそうだが、ゴールデンタイムの幕間に放送すべきではないのだろうか?世知辛い話だが相当受信料を費やしているはずだから、そのような番組を一般の受信料負担者が容易に享受できないのはおかしい。また、後日この公共放送が制作した番組をソフトウェアとして売る場合には、受信料負担している我々への還元はないのか?)

これまで寡聞にして、この町の名前とローマ遺跡のことは全く知らなかった。家族も同様。ケルンがローマの植民都市 COLONIA に由来し、ローマ帝国の版図だったということは聞きかじっていたのだが、このような遺跡が豊富に残り、帝国有数の都市がドイツ国内のルクセンブルクのすぐ近くにあったとは!黒い門(ポルタ・ニグラ)や、今も現役のローマ時代のアーチ橋、円形競技場、コンスタンティヌス時代のドイツ最古の教会などが紹介された。

モーゼルワインの葡萄畑で、von某という男性が、「この葡萄作りはローマ人が我々の祖先に伝えてくれたもの」と語る字幕スーパーが出たが、そのローマ人こそvon某さんの祖先じゃないのだろうか?2000年も昔のことだけど。

ネットで調べてみたら、「トリア、ローマ遺跡」で多数ヒットした。その内の一つがこれ

パリはなぜ燃えているのか?

パリ郊外で起きた暴動がフランス全土に広がり、パリ中心部にも侵入する様相だという。

きっかけは、アフリカ系の2名の少年が変電所へ侵入して感電死したことによるとの報道だが、なぜこのような事態に立ち至ったのだろうか?

現在の報道によると、暴動の主役は、アフリカ系およびアラブ系の住民らしい。このような暴動に至る背景には、相当なストレスが彼らにかかっていたことをを想像させる。先年の、ムスリムを信仰する女学生が、ベール(スカーフ)の着用を法律で禁じるという、自由と民主主義の祖国フランスらしからぬ立法措置のニュースを聞き、疑問に思ったが、そのような保守的な宗教差別・民族差別的な政治姿勢が、いわゆるフランス植民地支配の負の遺産ともいえる移民層への社会的な差別を助長しているのではなかろうか?

先のロンドン同時多発テロの際にもまったくの無実の非欧州系の男性が、白昼堂々雌伏警察官により追い回されて射殺されるという異常な事件が起こったばかりだ。全世界を覆うイスラム系のテロリズムによる社会不安をこのままにしていてはいけないが、そのよって来る淵源に思いを馳せることが必要ではなかろうか?要するに、貧困とその撲滅である。

2005年11月 6日 (日)

11/6が記念日の作曲家の音楽を聴く

sousa_marches_bernstein1854/11/6アメリカの作曲家スーザ(Sousa.John Philip)誕生

バーンスタインとニューヨーク・フィルハーモニックによるマーチ名曲集に含まれている、「ワシントン・ポスト」「忠誠(Semper Fidelis)」「雷神(The Thunderer)」「海を越える握手(Hands across the sea)」「星条旗よ永遠なれ(Stars & Stripes Forever)」を聞く。60年代後半から70年ごろの録音。ニューヨーク・フィルハーモニックのメンバーをマーチングバンドとして編成したものだろうか?エネルギッシュだが、「レコード芸術」としては仕上げが粗く、鑑賞にはつらい部分がある。スネアドラムは走り気味だし、肝心のブラスセクションも音色が磨かれていない。屋外でマーチに使うなどの実用的にスピーカーから流れるにはいいのかも知れないが。

paderwski_minuet_in_g 1860/11/6 パデレフスキ(Paderewski.Ignacy Jan) 誕生 ピアニストで作曲家「メヌエット」を作曲した再生ポーランドの初代首相を務めた

このCDは、NAXOSの多く録音しているピアニストのナジ、ソコライの演奏のアンソロジー。邦題では「乙女の祈り おばあちゃんのピアノ・アルバムからの数ページ」とでもいおうか。この中に パデレフスキの「ト長のメヌエット作品14の1」がソコライの演奏で収められている。(同様に名ピアニストのアントン・ルビンシテインのへ長のメロディも併録)

tchaikovsky_1812_maazel 1893/11/6 チャイコフスキー(Tchaikovsky.Pyotr Ilich)が生水を飲んでコレラにかかって没(自殺説もある)53歳(誕生:1840/05/07)作曲家

命日と言えば、その初演直後の死去ということで「悲愴」交響曲が当然のように思い浮かぶのだが、荘厳で派手な序曲「1812年」で偲ぶことにした。かつて、ベートーヴェンの「ウェリントンの勝利」と確かカップリングされていたマゼール指揮ヴィーンフィル、シュターツオーパー合唱団による聖歌も聴ける録音。

roussel_ansermetdindy_montagnar_francais 1965/11/6 ヴァレーズ(Varese.Edgard)没81歳(誕生:1883/12/22)作曲家「ハイパープリズム」を作曲した

dtv-Atlas zur Musik 日本語版には、20世紀/新古典主義Ⅲ:ドイツ、アメリカのページにヴァレーズの記述あり。それによるとパリ生、ルーセル、ダンディ、ヴィドールに師事とある。前述の邦訳「超分光器」や「アンテグラル」「イオニザシオン」などFM放送でかつて耳にしたことがあったことがあるかも知れないが、手持ちの音源はないので、師匠たちの作品のCDで。左はアンセルメとスイスロマンドによるルーセルの「蜘蛛の饗宴」と交響曲No.3,4。右はボドとパリ管、チッコリーニによる「フランスの山人の歌による交響曲」。

ヴァレーズというと現代音楽の作曲家というイメージが強いが、フランクの弟子であるダンディやフランクの影響を受けたルーセルを通じてフランクにつながるというのも面白い。

2005年11月 5日 (土)

メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 コーガン マゼール/ベルリン放送交響楽団

men_bruch_kogan 昨日の命日にちなんでメンデルスゾーンのCDをいろいろ取り出してみたら、相当以前に購入したコーガンの独奏ヴァイオリンによるメンデルスゾーンとブルッフの協奏曲のカップリングがあったことを思い出して、メンデルスゾーンを聞いてみた。(1974年11月 ベルリンのグリューネヴァルト教会での録音で、58歳で若くしてなくなったコーガンの50歳を記念しての録音だったという。)

LP時代は、父親が購入してきたCBSソニーの歴史的名盤シリーズでモノのフランチェスカッティとミトロプーロス/ニューヨークフィルハーモニックの演奏によるメンチャイに親しんできた(今年の夏の記事にそのジャケットを載せてある)。フランチェスカッティの音が非常にアップで収録されており、ギリシャ生まれの名指揮者によるオケはBGM的に鳴っているかのような録音で、まさにフランチェスカッティの妙技と美音を堪能するための音盤だった。

これが刷り込みになっているので、実演でブルッフを聞くための予習用にこのCDを買ったときには、このメンデルスゾーンはあまり真剣に聞かないでいた。コーガンといえば、後に池田満寿夫夫人となった天才少女ヴァイオリニストの佐藤陽子がモスクワで師事したということを夙に知っていた程度だった。マゼールが伴奏指揮をするのも比較的珍しいものだ。

今日の秋晴れの一日、古いステレオの調子もまあまあで、コーガンの端整な解釈により、澄み渡って切れるかのような冬の快晴の空気の如き音色により、メンデルスゾーンを十分楽しむことができた。

2005年11月 4日 (金)

メンデルスゾーン 無言歌 田部京子

mendelssohn_lieder_ohne_worte メンデルスゾーンの命日に因んで、彼の無言歌集の選集を田部京子のピアノで聞く。

1993年スイスでの録音。少々低音が膨らみ勝ちな音響だが、それがかえって暖かさをかもし出してくれているようだ。

メンデルスゾーンが、1809-1847の短い生涯の間に書いた「歌詞のないリート」(無言歌)は全部で50曲を超える(番号付は48番まで?)そうだが、ここではそのうち25曲が選ばれている(確か、全曲はバレンボイムが録音していたのではなかったろうか)。ほとんどが3分前後の所要時間(現代のポップスなどもその程度の時間のものが多いようなので、小曲の規模はその頃から変わらないものかも知れないなどと思ったりする)。

「歌詞のあるリート」で私が知っている曲はハイネの詩による「歌の翼に」作品34-2があり、作品目録をみればそれなりにリート作品もあるようだが、先輩のシューベルトや一歳後輩のシューマンのように連作歌曲もなく、また彼が幼少の頃親交のあったゲーテの詩によるリートも数えるほどしかないようだ(歌詞のある曲としては、オラトリオや多数の詩篇、カンタータ、モテットなどいわゆるプロテスタントの宗教曲は多数あるのだが)。

ユダヤ教のソクラテスと呼ばれた哲学者モーゼス・メンデルスゾーンを祖父に持つヤーコプ=ルートビヒ=フェリックスの属する富裕な銀行家(俗な言葉で言えば「金貸し」)メンデルスゾーン=バルトルディ家がユダヤ教からプロテスタントへ改宗したは以前の記事でも書いたことがあった。

ナチスはその彼の音楽の演奏をユダヤ人ゆえに禁じ、同じユダヤ人のハイネの詩も火に投じた。しかし、同じユダヤ系のシュトラウス一家のワルツやポルカは、ヒトラーが愛好したという理由で、演奏に制限がなかったのだという。政治権力の恣意を典型的に示す例だと思う。

2005年11月 3日 (木)

フォーレ ラシーヌの雅歌

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フォーレの命日の前日に、懐かしい「ラシーヌの雅歌」を聞いた。

イギリスの合唱指揮者ジョン・オールディスが、パリ市およびフランス文化省の援助を受けている「グループ・ヴォカール・ド・フランス」という小規模コーラスを指揮して、1983年に録音した フォーレの合唱曲集。

このCDは、「フォーレ ラシーヌ讃歌」(FAURÉ QUANTIQUE DE JEAN RACINE)という題名のもの。マドリガル作品35など3曲の世俗曲を除き、カトリックの宗教曲集となっている。

同様の少人数のコーラス団体が、イギリスには枚挙の暇もないほどあり、その活躍が目立つためだろうか、このフランスの団体はこのCDでしか名前を聞かない。また、そのイギリスを代表するタリス・スコラーズなどの歌手の質に比べると少々聞きおとりがすることも理由かもしれない。ただ、フランスの団体ということで、フランス語の発音はオーセンティックなものだろうと思う。 

「ラシーヌの雅歌」は、このCDのジャケットのように「讃歌(賛歌)」という訳が多いようだが、解説パンフレットでは、「ラシーヌ(の)雅歌」と訳されており、その点について原明美氏が解説している。旧約聖書の雅歌(ラテン語でCanticum canticorum 「歌の中の歌」の意味)に対応するQUANTIQUEという題名なので雅歌が適当なのだろう。

追記:2010/7/18(日) アクセス解析をみると、この記事は比較的多く読んでいただいているようなので、改めてジャン・バチスト・ラシーヌによる歌詞の翻訳を読んでみた(ネットで読める翻訳)。旧約聖書的な、つまり雅びな恋愛詩である「雅歌」とはまったくことなる内容であるのは当然として、「讃歌」という訳語はラシーヌ自身を褒め称えるようなニュアンスが生じるので、わざわざQuantique (Cantique) という言葉を使ったことは保留して、単純に「ラシーヌの歌」というのが座りがよいように思えてくる。

この曲は、20代にコーラスを少しかじっていた頃に、合唱団で原語で苦労して歌ったことのあるもので、その際にこのCDを参考用に購入して大変お世話になった。この「ラシーヌの雅歌」は自分が属するベースパートからメロディーが開始されるので、ルネサンスのミサ曲などと並び結構歌い甲斐がある曲だった。

最初の方で、このCDの演奏について少々ケチをつけたが、フォーレの「レクィエム」以外のコーラスを聴くには、大変よいものだと思う。

なお、先日、ガーディナー指揮モンテヴェルディ合唱団によるフォーレの「レクイエム」を購入したおりに、このCDにも含まれている「マドリガル」作品35が収録されていたが、その静謐なハーモニーはすばらしいものだった。

追記:2010/7/14  ヴォーカルスコア(IMSLP) Cantique de Jean Racine, Op.11 (Fauré, Gabriel)

追記:2010/7/18(日) Youtube Choir of St John's Collegeによる演奏

Youtubeでは沢山の Cantique de Jean Racine がアップされている。これは英国ケンブリッジ・ユニヴァーシティの名門 The Choir of St John’s College, Cambridge による歌唱、演奏。男声パートが大きめに録音(演奏)され安定感がある。フォーレとしては少し軽やかさが不足して劇的に過ぎるという意見もあるだろうが、ボーイソプラノ、アルトの伸びやかさもあり、聴き応えがある。

同じくYoutube。このOneman chorus (オルガンも自身で演奏しているらしい)は、フランス語のネイティヴスピーカーのものらしく、フランス語の軽やかな発音を聴くことができる。歌唱は正統的なコーラススタイルではないけれどワンマンだけあり溶け合いが素晴らしく、オルガンも一人で弾いているらしい。(2012/04/28 フランス語のネイティヴスピーカーかどうかはわからないが、http://www.youtube.com/user/cuicuimusic から辿れるブログ情報によると http://www.blogger.com/profile/00763818392161777158 ロンドン在住の男性らしい。ブログはフランス語で書かれているので、フランス語ネイティヴスピーカーだろうか?)

2005年11月 2日 (水)

11月の音楽史カレンダー

11月の音楽史カレンダー

歴史データベース on the Web のデータによる

11/1/1942 ディストラー(Distler.Hugo)没34歳(誕生:1908/06/24)作曲家でオルガン奏者
11/2/1739 ディッタースドルフ(Dittersdorf.Karl Ditters von) 誕生 ヴァイオリニストで作曲家「医者と薬剤師」を作曲
11/3/1587 シャイト(Scheidt.Samuel) 誕生 作曲家でオルガン奏者「新譜表」を著した
11/4/1719 レオポルド・モーツァルト(Mozart.Leopord) 誕生 作曲家「オモチャの交響曲」を作曲した
11/4/1847 メンデルスゾーン(Mendelssohn.Felix)没38歳(誕生:1809/02/03)ドイツの作曲家
11/4/1924 フォーレ(Faure.Gabriel-Urbain)没79歳(誕生:1845/05/12)フランスの作曲家
11/6/1854 アメリカの作曲家スーザ(Sousa.John Philip)誕生
11/6/1860 パデレフスキ(Paderewski.Ignacy Jan) 誕生 ピアニストで作曲家「メヌエット」を作曲した再生ポーランドの初代首相を務めた
11/6/1893 チャイコフスキー(Tchaikovsky.Pyotr Ilich)が生水を飲んでコレラにかかって没(自殺説もある)53歳(誕生:1840/05/07)作曲家
11/6/1965 ヴァレーズ(Varese.Edgard)没81歳(誕生:1883/12/22)作曲家「ハイパープリズム」を作曲した
11/8/1890 フランク(Franck.Cesar)没67歳(誕生:1822/12/10)フランスの作曲家
11/9/1801 シュターミツ(Stamitz.Carl)没56歳(誕生:1745/05/04)作曲家51曲の交響曲の作曲を行った
11/9/1974 ヴェレス(Wellesz.Egon)没89歳(誕生:1885/10/21)音楽学者で作曲家
11/10/1668 フランスの作曲家クープラン(Couperin.Francois)誕生
11/12/1833 ボロディン(Borodin.Alexander Porfiryevich) 誕生 ロシアの作曲家
11/12/1948 ジョルダーノ(Giordano.Umberto)没81歳(誕生:1867/08/28)作曲家「アンドレア・シェニエ」を作曲した
11/12/1976 ピストン(Piston.Walter)没82歳(誕生:1894/01/20)新古典主義作曲家「不思議な笛吹き」を作曲した
11/13/1868 ロッシーニ(Rossini.Gioacchino)没76歳(誕生:1792/02/29)イタリアの作曲家
11/14/1778 フンメル(Hummel.Johann Nepomuk) 誕生ドイツの作曲家でピアニスト
11/14/1900 アメリカの作曲家コープランド(Copland.Aaron)誕生
11/14/1946 ファリャ(Falla.Manuel de)没69歳(誕生:1876/11/23)スペインの作曲家
11/14/1988 ドラティ(Dorati.Antal)没82歳(誕生:1906/04/09)指揮者で作曲家
11/15/1787 グルック(Gluck.Christoph Wilbald)没73歳(誕生:1714/07/02)ドイツの作曲家
11/15/1986 タンスマン(Tansman.Aleksander)没89歳(誕生:1897/06/12)作曲家「ポーランド狂詩曲」を作曲した
11/16/1766 クロイツェル(Kreutzer.Rodolphe) 誕生 フランスのヴァイオリニストで作曲家
11/16/1895 ヒンデミット(Hindemith.Paul) 誕生 ドイツの作曲家
11/17/1952 弘田龍太郎没60歳(誕生:明治25(1892)/06/30)作曲家
11/17/1959 ヴィラ=ロボス(Villa-Lobos.Heitor)没72歳(誕生:1887/03/05)ブラジルの作曲家
11/18/1786 「魔弾の射手」を作曲するドイツの作曲家ウェーバー(Weber.Carl Maria von)がオィティンに誕生
11/18/1786 ビショップ(Bishop.Henry) 誕生 作曲家で指揮者「埴生の宿」を作曲したスタンフォード大教授
11/18/1898 近衛秀麿 誕生 指揮者で作曲家
11/18/1904 古賀政男 誕生 作曲家
11/19/1630 シャイン(Schein.Johann Hermann)没44歳(誕生:1586/01/20)詩人で作曲家「音楽の饗宴」を作曲した
11/19/1825 ヴォルジシェク(Vorisek.Jan Vaclav)没34歳(誕生:1791/05/11)ボヘミアの作曲家
11/19/1828 シューベルト(Schubert.Franz)没31歳(誕生:1797/01/31)オーストリアの作曲家
11/19/1859 イッポリトフ=イワーノフ(Ippolitov-Ivanov.Mikhail) 誕生 ロシアの作曲家
11/20/1927 ステンハンマー(Stenhammer.Wilhelm)没56歳(誕生:1871/02/07)作曲家「カンタータ『国民』」を作曲した
11/21/1718 マールプルク(Marpurg.Friedrich Wilhelm) 誕生 音楽批評家で作曲家
11/21/1974 マルタン(Martin.Frank)没84歳(誕生:1890/09/15)作曲家「チェンバロとオーケストラのための協奏曲」を作曲した
11/22/1899 カーマイケル(Carmichael.Hoagy) 誕生 作曲家で俳優「スターダスト」を作曲した
11/22/1900 サリヴァン(Sullivan.Sir Arthur)没58歳(誕生:1842/05/13)「ミカド」を作曲した作曲家
11/22/1913 ブリテン(Britten.Benjamin) 誕生 イギリスの作曲家
11/23/1876 ファリャ(Falla.Manuel de) 誕生 スペインの作曲家
11/24/1868 ジョプリン(Joplin.Scott) 誕生 黒人ピアニストで作曲家「ラグ」を作曲した
11/25/1787 グルーバー(Gruber.Franz Xaver) 誕生「聖しこの夜」を作曲したオーストリアの作曲家
11/25/1862 ネヴィン(Nevin.Ethelbert Woodbridge) 誕生 作曲家
11/26/1959 ケテルビー(Ketelbey.Albert)没84歳(誕生:1875/08/09)イギリスの作曲家
11/27/1804 ベネディクト(Benedict.Sir Julius) 誕生 作曲家で指揮者「キラニの百合」を作った
11/27/1867 ケックラン(Koechlin.Charles) 誕生 作曲家「パルティータ」を作曲した
11/27/1955 オネゲル(Honegger.Arthur)没63歳(誕生:1892/03/10)スイスの作曲家
11/29/1643 モンテヴェルディ(Monteverdi.Claudio)没76歳(誕生:1567/05/15)イタリアの作曲家
11/29/1797 ドニゼッティ(Donizetti.Gaetano) 誕生 イタリアの作曲家
11/29/1924 プッチーニ(Puccini.Giacomo)没65歳(誕生:1858/12/22)「蝶々夫人」を作曲したイタリアの作曲家
11/29/1957 コルンゴルト(Korngold.Erich Wolfgang)没60歳(誕生:1897/05/29)作曲家「雪人形」を作曲した

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