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2005年11月 3日 (木)

フォーレ ラシーヌの雅歌

faure_racine

フォーレの命日の前日に、懐かしい「ラシーヌの雅歌」を聞いた。

イギリスの合唱指揮者ジョン・オールディスが、パリ市およびフランス文化省の援助を受けている「グループ・ヴォカール・ド・フランス」という小規模コーラスを指揮して、1983年に録音した フォーレの合唱曲集。

このCDは、「フォーレ ラシーヌ讃歌」(FAURÉ QUANTIQUE DE JEAN RACINE)という題名のもの。マドリガル作品35など3曲の世俗曲を除き、カトリックの宗教曲集となっている。

同様の少人数のコーラス団体が、イギリスには枚挙の暇もないほどあり、その活躍が目立つためだろうか、このフランスの団体はこのCDでしか名前を聞かない。また、そのイギリスを代表するタリス・スコラーズなどの歌手の質に比べると少々聞きおとりがすることも理由かもしれない。ただ、フランスの団体ということで、フランス語の発音はオーセンティックなものだろうと思う。 

「ラシーヌの雅歌」は、このCDのジャケットのように「讃歌(賛歌)」という訳が多いようだが、解説パンフレットでは、「ラシーヌ(の)雅歌」と訳されており、その点について原明美氏が解説している。旧約聖書の雅歌(ラテン語でCanticum canticorum 「歌の中の歌」の意味)に対応するQUANTIQUEという題名なので雅歌が適当なのだろう。

追記:2010/7/18(日) アクセス解析をみると、この記事は比較的多く読んでいただいているようなので、改めてジャン・バチスト・ラシーヌによる歌詞の翻訳を読んでみた(ネットで読める翻訳)。旧約聖書的な、つまり雅びな恋愛詩である「雅歌」とはまったくことなる内容であるのは当然として、「讃歌」という訳語はラシーヌ自身を褒め称えるようなニュアンスが生じるので、わざわざQuantique (Cantique) という言葉を使ったことは保留して、単純に「ラシーヌの歌」というのが座りがよいように思えてくる。

この曲は、20代にコーラスを少しかじっていた頃に、合唱団で原語で苦労して歌ったことのあるもので、その際にこのCDを参考用に購入して大変お世話になった。この「ラシーヌの雅歌」は自分が属するベースパートからメロディーが開始されるので、ルネサンスのミサ曲などと並び結構歌い甲斐がある曲だった。

最初の方で、このCDの演奏について少々ケチをつけたが、フォーレの「レクィエム」以外のコーラスを聴くには、大変よいものだと思う。

なお、先日、ガーディナー指揮モンテヴェルディ合唱団によるフォーレの「レクイエム」を購入したおりに、このCDにも含まれている「マドリガル」作品35が収録されていたが、その静謐なハーモニーはすばらしいものだった。

追記:2010/7/14  ヴォーカルスコア(IMSLP) Cantique de Jean Racine, Op.11 (Fauré, Gabriel)

追記:2010/7/18(日) Youtube Choir of St John's Collegeによる演奏

Youtubeでは沢山の Cantique de Jean Racine がアップされている。これは英国ケンブリッジ・ユニヴァーシティの名門 The Choir of St John’s College, Cambridge による歌唱、演奏。男声パートが大きめに録音(演奏)され安定感がある。フォーレとしては少し軽やかさが不足して劇的に過ぎるという意見もあるだろうが、ボーイソプラノ、アルトの伸びやかさもあり、聴き応えがある。

同じくYoutube。このOneman chorus (オルガンも自身で演奏しているらしい)は、フランス語のネイティヴスピーカーのものらしく、フランス語の軽やかな発音を聴くことができる。歌唱は正統的なコーラススタイルではないけれどワンマンだけあり溶け合いが素晴らしく、オルガンも一人で弾いているらしい。(2012/04/28 フランス語のネイティヴスピーカーかどうかはわからないが、http://www.youtube.com/user/cuicuimusic から辿れるブログ情報によると http://www.blogger.com/profile/00763818392161777158 ロンドン在住の男性らしい。ブログはフランス語で書かれているので、フランス語ネイティヴスピーカーだろうか?)

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