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2005年11月27日 (日)

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲集 クレーメル

kremer_kashkashian_harnoncourt1 kremer_kashkashian_harnoncourt2 先日、ブックオフでモーツァルトのヴァイオリン協奏曲集を購入した。モーツァルトのザルツブルク時代19歳の時に一気に連作したK.207,211,216,218,219(第一番から第五番)のソロ協奏曲は、彼のヴァイオリン協奏曲ということで有名だが、彼の他の作品と比べるとどうしても若書きの印象が強く、あまり愛好する曲ではない。父が購入してきた、SERAPHIMシリーズのメニューヒンとバース音楽祭管弦楽団による3番と5番のLPで聞いたのが初めてだったせいもあるかも知れない。音楽が古典派的に構成的ではなく、かつての天才少年メニューヒンのヴァイオリンもあまり魅力的ではなかったから。モーツァルト自身、もっとも脂の乗り切ったヴィーン移住後には、ヴァイオリン協奏曲は残していない。彼自身、名クラフィア奏者として自ら評価しており、自作自演用のピアノ協奏曲の傑作には事欠かないが、残念なことに傑作と呼べるヴィオリン協奏曲は残してくれなかった。このほかには偽作しか残っていない。

ヴァイオリン協奏曲第6番変ホ長調K.268(K3=365b)(Anh.C14.04)(1780頃?)[3楽章]〔※1799年出版、偽作?(おそらくF.J.エックの作品)〕

ヴァイオリン協奏曲ホ長調K.Anh.294a(Anh.C14.05)「アデライーデ(Adelaide)」[3楽章]〔偽作〕〔※Marius Casadesus作曲?(1933)〕

ヴァイオリン協奏曲第7番ニ長調K.271a(271i)[3楽章]〔※1907年発見、偽作;271aはK2の番号〕

その後、小学館のモーツァルト全集(没後200年記念のフィリップス原盤のもの。来年の生誕250年にはどのような企画がだされるのだろうか?)に所収の、シェリングのヴァイオリンによるもの(どうして名盤のグリュミオー盤を収録しなかったのだろうか?)。

今回のクレーメル、アルノンクール/VPOという一癖ある組み合わせでも、モーツァルトのこれらの一連の協奏曲の魅力を再発見はできなかった。アルノンクールとVPOは、新年音楽会でも共演したことがあり、今となっては奇異な組み合わせとはいえないが、録音1983、1984、1987年当時は、意外な組み合わせだった。アルノンクールは、VPOを使って以前のコンセルトヘボウによる交響曲と同じく、硬い響きや突発的なアクセントを用い、「刺激的な」モーツァルトをVPOから生み出させている。クレーメルは、短いフレージングにより、歌うよりも訥弁で語るモーツァルトをイメージしているようだ。

ところで、パリから帰ったモーツァルトが書きおそらく自身Violistとして初演に参加したVn&Vaのための協奏交響曲K.364は、K300番台だけあり、充実した音楽になっている。ここで、クレーメルと共演しているのが、キム・カシュカシアンという美しいヴィオリスト。彼女の音は、豊麗ではあるが、このヴァイオリンにヴィオラが張り合うようなヴィオラにとっては難曲だと思われるこの曲でも一歩も引かない雄弁な演奏を聞かせてくれる。1983年10月ヴィーンでの録音。

ところで、クレーメルと彼女は当時結構共演していたようで、このほかにも1984年の3月にニューヨークで録音したモーツァルトのK.563の弦楽三重奏のためのディヴェルティメント(ヨーヨーマが共演)、1984年5,6月に珍しいアファナシェフのピアノで、K498のケーゲルシュタットトリオ(クラリネットの代わりにクレーメルのVn)と病のM.ハイドンのために代作したというVn&Vaのデュエット2曲を録音している。

kremer_kashkashian_ma kremer_kashkashian_afanassiev

いずれも大変すばらしい演奏だ。

なお、先日のチェクナボリアンと同様、彼女の姓は、アルメニア系だという。

P.S. 12/6 クラシック音楽のひとりごと の同じ協奏交響曲の記事にTBさせてもらった。

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コメント

カシュカシアン、アルメニア系だったんですね。いいヴィオリストだと思います。TBさせていただきました。よろしくお願いします。

最近のカシュカシアンのCDは入手していませんが、ブラームスのヴィオラソナタやバルトークのヴィオラ協奏曲などのCDもあるようです。

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» モーツァルトの協奏交響曲K.364 クレーメル・カシュカシアン/アーノンクール [クラシック音楽のひとりごと]
寒さになれていないので、今日の風がまあ冷たかったこと。 銀杏の落ち葉、掃き掃除が大変でした。 さて先日、協奏交響曲のK.297うを聴いたので、K.364を・・・。 モーツァルトの協奏交響曲変ホ長調K.364。 ギドン・クレーメルのヴァイオリン、キム・カシュカシアンのヴィオラ。ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・フィルの演奏。 1983年10月、ムジークフェラインザールでのDG録音。クレーメルのモーツァルト・ヴァイオリン協奏曲集に所収。 第1楽章アレグロ・マエストーソ。 序奏部から比較的ゆっ... [続きを読む]

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