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2006年1月26日 (木)

モーツァルトとアインシュタイン

物理学者のAlfred Albert Einstein アルフレートアルベルト・アインシュタインが、「死とは何か」との質問に対して、「死とはモーツァルトが聴けなくなることだ(死とはモーツァルトを聞けなくなることだ)」と答えたという話は有名だ。白水社の「モーツァルト頌」に収められてから広まった賛辞ということだが、その典拠が何かについては、当の「モーツァルト頌」の編者自身がその原典を所有していないということで、長らく謎になっている。

物理学者アルフレートアルベルトの従兄弟に、音楽学者のAlbert アルベルトAlfred アルフレートという人物がおり、モーツァルトやシューベルトの研究家として第一級の人物で、大部の「モーツァルト その人間と作品」という素晴らしい評伝を残しており、なおかつ、ケッヘルカタログの改訂を行ない、第3版(ケッヘル・アインシュタインカタログ)を出版しているほどの人物だ。この音楽学者も、物理学者の従兄弟同様、ヨーロッパからアメリカに亡命(移住)している。そのようなモーツァルトの専門家であるが、従兄弟の物理学者ほどの知名度はなく、ファーストネームが同じAで始まり、A.アインシュタインと表記されるため、アルベルトアルフレートの方の発言の方ではないかという推論も成り立つのでややこしい。(もっとも、実証的なモーツァルト学者がそのようなキザな賛辞を贈るかどうかは疑問なのだが。)

何しろ、「モーツァルト頌」の編者自身がこの賛辞を知ったのは、どこかの本屋での立ち読み!で、その後どの本の記述だったか忘れてしまったという、嘘か誠か、作り話かというほどの、眉唾ものでお粗末な裏話がnifty-serveのクラシック音楽の掲示板で報告された。その辺のいきさつは「レコード軽術」というサイトに詳しい。

ヘブライ大学に「アインシュタイン・アーカイブ」(http://jnul.huji.ac.il/einstein/)というのがあることがわかり,そこに問い合わせてくれた人もいた.

 「問い合わせてくれた人」というのはは恐らく私だろう。下手な英語でメールを発信したのだが、その後何も音沙汰がない。もう6年以上も昔のことだ。

ところが、今日久しぶりに Google で検索してみたところ、 読書遍歴 「アインシュタイン・ロマン」というページ
が見つかり、その中に

NHK「アインシュタイン・ロマン」(全6巻)
第1巻 「黄泉の時空から」  天才科学者の肖像
isbn 4-14-008768-4 C1342 1500円
著者 NHKアインシュタイン・プロジェクト

第三章 自在なポップスター
 それから、音楽について。死とはなにかと言う問いに対して、アインシュタインが「モーツァルトが聞けなくなること」と答えるくだりが、P125に書かれている。

とコメントされていた。これも孫引きになってしまうのだが、どうやらこの本には、物理学者アインシュタインが明確にこの言葉を言ったことが書かれているようなのだ。いつ頃、誰とのインタビューかが書かれているかが分かればさらに確実性は増すだろう。

どうやら、物理学者アインシュタインが、この有名な言葉の発言者であるようだ。

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コメント

正しくは、
物理学者:アルベルト・アインシュタイン
音楽学者:アルフレート・アインシュタイン

通りすがりさん。

ご指摘ありがとうございます。

お恥ずかしい限りです。早速訂正いたします。

こんにちは、おもしろいお話ですね。結局いまだに謎なのでしょうか?物理学者のアインシュタインは、いろいろな言葉を残しているので、調べるのも大変ですよね。

jennyさん、コメントありがとうございます。

まだ「アインシュタイン・ロマン」第1巻にはあたってみていないのですが、これによればどうやら物理学者アインシュタインの言葉ではあるようです。出典(誰とのインタビューか、とか、年月日など)が明確になっていればいいのですが。

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