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2006年3月 7日 (火)

ブレンデルのシューベルト ソナタ21番、さすらい人幻想曲

brendel_schubert_piano◎シューベルト
ピアノソナタ第21番変ロ長調 D.960
幻想曲 ハ長調 作品15 D.760 「さすらい人」
アルフレート・ブレンデル 1971年11月13日~17日 モーツァルテウム、ザルツブルク、オーストリアでの録音

28CD-5008 輸入・発売元日本フォノグラム株式会社 ということで、購入した1987年にはこの2800円のCDが廉価盤だった。レギュラープライスは3500円ほどした。一枚もので高いものといったら、グールドの1981年録音のゴルトベルクが3800円だった。ほんの20年ほどで、音盤の価値がまったく違ってしまったことに驚かされる。何しろ、昨年購入したアンナー・ビルスマの70歳記念盤11枚組みがなんと3000円ちょっとで、そのいずれもが高水準の演奏と録音なのだから。

だから聴き方も相当変わってしまった。当時は聞きたい曲や演奏をレコード藝術などを参考に慎重に選び、購入したらそれこそ何度も聞いたものだった。このブレンデルのシューベルトは、楽興の時や即興曲、軍隊行進曲などの小品は別にして、初めて聴くシューベルトのピアノの大曲だった。「さすらい人」は、リートのメロディーが下敷きになっていることもあり、全体に親しみ易い楽曲だと感じたが、変ロ長調の大ソナタの方は、悠揚迫らぬMolto Moderato の第一楽章からいかにも茫洋としていて初めはなじめないものだった。ベートーヴェンの後期ソナタや後期の四重奏曲にはなじみ始めていたが、シューベルトの後期の作品はどうもつかみ所がなかった。それでも最近、ケンプやシュナーベルの同じ曲と聞き比べることにより、どうにかこの曲、この演奏の特徴が把握できるようになってきた。非常に神経を細かく張り巡らせて、音色を研ぎ澄ませた演奏だと思う。

ブレンデル   14:38/8:54/3:57/8:30
ケンプ      21:12/9:19/4:49/8:01
シュナーベル  13:50/11:21/4:09/7:12

なお、このブレンデルのソナタの録音、発表当時その他のソナタは軒並み高い評判だったというが、これだけは、第一楽章の提示部の繰り返しを行わず、つなぎの数小節を演奏しなかったことで、日本では評判がよくなかったという。先日ブレンデルのことを調べたときにあるサイトの記事で知り驚いた。

なお、ブレンデルは1988年にもこの曲を録音している。

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