ホームズと機械文明とクラシック音楽
子どもたちが、学校図書館でアニメ版(宮崎駿など)の「名探偵シャーロック・ホームズ」のアニメ絵本を借りてきて、それがきっかけで6巻発売されているビデオを一巻ずつレンタルして見ている。そのアニメーションには、原作には登場しない、飛行船、蒸気自動車(スチームカー)、ガソリンエンジン車(「ベンツプロトタイプ」)などの機械類が活躍しており、それがこのアニメの魅力のひとつとなっているのだが、ホームズの時代にはそれらの発明品が本当にあったのかどうか教えてほしいというので、少し調べてみた。
シャーロック・ホームズの年表によるとホームズの活躍期間は、1881年ごろから1927年ごろまでとなっている。これは、原作者サー・コナン・ドイルの生没年 1857年-1930年にちょうど含まれる。
また、これは、英国のビクトリア女王の在位期間 1837-1901とほぼ時代を同じくしている。
蒸気自動車「蒸気自動車の研究で大きな成果を上げたのは イギリスのトレビシックで、そのころ進化していた蒸気機関を使用し、1801年12月、に試作車を製作した。 その後、ガーニー、ハンコックらによって乗合自動車として実用化され、馬なし馬車と呼ばれるようになった。」とあり、19世紀にはスチームカーが用いられていたようだ。
また、飛行船は、 1852 フランス ジファールの蒸気機関付き飛行船
1900 ツェッペリンの飛行
1937 ヒンデンブルク号の爆発 とあるので、19世紀後半には実用化されていたようだ。
飛行機 1903年のライト兄弟による動力付き飛行機初飛行から、目覚しい勢いで実用化されている。アニメのホームズにも飛行船と並んで複葉機が活躍している。
潜水艦も、1900年ごろ実用的な潜水艦が発明されたという。
自動車 1886 ベンツ 最初の実用的な自動車発明特許取得 とあり、「プロトタイプ」とアニメで銘打たれているので、まったくの時代考証無視ではない。
シャーロック・ホームズは自身ヴァイオリン演奏を趣味としており、名手のリサイタルを楽しんだことが書かれているが、パブロ・サラサーテを聞いたことになっている。その サラサーテは、 1844-1908の生没年なので、ちょうど時代的には合っている。ちなみにブラームス 1833-1897など多くのロマン派の作曲家と同時代だ。
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コメント
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コナン・ドイルとスイスは、かなり関係が強いようです。ホームズの滝落ちの舞台は、中央スイスですが、東部ダヴォース周辺も最初の奥さんの結核で滞在したようです。
http://www.siracd.com/life/life_ski.shtml
今後の鑑賞の為に。
投稿: pfaelzerwein | 2006年3月23日 (木) 04:15
pfaelzerweinさん、ダヴォス滞在はいかがでしょうか? ホームズとモリアーティの対決のスイスのシーンは少々突飛なイメージでしたが、背景には、ドイル夫妻の静養があったんですね。どうもご教示ありがとうございました。
投稿: 望 岳人 | 2006年3月24日 (金) 17:22
ガチョウ倶楽部さん、トラックバックありがとうございます。
サガンの同名の小説は、「さよならをもう一度」
という題名で映画化され、そのBGMにブラームスの第三交響曲の美しいメロディーが使われたんですね。私は、中学生の頃その映画を見て、音楽の美しさをイングリッド・バーグマンに参ってしまったクチです。
その後調べると、あの映画、イヴ・モンタンとアンソニー・パーキンスも出ていたんですね。
ただ、有名な音楽を映画に使った場合、その音楽のことを充分知らないうちはいいですが、その音楽を何度も聴いてからは、映画よりも音楽の方に注意が逸れてしまうというキライがあり、困ることがあります。
投稿: 望 岳人 | 2006年3月28日 (火) 01:10