シューベルト アルペジオーネ・ソナタ ロストロポーヴィチ、ブリテンの共演で
◎1.アルペジオーネ・ソナタ イ短調D.821(シューベルト)
録音 1968年7月, Snape Maltings, Adeburgh, England
2.民謡風5つの小品op.102(シューマン)
3.チェロ・ソナタ ニ短調(ドビュッシー)
録音1961年7月, Kingsway Hall, London, England
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ:Vc,(エドワード・)ベンジャミン・ブリテン Britten(1913-1976):p
昨年のシューベルトの誕生日の記事に書いたことだが、このアルペジオーネ・ソナタの第1楽章の冒頭からチェロで奏でられる第1主題の冒頭部の4つの音は、「未完成」第1楽章のやはり冒頭に現れる序的な「地の底から」の主題によく似ている。「未完成」の方はこれが静まった後新たな第1主題が始まるのだが、アルペジオーネの方は同じ出だしから憂いに満ちたシューベルト的な美しいメロディーが延々とチェロで奏でられる。この旋律はMy favouritesの一つかも知れない。
アルペジオーネは、今は廃れてしまった楽器で、名曲解説事典などには、ギターとチェロを合わせたような楽器というように解説されている。シューベルトの時代に発明されたものらしく、彼はこの楽器とピアノのためにこのアルペジオーネソナタを作曲したのだが、現在ではチェロ(ヴィオラ)とピアノで演奏される。チェロで演奏する場合には、高い音が多いため、相当の難曲なのだという(それではアルペジオーネでは難曲ではなかったのだろうか?)。
Wikipedia によるとこの録音の当時、ロストロポーヴィチはまだソ連在住で、「1970年、社会主義を批判した作家ソルジェニーツィンを擁護したことによりソビエト当局から「反体制」とみなされ、以降、国内演奏活動を停止させられ、外国での出演契約も一方的に破棄される 」の直前だったようだ。
ブリテンは、20世紀イギリス(The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)を代表する作曲家で、この録音のようにピアニストとしても、また自作のシンプル・シンフォニーや「青少年のためのオーケストラ入門」やカーゾンとのモーツァルトの協奏曲などで、素晴らしい指揮の才能を発揮している。
ロストロポーヴィチとブリテンの邂逅の経緯は知らないが、それによりこの名盤が誕生した。
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