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2006年3月 8日 (水)

クリフォード・カーゾンの「さすらい人」幻想曲

curzon_schubert_◎シューベルト 幻想曲ハ長調「さすらい人」 D.760 クリフォード・カーゾン1949年録音
ピアノ三重奏曲 変ロ長調 D.899 ルービンシュタイン(p),ハイフェッツ(Vn),フォイアマン(Vc) 1941年録音

リート「さすらい人」 Der Wanderer D.489の歌詞第二連"Die Sonne duenkt mich hier so kalt,・・・"の部分のメロディーを第二楽章の変奏曲のテーマに用いているこの4楽章のピアノソナタに近い形式の幻想曲は、昨日の記事でシューベルト演奏の達人、ブレンデルの1970年代の録音で触れたが、HISTORY 10BOX「シューベルティアーデ」には、イギリスの名ピアニスト クリフォード・カーゾンの古い録音で収録されている。

カーゾンのピアノは、作曲家ベンジャミン・ブリテンの指揮によるモーツァルトのピアノ協奏曲第20番と27番のCDで聞き、その端正で上品なピアノに、ブリテンの指揮ともども感銘を受けたのだが、このまだ戦後の混乱期にあった年代の録音は、モーツァルトで聞かれた端正さに加えて、上記のさすらい人による第二楽章で聞かれるクレッシェンド効果の目覚しい弾き方やフガート的に開始される終楽章の乗りに乗った演奏などカーゾンの意外な感情発露やSP期らしい一発録りの魅力を聞くことができる。

なお、併録は、ルービンシュタイン、ハイフェッツ、フォイアマンによるトリオ、いわゆる「百万ドルトリオ」によるもの。ピアノ三重奏曲第1番作品99で、同じ組み合わせによるベートーヴェンの「大公」トリオと同じディスクに収録されているものとおそらく同じものだろう。ここでもハイフェッツの音楽は、非常に冷静である。

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