パレストリーナ ミサ・ブレヴィス タリス・スコラーズ
◎パレストリーナ Missa Brevisミサ・ブレヴィス
プリマヴェーラ Nasce la gioja mia (私の喜びが生まれるのは My joy is born)
パレストリーナ Missa Nasce la gioja mia
ピーター・フィリップス Peter Phillips 指揮 タリス・スコラーズ The Tallis scholars
1986年録音
ミサ・ブレヴィスには、短いミサという意味もあるらしい。日本でもカワイ出版から昭和46年に楽譜が発行されるなど、合唱人には早くから親しまれてきた曲のようだ。この楽譜の巻末の解説には、このミサ曲が欧米でも教会の外でも演奏され親しまれてきた経緯などが詳しく記されている。以前、地域の合唱グループに入っていた折に、このミサ・ブレヴィスの第一曲、Kyrieのバスパートを歌ったことがあるが、稚拙な素人が歌ってもそれなりに聴けるのが楽しかった。
タリス・スコラーズの合唱は、アレグリのミゼレレでもそうだが、無伴奏の人の声とその合唱の素晴らしさを典型的に示してくれている。アルトパートは、男声のカウンターテナーが歌うが、ソプラノは女声が歌うため、無理がなくすっきりと透明な音色になっている。同声の溶け合いという点では、すべて男声で歌っている Pro Cantione Antiqua の合唱も素晴らしいが、タリス・スコラーズの方が聴いていて楽しい。
なお、このCDには、プリマヴェーラ 日本語で 春 という名前の作曲家の世俗曲が取り上げられている。この旋律が、パレストリーナによってミサ曲の定旋律に取り上げられているので、その原曲として紹介されているようだ。なお、このCDのジャケットは、サンドロ・ボッティチェルリの PRIMAVERA 春 の 一場面だ。
12年前の新婚旅行で、イタリア、フランスをめぐった際、オプショナル・ツアーでフィレンツェを訪れ、自由時間を利用して、駆け足で、ウフィツィ美術館を見て回った。ボッティチェルリの間で、この「春」と「ヴィーナスの誕生」をゆっくりと見る幸せに恵まれた。ボッティチェルリの描く女性は、非常に繊細で可憐だが、少々バランスが悪いとされているようだ。しかし、実物の大画面を見るとそのアンバランスさはあまり気にならない。フィレンツェのメディチ家の別荘を飾ったといわれている装飾画に近いものらしいが、その細緻な自然観察と繊細な色彩、人間の裸体の賛美は、まさにあの時代の精神を伝えてくれる。フィレンツェは、短い滞在だったが、本当に見るものが沢山あった。また行ってみたいところだ。
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