花見 と シューマン「カルナヴァル(謝肉祭)」ラローチャ
今シーズンの寒さにもかかわらず、関東南部では、東京でも横浜でも、平年よりも一週間も早くちょうどこの前の春分の日ごろにソメイヨシノが開花し、4月1日ごろがほぼソメイヨシノの満開だった。梅の開花は、この冬の寒さの影響でこの近所でも少なくとも一ヶ月近く遅れたし、その後も肌寒い陽気が続いていたのに、この開花の早さは気象的にはどういうことなのだろう。又聞きなのだが、植木屋さんなどは今年はやけに地熱が高いようだと言っているようだが、それも関係しているのだろうか?
今日日曜日は天気が崩れるという予報が出ていたため、昨日の土曜日は各地の花見の名所はいつも以上の人出だったようだ。我が家でもその人出の一角を担い、電車とバスを乗り継いで(少々アルコールを入れる予定だったのと駐車場不足のため)花見の名所とされる県立公園に出かけてきた。池の周囲に1500本ほどの桜が植樹され趣のある公園だが、普通の名所と違い県が管理しているせいか、園内には露店もなく、ぼんぼりもなく、BGMも流されていないため、花見客は多いとは言え、いたって静寂な雰囲気の公園だった。
花見といえば、豊臣秀吉の最晩年の「醍醐の花見」の園遊会を、何冊かの歴史小説で読んだが、すでに安土桃山時代にはすっかり桜の花の下で宴を張るのが「花見」だったのだろうか?
西行法師「願はくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ」と歌い、みちのく平泉の中尊寺や高館の北上川の対岸「聞きもせじ束稲山 の桜花吉野の外にかかるべしとは」と「たばしねやま」の桜を愛でた。坂口安吾も梶井基次郎も桜へのオマージュをささげている。
長い冬の終りと春の訪れを告げる桜の開花は、稲作にとって農事暦としての意味があったというし、満開の桜は米の豊作につながるものとして崇められたというので、古くは農耕に関わる祭事としての意味あいがあったのだという。
ところで、帰宅後急にシューマンの「謝肉祭」を聴きたくなり、一枚だけ所有しているアリシア・デ・ラローチャの「謝肉祭」を取り出して聴いた。
図解音楽事典 P.112,113の解説によると
シューマンのかつての婚約者エルネスティーネ・フォン・フリッケン(「エストレッラ」)の出身地ボヘミアの小都市ASCHの音型とシューマンの名前に含まれるASCHと同じ音を持つSCHAに基づく下記の3つの動機(イデー)に関連した小曲からなっているという。
スフィンクスNo.1:SCHumAnn S(Es)変ホ Cハ Hロ Aイ
スフィンクスNo.2:AsCH As変イ Cハ Hロ
スフィンクスNo.3:ASCH Aイ S(Es)変ホ Cハ Hロ
1.前口上 スフィンクスNo.2
2. ピエロ スフィンクスNo.3
3. アルルカン 〃
4. 高貴なワルツ 〃
5. オイゼビウス 〃
6. フロレスタン 〃
7. コケット 〃
8.応答 No.1
9. パピヨン No.3
10.A.S.C.H-S.C.H.A No.2
11.キアリーナ No.2
12.ショパン No.2
13.エストレッラ No.2
14.再会 No.2
15.パンタロンとコロンビーヌ
No.2
16.ドイツ風ワルツ パガニーニ 間奏曲
No.2
17.告白 No.2
18.プロムナード No.2
19.休息 No.2
20.ペリシテ人と闘う「ダヴィッド同盟」の行進曲
No.1
音感のない私には聞いただけでは、これらのスフィンクスがどこに隠れているのかは分からないが、これらの性格的小品による仮面舞踏会は大変魅力的だ。
さて、先日、リオ・デ・ジャネイロのカーニヴァルの模様が放送されたことがあったので、そういえば謝肉祭は今頃だっただろうかと調べてみた。
Wikipedia の「謝肉祭」はこれ。
カトリックの行事ということで、日本ではどうかと調べてみたのが、これ。 2006年カトリック教会の行事予定
日本では謝肉祭は教会行事としてはないようだ。
2006年 リオのカーニヴァルの記事をネットで探したら、よくまとまっていたのはこれ。
今年のリオのカーニヴァルは、2月26日から2月28日だったようだ。
謝肉祭の起源は、どうもケルト、ゲルマンのヨーロッパ古層の(キリスト教からすれば異教的な)年中行事が後のローマンカトリックに取り入れられたもののようだ。冬の終りと春の始まりを祝う祭りということで、自然宗教的には日本の「花見」と共通点があるのかも知れない。
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