セルとブレンデルの共演が聞ける シュヴァルツコプフのモーツァルト歌曲・アリア集
◎エリーザベト・シュヴルツコプフ(ソプラノ)、ヴァルター・ギーゼキング(ピアノ)、
ジョージ・セル指揮ロンドン交響楽団&アルフレート・ブレンデル(ピアノ)
先日、白井光子のモーツァルトのリート集のことを書いたが、こちらは、ドイツのオペラ・リート界の花形、エリーザベト・シュヴァルツコプフとモーツァルト弾きとしても名を馳せたヴァルター・ギーゼキングという大物同士の共演による歌曲集。白井光子の抑制された端正な表現になじんでいるものとしては、最初のうちは少々表情付けが過剰かと感じるが、次第にその語りかけに引き込まれていく。ただ、ギーゼキングのピアノは、そのピアノ・ソナタ集でも感じたが、少々ぶっきらぼうに聞こえてしまう。
このCDには、この組み合わせによるリートのほかに数曲の「演奏会用アリア」が収録されている。ピアノのオブリガートがなんと若き日のアルフレート・ブレンデルが起用され、ジョージ・セルと共演しているのが聞けるのが貴重だ。曲は、K.505 "Chi'o mi scordi te? " (レチタティーヴォとアリア「どうしてあなたが忘れられるでしょうか?」-----「心配しなくてもよいのです、愛する人よ」)<1968年録音>。
セルとシュヴァルツコプフは、有名なR.シュトラウスの「最後の四つの歌」でも共演しているが、ブレンデルとセルの共演というのは、実演ではどうだったのか知らないが、録音としては非常に珍しいのではないだろうか。ブレンデルのピアノは、ギーゼキングよりも多感で、後年の彼の活躍を彷彿とさせるように思う。
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