さようなら交通博物館、「パリのアメリカ人」
この5月14日をもって長い歴史を閉じる東京秋葉原、万世橋のたもとの「交通博物館」にぜひ行きたいと子どもたちにせがまれ、ようやく冷たい風も温んできた春の一日を費やして、ほとんど芋を洗うような混雑の博物館を見物してきた。
2007年には、さいたま市に、「鉄道博物館」として新規オープンするということで、現在の展示品のうち、鉄道関係以外の展示物の多く、飛行機、船、自動車、バイク、自転車、籠、人力車、輦台(れんだい)などは今後は見られなくなるようだ。そのような事情に加えて、非公開の幻の万世橋駅の跡を特別に限定公開していることもあり、土日は入場制限するほどの混雑になっている。今日も、入場制限にはなってはいなかったが、特に1階は、親子連れと青年鉄道ファンでいっぱいだった。高額な記念品(たとえば非公開資料なども写されたDVDが約1万円!)なども売れていた。
この博物館は、建物自体が歴史的な建造物であり、それ自体が博物館的な展示物の意味があったのだが、これだけ大量の来場者が訪れると、効率的に捌き切れず、また室内の空調などの問題もあるようだったので、移転はやむをえないとしても、総合的な交通博物館ではなくなるのは、少々惜しいように思う。それこそ国土交通省の肝いりで、「交通博物館」として発展的に存続されるべきではなかったのだろうか?
ドヴォルザークの蒸気機関車への偏愛を知って以来、機関車の疾走を音にしたものと信じている「アメリカ」四重奏曲の第四楽章フィナーレをとも思ったのだが、鉄道博物館としては生き残るということで、何か自動車の音楽はないかと考えをめぐらせたところ、思いついたのが、自動車のクラクションを効果音として用いたガーシュインの「パリのアメリカ人」。オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団の華麗で克明な演奏で。
追記:2010/07/25(日) ガーシュイン「パリのアメリカ人」を聴く (電網郊外散歩道)で、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の同じ音源を記事にされていたので、トラックバックを送らせてもらった。
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