マーラー 交響曲第10番(クック復元版) ザンデルリング
マーラー 交響曲第10番嬰ヘ長調 (performing version prepared by Deryck Cooke)
Adagio 23:12
Scherzo 13:05
Purgatorio : Allegro Moderato 4:05
(Scherzo) Allegro pesante 11:15
Finale 21:52
クルト・ザンデルリング指揮 ベルリン交響楽団
1979年11月29,30日、12月13-15日録音 ベルリン キリスト教会にて
(Booklet 表紙写真は 1911?のマーラー本人)
マーラーの作品には興味があるのだが、ブルックナーと並んで今のところそれほど深入りはしていない。そういうわけで音盤として全曲を揃えたのは、このブログにもあるとおり中古盤で、テンシュテット/LSOの全集を揃えることができてようやくそれまでの欠番が埋まったほど。
第10番は、セル/CLOの録音で、第1楽章と第3楽章のプルガトリオ(煉獄:ローマ‐カトリックで、人間が、罪の償いを果たすまで、霊魂が苦しみを受け、それによって、浄化される所をいう。Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988)を聴き、テンシュテットの全集でやはり第1楽章を聞いた程度だった。
例のショスタコーヴィチ交響曲全集を超廉価で発表したルドルフ・バルシャイが、最近自身の手によりこの未完の交響曲の全曲版を編纂復元して自演したのが話題になったが、このザンデルリング盤は、従来最も普通に用いられてきたイギリスの音楽学者デリック・クックによる復元版に基づいている(HMVなどの情報では第4,5楽章はザンデルリングの手も入っているようだ)。録音は冷戦末期、まだ東西ドイツが分裂していた時代。
今回、ザンデルリングの経歴などを読んでみたら、彼自身、ユダヤ系の出身で、それゆえにナチの政権奪取の前後、ソ連に亡命したのだという。そのため、レニングラードフィルの指揮者を勤めたり、後日、シュターツカペレ・ドレスデンを指揮したりしたらしい。彼の指揮したシュターツカペレ・ドレスデンのブラームスの第1番を他の手持ちのCDと昨日聞き比べたのだが、改めて低音が雄弁な立体的な音楽に感動を新たにしたところだったが、たまたま、また中古盤でこのマーラーの10番を入手して、その指揮に感銘を受けているところだ。
ざっくり通しで聴いているのだが、第2、第4楽章のスケルツォなどは初期のマーラーに戻っているのではないかという印象がある。スケッチしか残されていないようだが、完成した第1楽章との落差は非常に大きいように感じる。第5楽章も第9番(昨日同時に非常に録音のいい シノーポリ/PO盤が入手できた)と比べてさらに深化しているはずの音楽が、後退しているように感じるというのは、復元としては少々疑問が残るのではなかろうか?特に調性の崩壊一歩手前までいっている第9の後を襲うはずのものとしては。
【追記】
バルトークの「弦チェレ」を検索していたら、横浜フィル ホルン奏者の方の解説記事
で素晴らしいものがあった。
マーラー 交響曲第10番 ものがたり 2004年10月24日作成
ここで紹介のあった HMVのサイト バルシャイ補筆完成全曲版マーラー交響曲第10番の
解説にザンデルリング盤へのコメントも載っていた。
1979 11月、クルト・ザンデルリングが、自身による第4・5楽章の大幅な改訂とゴルトシュミットの改訂を含んだ クック第3稿第1版 により、ベルリン交響楽団を指揮してレコーディング。(ETERNA) 23:30+13:15+04:05+11:20+22:08=74:18
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