バルトーク 2台のピアノと打楽器のためのソナタ アルゲリッチ、コワセビッチ
バルトーク 2台のピアノと打楽器のためのソナタSz.110(1937/1938初演)*
モーツァルト 4手のためのアンダンテと5つの変奏曲ト長調 K.501(1786) (1台ピアノの連弾)
ドビュッシー 白と黒で (2台ピアノ))(1915/1915出版)
*打楽器: Willy Goudswaard, Michael de Roo
<1977年5月録音>
おかしなジャケットだが、英国の「グラモフォン誌」による年度賞を受けたものをユニバーサル・インターナショナル(に属する フィリップス、デッカ、ドイツグラモフォン)が Awards Collection というタイトルで売り出しているものしか見つからなかったので、これを購入した。中古でないCDの買い物は久しぶり。次男と妻がキャンプに出かけて、参加しなかった長男と二人で町まで買い物と食事に出かけた。他に、フルニエ&ケンプのベートヴェンのチェロソナタ集(2枚組み)、ABQによるベートーヴェンの初期弦楽四重奏曲作品18の6曲セット(中期と後期はスタジオ録音だったので、これで同じ録音が全部揃えられたと思ったらこの初期のものはその後のライヴ録音のものだった)、それにこれまでまともに聴いたことのなかったシューベルトの「白鳥の歌」シュライヤーとシフによるもの。これらについては、おいおい書いてみたいと思う。
さて、バルトークの曲だが、最初に聴いたのは、高校の音楽の授業だったと思う。鑑賞教材にこの曲が入っていた。そのときはエネルギッシュな音楽だとは感じたと思うが、古典派からロマン派に夢中だった当時は、この曲の面白さはあまり分からなかった。(音楽の先生は、ツトム・ヤマシタという打楽器奏者が、通常二人で担当するこの難曲を一人でこなしたことがあると賞賛していたのを覚えている)。大学になってこの曲に触れたのは、指揮者の岩城宏之がパーカッションを担当(彼は芸大の打楽器科の出身)、夫人の木村かをりがピアノを弾いた演奏会をFM放送でエアチェックしたときだった。それ以来、バルトークの曲としてはオケコンと並んで親しんできた作品だが、これまで音盤を入手する機会がなかった。
アルゲリッチは、DGにネルソン・フレーレと組んで録音したものもあるようで、彼女の好きなレパートリーのようだが、コワセビッチとのフィリップス盤は、1977年5月に録音されたもの。
バルトークの作曲年表を見ると、代表的な傑作、弦チェレとヴァイオリン協奏曲第2番にはさまれて作曲されている。
1936 弦と打楽器とチェレスタのための音楽
1937 2台のピアノと打楽器のためのソナタ (1940 同管弦楽付き)
1937/38 ヴァイオリン協奏曲第2番
弦チェレ、弦楽オケのためのディヴェルティメントと並んで、バーゼルの国際現代音楽協会からの委嘱により作曲されたもので、初演はバルトークと彼の2番目の妻ディッタがバーゼルで行った。
打楽器:3台のティンパニ、シロフォン(木琴)、2台のサイドドラム(一台はスネア:響線付き、もう一台はスネアなし)、シンバル、宙吊りシンバル、バスドラム、トライアングル、タムタム。(いくらツトム・ヤマシタでも一人ではこれは無理ではなかろうか?)
【追記 ツトム・ヤマシタ 2台のピアノ でGoogle 検索したところ、ツトム・ヤマシタが一人で演奏したという記事を発見した。shinchanという打楽器奏者の方の日記 2003年01月24日(金) 】
第1楽章:Assai lento の序奏部を持つソナタ形式。主部はAllegro molto。ピアノと打楽器が多彩に交錯する。第2楽章のLent, ma non troppo の緩徐楽章は、「夜の音楽」的な音楽になっている。Allegro non troppoの終楽章の爽快な運動性は、ちょうど「弦チェレ」「オケコン」や、弦楽四重奏曲第四番のフィナーレと同じ性格を持っている。鹿爪らしい難解さだけではなく、彼の音楽には心を浮き立たせるリズミカルな運動と、質朴な民謡性があるのが、やはり生命力を失わない要因のひとつではなかろうか?(自分の好みがそうなのだが)。
なお、このようなユニークな編成の曲を同時代の他の作曲家たちは書かなかったのだろうか?
アルゲリッチと組んでいるスティーヴン・(ビショップ)・コワセビッチは、一時アルゲリッチと結婚したこともあったアメリカ生まれのピアニストで、先日読んだジャクリーヌ・デュプレの本にも、一時期デュプレと同棲していたこともあったと書かれていた。優れたピアニストという評判を聞いたことがあるが今はどのような活動をしているのだろうか?この演奏は、左から聞こえるのが第1ピアノで右が第2ピアノだろうが、やはりクレジットで先に書かれているアルゲリッチが第1だろうか?
HMVの現行盤は10種類ほどあるようで、なかには作曲者、初演者バルトークとディッタによる演奏も入手できるようだ。
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望様
アクセス解析で知りました。
ヤマシタ先生はスネヤーDrのon.OFをY型の撥でB.Dをペダルで鳴らし、ティンパニーマレットの後ろにはシロフォンの玉撥があり・・・当時、全て独自の制作でした。
ドイツヴェルリンでは猿の曲芸士と酷評され、レッドブッダシアター、監獄の歌、ロックオペラ「レインドッグ」等5万人のスタジアムを満杯にするなど枠を超えた創作活動をされ、その後僧籍をとられ東寺へと、しかし昨年お会いしましたが、テクニックなど全く衰えてませんでした。
でヤマシタチュルドレンだった僕はパリ音楽院に行き・・・色々あって今こうです。
投稿: Shinchanです。 | 2006年6月30日 (金) 00:38
"Shinchanです。"さん 勝手にリンクさせていただいたにも関わらず、コメントいただきましてまことにありがとうございます。
ツトム・ヤマシタさんの知己である方に「2ピアノと打楽器ソナタ」の一人での演奏法や現況までご教示いただき、大変に光栄に存じます。
貴ページ、ブログも拝見させていただきました。
投稿: 望 岳人 | 2006年6月30日 (金) 17:20