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2006年6月 4日 (日)

多摩動物公園を見学

昨日6月3日は、新聞店のチケットプレゼントに当選したため多摩動物公園に行く予定だったのだが、前日の天気予報で小雨が降るとのことで躊躇していたところ、当日午前中になって降ってもたいしたことがないようなので、電車とモノレールを乗り継いで訪れた。

モノレールの始発駅、多摩センター駅(京王、小田急駅もあり)の駅前は、こういうのが郊外の計画都市の駅前の典型というのか、丘の頂上(まるで神殿でもありそう)に向かって広い歩道が通り、その両側にショッピングセンターなどが軒を並べるようなつくりだった。一見すごいが、駅前で食事をしようと思ったのに、駅前食堂群などはなく妙に寒々しさを覚えた。

Wikipediaで調べたところ、たまに名前を聞く文化施設の「パルテノン多摩」があるのだという。文化施設と商業施設が現代の神殿ということになるのだろうか!

モノレールも跨座式というのに妙に動きがギクシャクとしていた。昨年久しぶりにのった同じ方式の東京モノレールも結構ギクシャクしていたのだが、それより以前の東京モノレールはもっとスムーズだったように記憶しているので、何か違ってきているのだろうか?

モノレールから眺めるとところどころ鬱蒼とした森が小島のように住宅地の中に残されている。アニメ映画「平成狸合戦ポンポコ」はこの多摩ニュータウンの開発を舞台にしていた。このような人工物が建造される前のかつての多摩丘陵はほとんどが森に覆われていたのだろうなどと考えてしまった。

モノレール沿線の明星大学という大学のキャンパス内に建物が建設中だった。はるか昔、完成したばかりの中央大学の新キャンパスには受験で訪れたことがあった。その頃に比べて変貌したと言えば変貌したのだが、そう変わっていないのかも知れない。明星大学・中央大学という駅から学生が相当乗車してきた。

多摩動物公園で下車後、駅前で軽く食事をした後、入場。妻と子どもたちは、幼稚園時代のバスハイクで5年ほど前にこの動物園を訪れたことがあったと聞いていたが、正門を見たら子どもは二人とも記憶がよみがえったようだ。

小学生以下は無料。雨の予報が出ていたためか入場している人はあまり多くないようだ。

案内図には縮尺が入っていなかったので距離感はつかめなかったのだが、坂が多く広大な動物園のようだ。曇り空で涼しいほどの気温だったので、汗はかかなかったが、暑い日ならばててしまうだろう。老人、身体の不自由な人用に園内巡回バスが走っていた。

前回の来園時は、アフリカ園しか見学できなかったとのことで、アジア(ユーラシア)、オーストラリア園方面から見ることにした。

このような郊外型の動物園としては、身近にある横浜ズーラシアには何度も訪れているので、ついそことの比較になる。同じような南関東の丘陵地帯にあるのだが、多摩動物公園の方が傾斜が急で、樹林も深いようだ。また、ズーラシアには入り口から出口までがほぼ一方通行で、近道がほとんんどなく、途中から引き返すにしても大変なのだが、多摩は、多くの散策路が設けられ、迷いやすい複雑なルートにはなっているが、こちらの方が途中で引き返したい来場者にとってはいいのではなかろうか?また、自然に近い飼育という点では共通だが、多摩の方が動物の姿を来場者がよく見られるように工夫されており、ズーラシアのように「今日は見られなかった」というようなことはあまりないようだ。動物にとっては当然ズーラシアの方が快適だとは思うが、やはり動物園という性格上、最近よく言われる「ディスプレー」(動物の展示方法)をズーラシアは工夫すべきだと思う。

動物たちでは、以前から本物を見たかったオオカミが楽しみだったのだが、順番に印象に残ったものを書いてみる。

マレーバクは熟睡していた。珍しいインドサイ。インドにもサイがいたとは知らなかった。結構涼しいのに、プールに入っていたのはどうしてだろう?

全体がよく見えるゴールデンターキン、活発なレッサーパンダ、初めてみるユキヒョウを見たあと、なにやら前方に鉄骨とケーブルでできた高圧線の鉄柱のような構造物が見えた。近寄ってみるとこれが、例のオランウータンのスカイウォークだという。オランウータンの飼育舎からケーブルを伝って、飛び地まで高い場所を移動できるように設置したもののようだ、設置後しばらくは「渡り」が見られなかったようだが、ニュースで渡りが始まったという話を聞いていたので、期待していた。「飛び地」まで行くと、地上と樹上に三頭のオランウータンがくつろいでおり、しばらく見ていたところ、子どもオランウータンが鉄柱を登り、スカイウォークのケーブルに両手でつかまって、ちょうど子どもが雲梯で懸垂して移動するような方法で上手に渡り始めた。地上にいたその母親らしいメスオランウータンもスルスルと鉄柱を登り、子どもの後を追いかけて途中までスカイウォーク渡りを披露してくれたのは面白かった。結局、途中からまた飛び地に戻ってきたのだが。
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オランウータン舎は非常に豪華な施設だった。ズーラシアのも悪くはないが、いつも悲しげに座っている姿を思い出す。オランウータンにクレヨンを与えて描かせた絵が展示されていたり、オスのオランウータンが気に入っているという女性誌のグラビアページなどが面白かった。チンパンジーとヒトの遺伝子情報の違いはほんのわずかだというのだから、類人猿たちと我々「裸のサル」の共通性はもっとあるのだろう。

子どもたち、特に長男が以前から見たいと言っていたヨーロッパオオカミを間近で見ることができた。今年の春先、上野でニホンオオカミの数少ない剥製の内、二体を見てきたのだが、多摩の灰色オオカミ(その亜種がヨーロッパオオカミで、ロボとモロの番はモスクワ動物園から来園したのだという)は、容貌といい姿勢といい、ニホンオオカミの剥製とは相当受ける印象が違っていた。展示場では無気力そうなダルそうな姿勢で横になり、見物客を見ているのだが、後でオーストラリア園側から裏側の飼育室に回るとエサを待ちかねた2頭が飼育室内に来ており、毛足が長く細身の身体とピンと立った耳、小さいが鋭い目、長い尾が印象的だった。現在、すべての多様な犬種の先祖とされるオオカミ。隣の飼育場のアムールトラが吠えていたので、それに釣られてオオカミたちも遠吠えを披露してくれた。思ったよりか細い悲しげな鳴き声だった。
(なお、昨年、今年とオオカミは出産したとのことで、ニュース 2005/4/22 と 2006/4/20 に ヨーロッパオオカミの仔が産まれたニュースあり。特に 2005/4/22の写真がなんとも言えず愛らしい。同じ頃多摩動物公園を訪れた方のブログでは、見られたようなのだが、私たちは仔オオカミは確認できなかった。)

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アジアゾウ(スリランカゾウ)のオスは50歳を越える高齢だそうだが、展示場から飼育室に入りたいのか身体をゆすってアピールしているかのようだった。長野の動物園のアジアゾウもそうだが、リズミカルに巨体を揺するのが癖なのか好きなのか、不思議な光景だ。それもいつまでも繰り返すのだから。

コアラ舎は立派過ぎるほどの建物だった。1985年に日本に来たばかりのコアラを鹿児島の平川動物園で見たときはもっと普通の動物の檻で生活していたように記憶するのだが、多摩は驚くほど気を使った人工的な環境で飼育していた。コアラたちは木の幹に掴まり寝入っているようで、顔を見せてくれなかった。

動物園で一番高いところにあるらしいワライカワセミのケージを見に行ったところ、突然けたたましい鳴き声(笑い声)を聞くことができたのはラッキーだった。

もうここまで歩くと相当疲れたのだが、今度は最後の目的地アフリカ園を目指して歩いた。途中トナカイや猛禽類、タヌキたち、モウコノウマ(蒙古野馬、ズーラシアには蒙古野ロバがいる)、コウノトリ(繁殖に成功しているようで相当数が飼育されていた)を過ぎると、ようやく広々した場所に出る。チンパンジーたちも立派な展示場で遊んでいた。さまざまな道具類(空き缶回収機に空き缶を入れると褒美がもらえる仕組みや、シロアリのアリヅカを模したもの、鏡、などがあった)。少々時間が押してしまい、16時を過ぎたので、ライオンバスには乗れず、シマウマ、キリン、アフリカゾウは飼育室に入れられるところだった。また20頭ほどいるライオンたちも、鉄柵で防護したパジェロに追い立てられて飼育室に戻されていた。それを見物できるサファリ橋を渡ると、サーバル、チーターが展示されていた。サーバルの可憐な姿、チーターの優美な姿は感動的だった。

昆虫館本館と生態館が残っており、入館締め切りの4時半に近かったので、子どもの希望で本館を見学した。グローワーム(glow worm 光り虫)という洞窟の中で光を発して獲物を狙う昆虫の幼虫の展示は非常に珍しいものだった。(最近テレビの自然番組で取り上げられたらしい)

最後に、サル山を見て、イノシシの勇姿、モグラ、トウキョウトガリネズミ(日本最小の哺乳類?)を見て、出口に戻ってきた。恒例のヌイグルミ選びだが、ズーラシアや上野ほど種類も豊富でなく、展示動物のオオカミやチーター、モグラ、ウォンバットなども置いてないらしい。残念だった。

参考書籍:みんなのかお (日本全国のマイナーな地方動物園も含めていろいろな動物たちの顔写真集。同じ種類の動物といってもこんなにいろいろな容貌、表情、色をしているのか改めて驚かされる)

動物園関係の本

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