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2006年6月 7日 (水)

リスト 超絶技巧練習曲集 抜粋 キーシン

Kissin_schumann_liszt

シューマン 幻想曲 ハ長調 Op,17
リスト 超絶技巧練習曲集より No.12 変ロ短調「雪かき」 No.11変ニ長調「夕べの調べ」 No.10 ヘ短調、No.5 変ロ長調 「鬼火」 No.8 ハ短調 「狩り」 1995年8月22日-25日 フライブルクでの録音

2001年4月29日に横浜のみなとみらいホールで、エフゲニー・キーシン リサイタルを聞いたおりに妻が購入したCD、これまでリストはまともに聴いたことがなかったが、昨夜のフジ子・ヘミングのリストの意味を確認するためにも、超絶技巧を持ち安定感のあるキーシンのリストを聴いてみた次第。

いずれも「超絶技巧練習曲」というだけあり、音の数がやたらに多くダイナミックも極端に幅広い曲が多い。胸苦しくなるほどのピアニズムを聞かせてくれる。ピアノも底鳴りがするほどよく響いている。テクニック、メカニックや音響的な面ではまったく間然とするところのない演奏であるが、聴いて何かが残ったかという、いつものリストのごとく、「あー、すごい音響ですね。それで何を言いたかったのですか?」という空虚が残されただけ。

リストは、少々瑕があっても楽譜通りの演奏より、フジ子の演奏の方が面白いように感じる。今晩も「泉のほとりで」「ます(シューベルトの歌曲をトランスクリプション)」、「ハンガリー狂詩曲第2番」を聞いたのだが、どれも面白かった。むしろキーシンのように洗練されるよりも、少々崩した方がリストは面白いのではなかろうか?

ハンガリー狂詩曲でも、生真面目にやられても内容の空虚さが浮き彫りになるだけだが、ストコフスキー張りに思い切りデフォルメするのは悪くないように思う。リスト自身、ピアノですべてを表現しつくそうと、清冽な「ます」までもきらびやかな衣装をまとわせてしまったほどの人物なのだから、必ずしもオリジナル偏重の必要はないのではなかろうか?

(ただ、今ツィメルマンの演奏で聞いている ピアノ・ソナタ のようなシリアスな曲もあるのだが)

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