百万ドルトリオ 「大公」、シューベルト第1番
ルービンシュタインのピアノ、ハイフェッツのヴァイオリン、フォイアマンのチェロによる1941年だけ存在したピアノ三重奏団。その豪華さから「百万ドルトリオ」と呼ばれた。現在の円換算(115円としても1億1500万円だし、360円時代には3億6千万円となる)でも、膨大な金額だが、その価値を金銭で表そうというところにアメリカらしさが出ているともいえようか。
このトリオによるベートーヴェンのピアノ三重奏曲「大公」は、村上春樹の小説「海辺のカフカ」で言及されたことで、アマゾンのユーザーレビューでは「海辺のカフカ」を読んでこの曲(この演奏)を知ったという投稿でいっぱいなほどだ。
音質は改善されてはいる(高域も伸びているし、分解能も向上している。また音の歪やにごりも少ない)が、針音めいた雑音(マスターテープ起こしのはずだが)がバックグラウンドに常駐するのがやはり気になる。
各名手の音楽性の違いも、ライナーノートで詳しく解説されているように大きいようだ。
フォイアマンの夭折により、たった一年しか存続しなかったトリオで、名手たちの共演ということでは貴重なものだが、「大公」の音楽的な感銘という点では、LPで所有しているスーク・トリオによる演奏の方が上だったように思う。
P.S.チェロがピアティゴルスキーに代わった後のトリオの同じ曲目の映像を見た覚えがあるのだが、HMVではヒットしなかった。
シューベルトの第1ピアノ三重奏曲の同じメンバーの演奏は、『シューベルティアーデ』に収録されており一度聴いたことがあることに気がついた。いわゆるダブリ買いをしてしまったようだ・・・
(-_-;)
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» ベートーヴェン 「大公」トリオ Op97 [音に巡る想い]
ピアノ三重奏曲ーーー。
昔々SPレコードを借りていた中に、ハイドンのが一曲あって、
すばらしく良かった。ニ長調だっか、なんだったか? カザルス、
チボー、コルトーの演奏だったことは確か。 しかし、その曲を
以来聴いたことはないし、レコード、CDでも... [続きを読む]


おはようございます。映画からクラシックを知る人をよく耳にしますが、小説からというのもあるんですね。
百万ドルトリオも一回聴いてみたいと思っていますが、
スーク・トリオの「大公」を以前にエントリーしていましたのでTBさせてもらいました。
投稿: 丘 | 2006年7月30日 (日) 08:48
丘さん、おはようございます。コメント、トラックバックありがとうございました。
丘さんの記事を拝見したら、『海辺のカフカ』でこのCDを知った方からのコメント、トラックバックがありましたね。
村上春樹は音楽を愛好している小説家でのこの小説の下巻の第34章でこの百万ドルトリオの『大公』を効果的に使っております。廉価盤の1000円のCDの『大公』も出てくるのですが。
シューベルトのニ長調のソナタへの作者の偏愛に関心が湧き私もこの小説を読んだ感想をhttps://kniitsu.cocolog-nifty.com/zauber/2006/03/post_05d1.html">このブログ
に書きました。作者はこの曲の評論文の入った音楽評論も出版しているとのことです。
スークトリオの演奏は、百万ドルトリオがエゴに近い個性のぶつかりあいだとすると、同じ音楽語法を話す三人の対話という感じですね。作者は登場人物に百万ドルトリオの「優しさ」を語らせていますが、むしろ緊張感に溢れているように聞こえます。その点スークトリオは余裕をもって謙虚に音楽そのものに語らせるところが美しいと思います。
また、フルニエによるハイドンのチェロ協奏曲第1番なども登場します。
投稿: 望 岳人 | 2006年7月30日 (日) 10:14
「海辺のカフカとシューベルトのピアノソナタ」を読ませてもらいました。意外に多くのソナタを書いているのですね。
私は1曲だけ、「ファンタジア」という副題のソナタがあります。曲はさっぱり覚えてないですが、これも結構長いです。
ハ長調交響曲とベートーヴェンの第九との関連はその作者の想像らしいですが、なかなかのものですね。
ブラームス第1番終楽章の旋律と歓喜の旋律については知っていましたが、シューベルトとの考察は初めてです。
でも大いに共感でき、説得力ありますね。
いろいろご教示有難うございました。
投稿: 丘 | 2006年7月30日 (日) 13:47
シューベルトの番号付きのピアノソナタは全部で21曲あるそうで、まだポツリポツリ聴いている程度です。改めて確認してみたところ、シュナーベルでNo.17,20&21。リヒテルで13&14。ケンプで13,19,20&21。ブレンデルで21のCDを持っております。この中で気に入ったのは、No.13イ長調のソナタで、リヒテルの盤で初めていい曲だなーと思いました。「ファンタジア」というのは恐らくNo.18ト長調 D.894『幻想』のことだと思いますが、まだ聴いたことがありません。
私もシューベルトの大ハ長調の中に確かに第九の『歓喜』を連想させるメロディーが聞こえるところがあるのに気がついていたので、この論考は面白いと思い紹介した次第です。
投稿: 望 岳人 | 2006年7月31日 (月) 17:43