« 映画「トラトラトラ」 | トップページ | モーツァルト ピアノ五重奏曲変ホ長調 ブレンデル、他 »

2006年7月15日 (土)

バルトーク ヴァイオリン協奏曲第2番 チョン(Vn) ショルティ/LPO

Chung_bartok_stravinskyバルトーク ヴァイオリン協奏曲第2番 Sz.112(1937/8)
ストラヴィンスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調(1931)
チョン・キョンファ(Vn) ショルティ/ロンドン・フィル (バルトーク) 〔1976〕
              プレヴィン/ロンドン交響楽団(ストラヴィンスキー) 〔1972〕

このバルトークの傑作と評されるヴァイオリン協奏曲第2番は、これまでNaxos盤(ハンガリー生まれの名ヴァイオリニストのジョルジ・パウクのヴァイオリン、ショパコンの指揮者とオケであるアントニ・ヴィト指揮ポーランド国立放送交響楽団 カトヴィツ、第1番と第2番を収録)を入手して何度となくトライした曲だったが、他のバルトークの難曲たちと同様、難攻不落を誇っていた。トライしてもはね付けられることが多く、どうにもなじめないでいた。(この演奏のほかに、五嶋ミドリとメータ盤も聞いたことがあったが、こちらもなじめずにいた。)

ところが、このチョンとショルティによるこのCDが入手でき、それほど期待せずに聞いてみたところ、パウク盤よりもなぜか耳に入りやすく、なぜかずっと理解しやすく感じた。理解できるからと言ってこちらが名演で、あちらが名演ではないとは言えないのだし、どこが違うと要領よく文章化するのは困難なのだが、なるほどと思った指摘は、パウクはなるほど名手だがソリストとしての身振り手振り(表現力の大きさ)がそれほどある方ではないので、大向こうを唸らせるようなアピール力があまりないというものだった。そういう点で聴いてみれば、チョンのヴァイオリンは、ソリストとして生まれてきたと言えるほど集中力が高く激しいものだし、ショルティの指揮するロンドンフィルは、バルトークを得意とするショルティだけあり、ヴィトのオケよりも明瞭であいまいさが少ないように聞こえる。

このCDの記事をいつかアップしようと思っていたところ、blog「音に巡る思い」のエントリーを読ませていただき、ようやく記事にすることができた。

バルトークの難解な曲たちは、弦楽四重奏曲でもようやくその複雑なリズムと独特なメロディ、不協和音になれて、ところどころのパートを諳んじられるようになるほど聞き込むと、突然魅力を現してくれるようなところがある。そういう意味で、協奏曲という分野は大勢の聴衆向けのアピールをする曲種でもあり、この曲も盟友セーケイからの委嘱によって作曲されたものだから、セーケイのヴァイオリニストとしての実力を示すものだろうとは思うが、一度聴いた程度ではまったくなじむことができなかった。(今でもピアノ協奏曲の第1番、第2番にはなじめないでいるのだが)

なお、相互リンクをいただいている「トロンボーン吹きによるクラシックの嗜好」のシャハム ブーレズ盤の記事は、この曲の見事な解説記事になっていて参考にさせてもらっている。

« 映画「トラトラトラ」 | トップページ | モーツァルト ピアノ五重奏曲変ホ長調 ブレンデル、他 »

ディスク音楽02 協奏曲」カテゴリの記事

Bartok」カテゴリの記事

コメント

望 岳人さん、TBをどうも有難うございました。
演奏家の違いによって、ある時「開眼」の如く、
急に理解に道が開けることが、確かにままありますね。
ピアノ協奏曲はバレンボイムとゲザ・アンダを持っているのですが、アンダはまだ聴かずにいます。もしかして・・・、という希望が湧きます。
指揮がフリッチャイなのもちょっと期待が・・。

丘さん、こちらこそTB,コメントありがとうございます。バルトークは、形式こそ「クラシカル」な伝統を尊重しているようですが、リズム、和声などは非常に独創的、個性的ゆえ、その独特の語法に馴染めようになるまである程度の「慣れ」が必要なようですが、経験上「慣れ」るためにもおっしゃるように演奏との相性もあるように思います。弦楽四重奏曲は、バルトークと親交があったセーケイのハンガリー弦楽四重奏団のCDで聴き始めたのですが、何度聴いても馴染めずにいました。ジュリアードQとアルバンベルクQのCDを入手し聴いてみたところ、ジュリアードの方と相性がよかったようで、特に第四番が耳に馴染めるようになり、それを梃子のようにして、ハンガリーQも音楽として把握できるようになってきました。また、アルバンベルクQのもその面白さが分かり始めました。ピアノ協奏曲のアンダ、フリッチャイ盤は是非聴いてみたいもののひとつです。

 読響ソロ・コンサートマスターの藤原浜雄さんが若き日にエリザベート国際コンクールで第3位になった時の本選がバルトークのコンチェルトでした。関係者に配られたドイツ・グラモフォンの音源があるのですが、これが凄い!コンクールの演奏などというものではなく、もはや完璧なレコーディングです。

 2008年7月6日(日)14時開演のエルムの鐘交響楽団演奏会で、藤原さんをソロに招いてこの曲を演奏します。

Takさん、藤原浜雄さんのエピソードの御紹介ありがとうございました。NHKの名曲アルバムで藤原さんの演奏を見た記憶がありますが、このバルトークの2番をコンクール本番で完璧に弾かれるというのはすごいですね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

» バルトーク ヴァイオリン協奏曲 第2番 [音に巡る想い]
バルトークはどうも苦手だ。 チョン・キョンファ/ショルティ&LSOによる ヴァイオリン協奏曲第2番のLP盤を持っているが、多分雑誌の レコード評を読んで買ったのだろう。 すでに、マゼール/ベルリン・フィルによる「管弦楽のための協奏曲」 を時々聴いていて... [続きを読む]

« 映画「トラトラトラ」 | トップページ | モーツァルト ピアノ五重奏曲変ホ長調 ブレンデル、他 »

2024年3月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31