世界の民族音楽のCD
The CD Clubというシリーズもので、Seven Seas レーベルの World Music Library というCDが出されていたようで、そのうちの6枚ほどがブックオフに廉価で出ていたので、購入してみた。音楽学者の故・小泉文夫氏が関係していた音源のようだ。
日本に近い方からリストアップしてみると、
1.長安の夢~中国の琵琶 Chinese Pipa/He Shu-Feng
2.草原のチェロ~モンゴルの馬頭琴 Mongolian Morin Khuur/Chi Bulico
3.炸裂の音曼陀羅~チベット仏教の音楽 Buddhist Liturgy of Tibet
4.オスマンの響き~トルコの軍楽 Turkish military band music of Ottoman empire
5.ナイルの調べ~エジプトの古典音楽 Classical music of Egypt
6.スコットランドの風~バグパイプの響き Virtuoso piper of Scotland/Bill Clement
以前、パレストリーナのポリフォニーと、アフリカのピグミー族のポリフォニーの共通性というような話を読み、興味本位でJVC WORLD SOUNDSシリーズの『密林のポリフォニー』(ザイール イトゥリの森ピグミーの音楽)というCDを入手して聞いてみたことがあり、その後、マイクロソフトのエンカルタ、エンカルタ地球儀などで断片的な民族音楽に触れる機会はあったが、これまであまりまとめて聴くことはなかった。
これに類するものとしては、一時期芸能山城組による洗練されたブルガリアンコーラスの紹介『地の響き』のアカペラ、ノン・ベルカントの女声合唱を毎日のように聞いていたことがあるし、音盤は入手していないが彼らのバリ島の『ケチャ』やその現地録音なども興味深いと思っていた。また、映画『ミラクルワールド ブッシュマン』で使われた開放的な男声合唱にも魅力を感じた。アイルランドを訪れたときに、以前から耳にするたびに親しい気分になっていたケルト系の音楽も一種の民族音楽として愛好してきた。鼓童など、日本の太鼓集団の音楽も心を揺さぶるものがある。
今回入手した音盤のすべてが自分の感性にフィットするというわけではないが、各音楽文化での「名人」Virutuoso の存在、宗教や組織(軍隊)や宮廷との関わり、民衆的なコミュニケーションなどが伺われ、情報と交通の上では狭くなった世界とは言え、文化の多様性というものを改めて感じることができる。
ただ、これらにしても、平均律的な音律教育の普及により、(ここには入っていないが)インドのシタール演奏の非常に微細な細分音程などは次第に失われていく恐れもあるということで、グローバリズムと文化の多様性というものの問題がここにもあるように思う。
ただ、このような多様な音楽を聴きながら結構楽しめるということで、『音楽は世界の共通語』という楽天主義的な言葉も、少々おめでたすぎると切り捨てることもないなと思うようになる。
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