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2006年9月30日 (土)

グルダ、アルノンクールのモーツァルト ピアノ協奏曲No.23&26

Mozart_pc2326_gulda モーツァルト 

ピアノ協奏曲第26番 ニ長調 K.537 『戴冠式』
ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488

  フリートリヒ・グルダ:ピアノ
  ニコラス・アルノンクール/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団


グルダによるモーツァルトのピアノ協奏曲は、スワロフスキーとの第21&27番、アバドとの第20,21,25&27番を愛聴してきた。このアルノンクールとの共演盤は評判は知っていたが、CDで聴くのは今回が初めてだ。

アルノンクール(ハルノンクール)は先年ヴィーンフィルのニューイヤーコンサートにも出演するなど以前のエキセントリックなイメージを一掃しすっかり大家としての扱いを受けるようになっているが、グルダとのこの共演の頃は、『イドメネオ』や交響曲の録音においてもそうだったがまだまだ奇矯な印象が強かった頃だ。

先に入手したクレーメル、カシュカシアンとのモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集にしても、今回この録音を聴いてみても、その個性・アクの強さが結構鼻(耳?)につくことがある。

第26番のニ長調の曲は『戴冠式』と呼ばれ、日本でも昭和30年代ごろまではこのピアノ協奏曲がモーツァルトの代表的なピアノ協奏曲だとして知られていて人気のある曲だったという。それがいまやこれ以外の多くのピアノ協奏曲の魅力が再発見され、その地位はがた落ちになってしまった。この前後の傑作に比べて機会音楽的で内容が薄いとされるようだ。

コンセルトヘボウ管とは言えアルノンクールの独特なアクセントが耳に痛かったりもするのだが、『戴冠式』のグルダのピアノは興に乗っていて心地よい。ピアノの音はドイツグラモフォンの無色透明な音に比べてこのテルデック録音の方は少々華やぎがある音になっている。なお、オーケストラトゥッティの部分に書き込まれているピアノ低音部(左手)をグルダは目立たないようにだが弾いているのが聞こえる。(つとにスワロフスキーとの共演でも同じ試みをしていたが、アバド盤ではそれを控えていた。モーツァルトの新全集のスコアではトゥッティの左手は演奏可能なよう表記されているが、ピリオドアプローチ以外のピアニストはあまりこの試みをしないようだ。)

一方、モーツァルト自身カデンツァを楽譜で完全に残したK.488イ長調は、以前から愛好する曲で、LP時代はポリーニとベーム/VPOの共演盤でよく聴いた。第1楽章、第2楽章は曲想的にもスタティックな印象が強いこともあり、磨きぬかれた彼らの演奏は楽興には少し欠けていても模範的なモーツァルト演奏のひとつだと思った。このグルダ、アルノンクール盤は、意外にもアルノンクールのクセが控えられているようだ。トランペットもティンパニもない曲ゆえ、きついアタックが無いせいでそう感じるのかも知れない。グルダはこちらでもトゥッティでの左手を弾きながら、興にに乗った演奏を繰り広げている。ところどころで即興的な装飾音が入るし、彼の鼻歌も聞こえたりもする。

P.S. mozart1889さんにも 23番を取り上げた記事のあるのを拝見し、トラックバックさせてもらった。

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ディスク音楽02 協奏曲」カテゴリの記事

コメント

望さん、ご紹介とTB、ありがとうございました。
グルダのモーツァルトは、アバドと共演した2枚も良いんですが、アーノンクールとのこのCDの方が、生き生きして闊達な演奏だったように思います。
23番も26番も大切にしたい演奏、愛聴盤です。

mozart1889さん こちらにもコメントありがとうございました。

グルダの正規盤で入手可能なのは、No.20,21,23,26,27だと思いますが、以前FM放送で聴いたラインスドルフとのNo.24ハ短調K.491がすごい演奏だったことを今でも覚えています。せめて20番以降だけでも正規盤で残してほしかったですね。

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» グルダのモーツァルト ピアノ協奏曲第23番K.488 アーノンクール/ACO [クラシック音楽のひとりごと]
今日は、秋になると聴きたくなる曲です。 モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調 K488。 第2楽章がとりわけ素晴らしく、しっとりとした季節によく合います。 もちろん、第1楽章の推進力、第3楽章の愉悦に満ちた音楽も楽しい・・・・ホンマに名曲やなぁと思います。 今日は、フリードリヒ・グルダのピアノ、ニコラス・アーノンクール指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管の演奏で。 1983年の録音、TELDEC盤。 第1楽章の序奏部、ピアノの独奏登場まで待てないグルダが、一緒に弾いている。... [続きを読む]

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