ショスタコーヴィチ 交響曲第1番 M.ヤンソンス/BPO, バルシャイ/WDRso
ショスタコーヴィチ(1906-1975)
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団〔1994年6月〕
Allegretto --- Allegro non troppo 8:20, Allegro 4:56, Lento 9:08, Allegro molto 9:29
WDR(旧ケルン放送)交響楽団〔1994年9月30日-10月3日〕
Allegretto --- Allegro non troppo 8:10, Allegro 4:45, Lento 7:43, Allegro molto 8:38
この2枚を聞き比べてみた。奇しくも、同じ1994年の録音で、それも旧ソ連にゆかりの指揮者が、旧西ドイツの楽団を指揮したことも共通している。また、ヤンソンスは、ショスタコーヴィチの初演を数多く行ったムラヴィンスキー/レニングラードフィルで育ったような指揮者であり、一方バルシャイはショスタコーヴィチに直接師事したこもあり、第14番の初演者でもあり、弦楽四重奏曲のオーケストラ編曲を作曲者公認で行っているほどの存在である。いずれも演奏解釈上作曲家直伝に近い情報を得、影響を受けているものと思われる。
ソ連に天才作曲家が出現したと報道され、ブルーノ・ヴァルターが賞賛を惜しまなかったというこの交響曲を聞き比べてみた。
総論的に言うと、ヤンソンスの方は地味でバルシャイの方が派手である。演奏解釈だけでなく録音も楽器バランスには相当影響しているとは思うが、ヤンソンスの方がソリスティックな動きが全体に埋没気味だが、バルシャイではオケコン的に各ソロ楽器が浮き出している。そのため、聞き比べるとバルシャイ盤の方が面白い。
コンドラシン盤は聴いたことがあるが、ムラヴィンスキーやロジェストヴェンスキー、スヴェトラーノフなどのいわゆる本場ものをあまり聴いたことがないので、ヤンソンスとバルシャイのどちらの楽器バランスが伝統的なのかは分からないが、スクロヴァチェフスキ/ミネアポリス交響楽団によるショスタコの5番(近年フィリップスからCD廉価盤が出た)でショスタコ入門をした者としては、マスの響きよりもソリスティックな方が親しみやすいのかも知れない。また、前半2楽章はほとんどタイミングは同じだが、後半2楽章はバルシャイの方が速いことも特徴的だ。
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