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2006年10月24日 (火)

ボロディン 弦楽四重奏曲第2番 ニ長調

Dvorak_borodin_shostakovich_sq アレクサンドル・ボロディン(1833-1887)
 弦楽四重奏曲第2盤 ニ長調 

  ボロディン四重奏団 Borodin Quartet
     〔1962年9月〕 7:51/4:45/8:09/6:51


ボロディンの「ノットルノ」(夜曲、ノクターン)は、チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」と同じくこの楽章だけ取り出して愛好される佳曲として知られている。オーケストラ編曲もあるようだ。

学生時代にラジオ番組でラフマニノフの『ヴォカリーズ』(モッフォとストコフスキー)をよく耳にしたが、このボロディンの『ノットルノ』もFM放送の夜の番組のテーマ音楽で、いつもそれを聴くのを楽しみにしていた。しかし、この曲がボロディンの弦楽四重奏曲の第2番の第3楽章だとは長いこと知らず、ボロディンのこの弦楽四重奏曲の全曲にもこれまで接する機会がなかった。今回ようやくCDを入手して聞いてみた。

第1楽章から非常に親しい音楽で驚いた。これはNHKのBSの金曜日深夜(土曜日早朝)のクラシック音楽番組の時間調整のためのインターバルに北欧らしい海辺の風景のBGMとして流されている音楽ではないか!この親しみやすく穏やかな曲調の室内楽は誰の作品だろうかとずっと気にかかっていたので、ようやく疑問が解決したという感じだ。ただ、刷り込みが映像付きだったので、しばらくはこの楽章を聞くと条件反射的に映像が浮かぶということになりそうだ。

第2楽章は、スケルツォ的な動きの早さはあるのだが、チャイコフスキーのバレエ音楽の中のワルツのようで、なじみやすい。

そして第3楽章がマイ・フェイバリットのひとつである『ノットルノ』。この楽章も通して聴くのは今回が初めてだが、まことに美しい。以前突発的にボロディンがこのような美しい音楽を書けたのはなぜかなどと書いたことがあった。しかしボロディンの他の曲『中央アジアの草原から』『イーゴリ公』などを聴いても感じるのだが、ロシア民謡調というほど素朴ではなく彼自身の創意によるものだろう、美しいメロディーとリズム、和声が多いのに改めて気づく。

第4楽章は、序奏部付きのヴィヴァーチェだが、まだ聴きなれない所為もあり、この楽章だけが全体から浮いているような感じがする。第3楽章までの叙情性の溢れた音楽とは異なり、この楽章がむしろスケルツァンドな楽想で、ベートーヴェンの後期の四重奏曲的な自由闊達な雰囲気だ。

ボロディン四重奏団は、さすがに作曲者ボロディンの名を戴いているだけあり、堂に入った演奏だと思う。録音も1960年代で古いものだが、鑑賞には不都合はない。(この録音当時はすでにメンバーではなかったが、あの指揮者のルドルフ・バルシャイはヴィオリストとしてこの四重奏団の創設メンバーの一人だった。またショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の全曲録音で知られているという。)

なお、このCDには併録で、ヤナーチェク四重奏団によるドヴォルザークの「アメリカ」、そしてボロディン四重奏団によるショスタコーヴィチの第8四重奏曲も収められている。

p.s. このボロディンが聞きたたくなったきっかけのひとつは、「クラシック音楽のひとりごと」の記事を拝見したことで、トラックバックを送らせてもらった。電網郊外散歩道のnarkejpさんは、ボロディンの弦楽四重奏曲の第1番、2番を目覚まし音楽に使われているという。その記事にもトラックバックを送らせてもらった。確かに第2番の第1楽章はグリーグの「朝」に通じる穏やかな黎明を想起させる雰囲気がある。

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コメント

ご紹介とトラックバックをありがとうございます。偶然ですが、私も今朝ほどボロディンの弦楽四重奏曲の記事を書いたところでした。(ただし、第1番のほうです。)
聞きなれると、どちらもほんとにいい曲ですね!

narkejpさん、今晩は。コメント、トラックバックありがとうございました。ボロディンの弦楽四重奏曲はいい曲ですね。第2番のノットルノもいいですが、第1楽章は心が伸び伸びするような楽想に溢れていて、聴いていてまことに気持ちがいいです。第1番は残念ながら未聴ですが、narkejpさんの記事を拝見し聴きたくなりました。目覚めの音楽として利用されている慧眼(耳?)に感服しました。

おはようございます。
ご紹介とTBをありがとうございました。
この曲は本当に良い曲ですね。大好きです。
実はイタリアSQの演奏が最も気に入っています。CDで買い直そうと思っているうちに見かけなくなってしまい、今もLPで聴いています。そちらもTBさせていただきました。

mozart1889さん、コメント、トラックバックありがとうございました。ボロディンのCDを買うきっかけとなっていただき感謝しています(^^♪

イタリアSQの記事も拝見しました。小学館=フィリップスのモーツァルト全集の弦楽四重奏曲の担当がイタリアSQでした。ボロディンの弦楽四重奏曲のように歌が豊富な音楽はイタリアSQに似合いそうですね。

コメント、トラックバックをありがとうございました。当方も、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番を、ようやく記事にできました。調べるほどに、留学の同期生に周期表のメンデレーエフがいたり、すごい顔ぶれだったのだな、と感心しました。
愛妻家ボロディンの面目躍如というところですね。しかも、単なる愛妻家と言うだけでなくて、サナトリウムでの病気療養という環境で育んだ愛情ですから、強いものがあったのでしょう。トラックバックしました。

narkejpさん、こちらにもコメント、トラックバックありがとうございました。ボロディンは日曜作曲家とも言われますが、その人生は本当に豊かなものだったようですね。弦楽四重奏曲第2番と「だったん人の踊り」、「中央アジアの草原にて」程度しか楽曲には親しんでいませんのでもう少し、ボロディンの世界を知りたいと思いました。

世界の化学史、ロシアの女子教育史上でも偉大な功績を残したということを考えあわせると寡作、未完が多かったのもやむを得なかったとはいえ、音楽の愛好家としてはより多くの作品に触れたかったものだと思います。

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