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2006年10月 4日 (水)

マルティノンのサンサーンス交響曲第3番、フランク交響曲

Martinon_saintsaens_franck サン・サーンス 交響曲第3番ハ短調(『オルガン付き』)〔1970年録音〕 
   10:06 / 9:57 / 7:27 / 7:42

フランク 交響曲ニ短調〔1968年録音〕
    18:04 / 11:38 / 10:51

ジャン・マルティノン指揮 フランス国立放送管弦楽団
      オルガン:マリー=クレール・アラン(サン・サーンス)

フランクの交響曲ニ短調は、LP時代にあのイギリス名物指揮者トーマス・ビーチャム卿が珍しくもフランス国立放送管弦楽団と入れたセラフィムの緑色のジャケットのもの(父購入)、および上記CDにも収録されているマルティノン指揮のサー・トーマスと同じオーケストラによる録音(私が購入)を聴いていた。ビーチャムが手兵のロイヤルフィルではなく、フランス国立放送管を指揮したことにはどういう経緯があったのかは分からないが、これにより奇しくも同じ曲を同じオケで違う指揮者により聞き比べできたのは面白かった。(マルティノン盤のレギュラープライスには、フランクの交響的変奏曲も収録されていたように記憶するが、廉価盤には交響曲1曲きりだった)。

さて、このCDだがワーナークラシックスのベスト1000シリーズのうちの一枚。録音は古いとは言え、フランス系の交響曲の名曲2曲が廉価で入手できるのはうれしい。

手持ちのフランクの交響曲のCDは、以前購入したオーマンディとフィラデルフィア管のものしかなく、フィラデルフィア管の録音にしては音響的に少々不満があったので、カラヤン/パリ管かこのミュンシュ、クリュイタンスなどを聞きたいと思っていたところ、たまたまこのマルティノン盤が目に付き懐かしさもあり購入した。

この交響曲は一般にフランクのオルガニストとしての経験の影響によりオルガン的な重厚さを持つ音響になっていると言われるが、同じくオルガニスト出身のブルックナーの透明感のあるオルガン的なオーケストレーションとは違い、より渋くくすんだ音響だ。マルティノンのいわゆる「本場もの」の演奏では、音色的には渋いのだが、聞こえてくる音楽が明晰な表情を持っている。また、金管の強奏の部分では思い切って音を割ってもおり、ダイナミックだ。この曲の場合フルトヴェングラー的にドイツ的情念によって彩ることも可能だと思うが、マルティノンの場合には細部までゆるがせにしない知的な感触を受ける。先に記事にしたマルティノン/VPOの『悲愴』とは印象が異なるが、それと同じCDに収録されていたボロディン交響曲第2番の明晰さとこのフランクの曲での指揮とは印象が重なるように思える。

サン・サーンスの『オルガン付き』は、先日デュトア/モントリオール響のCDを入手したばかりだし、バレンボイム/シカゴ響のCDは以前から聞いておりこれで3枚目になる。デュトアの華麗さに比べて、マルティノンの方が品位があるように聞こえる。音楽における俗っぽさ、高尚さというのは主観的な要素だと思うので、どこがどうとは言えないのが苦しいところだが、敢て言えば第1楽章第2部のPoco adagio の歌わせ方などにマルティノンの作り出す音楽の高雅な魅力が感じられる気がする。なお、この「オルガン付き」交響曲には、フランスの名オルガニスト、マリー=クレール・アランが参加しているのも花を添えている。

◆フランク 交響曲のタイミング比較(ビーチャム盤は手元にないため別途調査予定)
  オーマンディ〔1961〕 18:29 / 10:51 / 10:34
  マルティノン〔1968〕   18:04 / 11:38 / 10:51

◆サン・サーンス 交響曲第3番のタイミング比較
  マルティノン〔1970〕     10:06 / 9:57 / 7:27 / 7:42
  バレンボイム〔1975〕    19:26          / 7:26 / 7:23
  デュトア(デュトワ)〔1982〕  9:27 /6:47  / 7:45  / 6:56

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コメント

TB、コメントありがとうございます。音楽を楽しんでいらっしゃいますね。ところでサン=サーンス乃3番ですが、まだであれば、ぜひ「プレートル」「パリ音楽院」、「モーリス・デュリフレ」の演奏をお聞きになってみてください。マルティノンとは一味違った演奏です。
この曲の「聖と俗」をうまく表現し、潜んでいる「グレゴリオ聖歌」をも表出するすばらしい演奏です。
ちなみにオルガンの「デュリフレ」は、あのレクイエムの「デュリフレ」です。ブログの中の・・・レクイエムにそのあたりを書いています。

失礼しました。確かプレートルのサン=さーんすブログ二階立つもいでしたが、記憶違いで、掲示板への登校でした。
グノーの荘厳ミサとプーランクのスターバト・マーテルについて書いたものは「レクイエム」コーナーにあります。
なお3番交響曲はEMIからプーランクのオルガン、ティンパニ、協奏曲とのカップリングで出ています。
しかしこの演奏はすばらしい。

sawyerさん、シューマンの序奏とアレグロ作品134と「赤とんぼ」の件ではお世話になりました。その後貴ブログの多彩な記事を拝読させていただきました。

さて、プレートルのサンサーンスの3番は面白そうですね。プレートルと言えば、現役最年長の指揮者の一人として今ではヴィーンあたりでも大人気とのことですが、私にとっては、カラスの『カルメン』で指揮者つとめ、元気バリバリのカルメン前奏曲を指揮をした人というイメージが強くあります。デュリフレのオルガンというのも興味深い組み合わせですね。隠されたメッセージというものが見えてきたときにはワクワクします。

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