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2006年10月21日 (土)

ラッソ 宗教音楽集 プロ・カンティオーネ・アンティクァなど

オルランド・ディ・ラッソ Orlando di Lasso (c.1532-1594)

Lasso

Missa super"Bella Amfitrit'altera"
Domine convertere
Miserere mei
Domine Luada Sion Salvatorem
In monte Oliveti
Tristis est anima mea
In convertendo
  レーゲンスブルク大聖堂合唱隊
 アルヒーフ・プロドゥクツィオン楽器合奏団
               ハンス・シュレムス指揮 〔1969年録音〕
Domine, ne in furore tuo (Penitential Psalm Ⅲ)
  アーヘン大聖堂少年合唱隊 ヘルムート・クレブス指揮
  ロッチュ(バス)、フーデマン(テナー)、楽器合奏団 ルドルフ・ポール指揮〔1959年録音〕

Miserere mei Deus(Penitential Psalms Ⅳ)
Domine, ne in fuore tuo(Penitential Psalms Ⅰ)
Ave Regina caelorum
Salve Regina
O mors quam amra est
  プロ・カンティオーネ・アンティクァ
  古楽のためのハンブルク管楽器アンサンブル ブルーノ・ターナー指揮〔1975年録音〕

もう10年以上前に混声合唱団に属していたときに『マトナ・ミア・カーラ』"Matona mia cara" を歌ったことがある。この有名な世俗曲は、ルネサンスの大作曲家 オルランド・ディ・ラッソ(オルランドゥス・ラッスス)の作曲したもので、ドイツの兵隊がドイツ語なまりのイタリア語でイタリア女性を一生懸命口説こうとする様子を描いているのだという。Matona は Madonna の訛りなどだという。このルネサンス・宗教改革時代に、なぜドイツ兵とイタリア女性の恋愛詩が生まれたのかを不思議に思い調べていくうちに、当時神聖ローマ帝国軍によるローマへの侵入・略奪(ローマ略奪)という事件のことを知った。(高校の世界史には登場したのかも知れないが、すっかり忘れてしまっていた。)リンクした解説にもある通り、統制を欠いた軍隊による住民の蹂躙、破壊だったようだ。この滑稽とも言える求愛の歌がそのような戦慄すべき歴史を背景にしているかどうかは確信がないが、ルネサンス・宗教改革時代の荒っぽさというものを端無くも教えてくれているようにも思える。

Youtube "Matona, mia cara" Hilliard Ensemble

さて、このラッソの世俗曲の模範演奏を求めて、東京出張の折に秋葉原のCD店でいろいろ探していたところようやく見つけたのが、このラッソの宗教曲集。先日取り上げたPro Cantione Antiqua(PCA)による歌唱も入っている。Archivレーベルへのラッソの宗教曲のアンソロジーらしく、いろいろな演奏、歌唱が含まれており、年代もスタイルもバラバラなので、結構通して聞くのはつらいものがあるのだが、ちょうどパレストリーナと同じ時代の、パレストリーナよりも知名度も影響力も高かった汎ヨーロッパ的な大音楽家の一端を知ることができる録音になっている。

中では、器楽合奏も加わったミサ曲やモテットの演奏が珍しい。古楽演奏としては、相当初期に属するもので、古い録音のレーゲンスブルクやアーヘンのものは、今となっては貴重かも知れないがソプラノ、アルトを少年合唱団が歌っている。

少し文句を言うならば、ラッソの宗教曲をあの「マトナ・ミア・カラ」の乗りで想像すると少し違う。古楽演奏としては古い時代の演奏の特徴にも原因があるのかも知れないが、少々単調なのだ。

私の鑑賞力がまだ追いつかないので、応援を。

吉田秀和『LP300選』では、p.85-p.87で「ラッソー」を取り上げている。中で、モテット"Tristis est anima mea"(わが心は悲し)を激賞している。

また、皆川達夫『中世・ルネサンスの音楽』では、p.141-143で同じく「ラッスス」を取り上げている。ここでは、「七つの懺悔詩篇(Penitential Psalm)」を賞賛している。

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