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2006年10月 4日 (水)

ベーム/VPO ブラームス 交響曲第1番

Brahms_symphonies_boemvpo

ブラームス 交響曲第1番ハ短調作品68
 カール・ベーム指揮ヴィーンフィルハーモニー管弦楽団

 〔1975年5月ヴィーンムジークフェラインザール〕
  14:13/10:41/5:05/17:52


1975年3月に来日公演を行ったベーム/VPOは、NHKホールなどで「歴史的名演」(吉田秀和『音楽 展望と批評2』朝日文庫 p.104 『ベームの「音」』)と評される演奏を繰り広げた。そのときのNHK放送録音がDGによりLPとして発売されたのは私が学生時代で、購入して聞いた。来日公演から帰国して録音したのが、このブラームスの交響曲全集で、録音データは1975年の5月と6月となっている。

このブラームス全集の方は、1976年にLPで発売になり、当時その評判は高いものだった。ベームのブラ1では、すでにBPOとの硬質な名演盤を愛聴していたので、それに比べて少々柔和だというこの全集はFM放送などでは聴いたが、これまでついぞ音盤には縁がなかった。

これが廉価で入手できたので、早速第1番から聴いてみた。先入観があったためあまり期待せずに聴き始めたところ、冒頭のUn poco sostenuto の序奏部から実に気合の入った充実した音楽になっているのに驚き、つまみ聴きのつもりがとうとう最後まで通して聴いてしまった。フィナーレあたりには少々疲れや弛緩のような部分もあったように感じたが、全体的には私のいわゆるつぼにはまる演奏と録音で、すっかり気に入ってしまった。

これにはベームの作り出す音楽が、すっかり耳なじみになり刷り込まれた1950年代末のBPOとのこの曲と変わらない点も大きいと思う。ザンデルリング/SKDも素晴らしいと思うが、ベーム/BPOが私の中ではいわゆるリファレンスとして君臨していることも大きいと思う。

また、ヴィーンフィルの演奏が素晴らしい。柔和という当時読んだレコード評が固定観念になっていたため、つい敬遠していたのだが、十分なエネルギーを持ち、響きも美しく、ソリスティックな部分でもまったく不足がない。また晩年のベームは、レコード評では老人性のリズム硬化ということをよく言われていたのを覚えているが、今聴いてみてもあまりそのようなことは気にならない。ベーム晩年とは言え、この後の来日も1977年、1980年に果たし、亡くなったのは1981年だった。

ベームの人気は死後急速に衰えたと言う話をよく読むのだが、自分の音楽経験の中では一種の規範的な位置にある音楽家となっているのは間違いないようで、モーツァルトにしてもベートーヴェンにしてもこのブラームスにしても聞き終えた後の充実感を得られることが多い。

参考:ブラームス 交響曲第1番についての記事
 ◆小澤/サイトウキネンオーケストラ
 ◆ジュリーニ/フィルハーモニア管弦楽団
 ◆セル/クリーヴランド管弦楽団
 ◆ショルティ/シカゴ交響楽団
 ◆ザンデルリング/ドレスデン・シュターツ・カペレ

P.S. mozart1889さんからTB、コメントをいただいた。同じ音源の全集の第4番の記事にTBを送らせてもらった。

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コメント

ベームのブラームス、好きなんです。
VPOとの全集もイイですし、来日ライヴ盤も大好きです。
第1番なら、もっと昔のBPO盤も迫力があって好きです。
最近忘れられがちの指揮者ですが、イイ演奏が沢山ありますよね。

mozart1889さん コメント、トラックバックありがとうございます。トラックバックいただいた1975年来日のLP盤の記事を拝見し、初めてコメント、トラックバックさせてもらったのを思い出しました。

VPOとの全集盤がこんなに自分に合うとは想像していませんでしたので、いまさらながら不明を恥じております(^_^;)ベームが呼び寄せたと言われるゲルハルト・ヘッツェルのVnソロも見事でした。

今年はモーツァルト年ということで、ベームのモーツァルトなども改めて注目されているようですね。

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