ヴィーナー・ヴァルツァー 聞き比べ
普通は、ウィンナ・ワルツと言われているが、一応ドイツ語の "W "の発音にこだわった表記(ヴィーン、ヴァーグナー、ヴェーバーなど)をしているため、こういう意味不明なタイトルになってしまった。この辺りの加減は難しい。ヴァルツなどといきなりいわれても自分でも分からない。
さて、ウィンナ・ワルツ集としては、ボスコフスキー/VPOの定盤を2枚。
あのシュヴァルツコプフが無人島の一枚に挙げたことで有名になったライナー/CSOのヴィーンの音楽集(実際はこの後に録音した1960年のワルツ集をシュヴァルコプフはご指名だったことが、あるべりっひさんのブログに詳しい)。
それとセル没後30周年のときにたまにはこういう珍しいものもいいかと購入したセル/CLOのヨハン・シュトラウス集。
そしてどうやらPILZ系の名曲集の中に含まれている一枚で、ヴィーン・フォルクス・オーパー(指揮者はPeter Falkというなんだか刑事コロンボの役者のような名前の人物だが、リンクを張った「おやぢの部屋2」さんの記事でもフィリップスに録音のある本物の指揮者らしい)によるもの。
意外なのは、ヴィーン育ちのセルのワルツがヴィーンスタイルのリズムではなく、きっぱりとした普通の三拍子であるように聞こえること(少し自信がない)。また、ライナーのはヴィーン風のリズムまでCSOに再現させようとしているようで、こちらは意外にフレキシブルな演奏になっている。また、ボスコフスキーのは、国内盤の方が録音時期は新しいのだが、外盤の廉価盤の方が音質が鮮明で聞き応えがあるように聞こえる。
ピーター・フォークとフォルクス・オーパー管によるウィンナ・ワルツが、またまた意外にいい。ヴィーン・フィルのように、ツンと澄ましているのではなく、もっと愛想がよくてコケティッシュで可愛いヴィーン気質のお嬢さんという雰囲気の音楽だ。楽友協会の創設者の一人ブラームスでさえ、ヨハン・シュトラウス二世の音楽を愛好していたというが、その後芸術音楽の総本山で誇り高いヴィーン・フィルの最近のワルツは、グローバル化にもよるのだろうか、品良く演奏しすぎのきらいがあるように感じる。身勝手な言い分ではあるが、むしろこの演奏のように少々民俗的で鄙びた情緒を出す方が自分としては楽しめるような気がする。
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こんばんは、トラックバックありがとうございます。
Falkさんのワルツいいですよね、愛らしくて。失礼かもしれないですが、部屋のBGMによく使わせてもらいます。
ボスコフスキーの演奏も『DECCA』とのウィーン・フィルの演奏も好きですが、『EMI』にシュトラウス管と録音した多くの録音がよりウィーン風を感じます。
投稿: あるべりっひ | 2006年11月19日 (日) 23:01
あるべりっひさん、コメントありがとうございます。
Peter Falk という指揮者は、今回初めて知ったのですが、フォルクス・オーパーのヴィーン情緒は相当楽しめております。贅沢な言い方ですが、ヴィーン・フィルが立派過ぎるときはこのような寛いだ演奏はいいですね。
投稿: 望 岳人 | 2006年11月20日 (月) 08:45