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2007年1月12日 (金)

シューベルト『冬の旅』 フィッシャー=ディースカウ、デムス

Schubert_winterreise_dieskau_demus フランツ・シューベルト Franz Schubert

歌曲集『冬の旅』

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)

イェルク・デムス(ピアノ)


このところ少々デムスの録音に触れる機会が多い。

ディースカウの『冬の旅』は7種類もスタジオ録音があるそうだが、これは3番目の録音だという(なお、同時期にこのコンビはシューマンの『詩人の恋』も録音しているようで、脳内ウィッシュリストに登録している)。6番目のアルフレート・ブレンデルとの録音は、相当以前そのCDが発売された頃に買い求めたのだが、どうもディースカウの声が衰えてしまっているように聞こえ、またブレンデルのピアノにも違和感があり、それほど愛好して聴いてはいなかった。それでは若い頃のディースカウはどうだったのだろうとずっと思っていたところ、先日も触れたDGの1000円シリーズにこのCDが含まれており求めて聴いてみた次第。(定番の、ムーアとの録音は、これまでにLPで抜粋版、FMで全曲を聴いたことがある。)

そうしたところ、意外にもブレンデルとの共演盤で感じた違和感は、ディースカウの若い頃の歌唱にも感じてしまった。美声だが、少し鼻にかかった声に聞こえた。

何度もこのブログには書いたのだが、ユリウス・パツァークのテノールとイエルク・デムスのピアノによる『冬の旅』をLPで何度も、それも楽譜を見ながら歌いながらきいたため、この違和感はすっかりハイ・ヴォイスでの『冬の旅』が刷り込みになっているということもあるかも知れない。以前、ホッターとドコウピルの来日ライヴも入手できたのだが、それもあまり楽しめなかったほどだし、プライのものも少々野暮ったく感じたほどだから。

一方、ブレンデルのピアノに感じた違和感は、デムスのピアノには感じなかった。当時、デムスは多くのアンサンブルに参加しており、相当その方面での評価が高かったのではあるまいか?でしゃばらないのだが、歌手にしっかりと寄り添って、歌とピアノの世界観に食い違いがなく、一つの世界を作り出しているかのように聞こえる。

往年のヘフリガーやシュライアーの『冬の旅』の評価も高く、最近は、ボストリッジなどテノール系の『冬の旅』がよく聴かれるようだ。一世を風靡したバリトン、バス・バリトンによる『冬の旅』も少々影が薄くなりつつあるのだろうか?

P.S. 上記は2006年末の書き込みだが、新年になりしばらくぶりに「音楽」に接したところ、F=ディースカウの美声に驚いた。年末は相当煮詰まっており、耳の感性も鈍っていたのかもしれないと反省している。

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コメント

フィッシャー=ディスカウの死去を心から悼みます.私にとっては私の最大の趣味である音楽,その中心にある歌手でした.ジェラルドムーアとの共演による,3種類のシューベルト3大歌曲集,最高のシューベルト歌曲全集など,どんな歌手も遠く及ばないと思います.シューマン,ブラームス,ヴォルフ,リヒアル トシュトラウスの歌曲全集なども聴いていただきたいものです.
著書も「シューベルトの歌曲をたどって」など興味深いものがあります.ドイツ歌曲を聴こうとされる方は是非彼の美しい歌曲だけでなく著書も楽しんでください.
なお彼について書かれたものもたくさんあります.
大歌手フィッッシャー=ディスカウのご冥福を心からお祈りする次第です.

持丸悦朗さん、コメントいただきありがとうございます。

改めてフィッシャー=ディースカウの音盤を取りだして聴き直しております。また、ヴァーグナーの『トリスタンとイゾルデ』も新旧両盤、クルヴェナールに注目して聴いてみようかと思っております。

また、ご紹介の『シューベルトの歌曲をたどって』も、高校生の頃に斜め読みしたままになっていますので、これを機会に読み直したいものです。

たまたま、本日?発売のレコード芸術6月号を立ち読みしたところ、フィッシャー=ディースカウがフルトヴェングラーを語った連載の最終回でした。不思議な感にとらわれました。

https://kniitsu.cocolog-nifty.com/zauber/2012/05/post-185f.html

高校生の頃斜め読みしたものは、ご紹介の『シューベルトの歌曲をたどって』ではなく、DFD著の『シューベルトの人物像』、『わが生涯を語る』、ジェラルド・ムーア著の『フィッシャー=ディースカウとシューベルト歌曲』というものでした。

機会があれば、『シューベルトの歌曲をたどって』も読んでみたいですね。

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