レオナルド・ダ・ヴィンチ - 天才の実像
3/18のPASMOの発売に合わせて発売された記名式の子ども用のSUICAを早速入手したので、新聞店の景品でもらってあったこの展覧会に3/24(土)の花曇りの日に家族で行ってきた。
土曜日の夜から日曜日にかけては春の嵐だったので、土曜日に出かけられたのはラッキーだった。
東京に出かけるときに、私鉄を使う方がJRだけよりも片道で100円ほど安いのだが、乗り換えの駅でいちいち切符を買わなければならずこれが結構面倒だった。しかし今回の子ども用SUICAで、家族全員が乗り換え改札口で「ピッ」とするだけで簡単に乗り換えができるのは、快適だ。(東京でいくつか用を済まそうとするとフリー区間切符のように使ってしまい、結構料金的に割高になるので、その場合はフリー切符との比較が必要か?)
なお、東京国立博物館は、このような特別展でも小学生は何と入場無料!中学高校生もそうだったろうか?
さて、レオナルドの場合には、真作とされる作品がたった一点来日するだけでも大きなニュースで、数年前「白貂を抱く貴婦人の肖像」が横浜に来たときも相当の騒ぎだったのだが、今回もウフィッツィが門外不出のこの「受胎告知」を貸し出すということで以前から相当の話題になっていた。私自身はこの作品は、たとえ彼の真作だとしても相当の初期作でもあり、絵柄やマリアの表情も様式的な硬さが感じられそれほど魅力的に思っていなかったためそれほど見たいとは思っていなかったし、15年近く前に行った新婚旅行でのフィレンツェのウフィッツィ美術館での駆け足見学のときに見れたのか見れなかったのか記憶が定かでなく、むしろその時にはレオナルドがヴォロッキオ工房の一員として描いた「キリストの洗礼」の天使の部分の素晴らしさの方を鮮明に覚えているほどだ。そのときは、ルーヴルで「モナ・リザ」と「岩窟の聖母」なども見られたので、余計「受胎告知」は印象になかった。また、フィレンツェでは見られなかったが、フラ・アンジェリコの同名作品の方がやはり絵画的に上ではないかと思っていたこともある。
これまで上野では西洋美術館や動物園、文化会館、そして馴染みの科学博物館には何度も来ていたが、国立博物館は20年以上も入っておらず子どもたちも初めてなので、混雑が予想されたが、それでも会期の終盤よりも増しだろうと思い出かけてみた次第。上野駅内の洋食屋で昼食を食べてから、1時半ごろに会場に着いた。
「受胎告知」は、聞き知っていた有名な「モナ・リザ」の1970年代の来日のときとは違い本館の館外で並ぶ必要はまったくなかった。しかし、本館の特別展示室にはそれなりに鑑賞者が詰め掛けているため、係員に立ち止まらないようにせかされながら満員の室内を前後の人々を気にしながらゆっくりと移動しながら見るしかなく、じっくりと足を止めて見入ることはできないため、チケットもぎりと荷物検査から鑑賞して出てくるまでほんの5分程度しか絵の近くに居られなかったのだが、それがものすごく残念に思えたほど素晴らしい作品だった。
やはりこれほどの名品は、生で身近でじっくり見る価値はある。複製や写真版では図像としては鑑賞できるが、最前列で目を近づけてみると、その絵の具の輝き、微細なタッチや質感、レオナルドが苦心したという空気感までが、確かに伝わってくる。(ウフィッツィでは、ボッティチェリの魅力的なビーナスと春の女神たちの大作の方に目が行ってしまっていたので、記憶が定かではないが、目にしたとしてもこれほど近くでは見られなかったと思う。)第一会場は、この一点のみの展示。
その反面、第ニ会場のパネルや模型展示によるレオナルドの実像は、レオナルドの手稿(メモ)を基にした珍しい解説や復元模型などの展示はあったものの、こちらの人ごみがひどすぎてまったくぐったり状態だった。(木製の天使像テラコッタ製の若きイエスの頭部像は、初めてみたが、繊細な美しい彫刻だった)。ここは、人の少ない平日にでもゆっくり楽しむのはいいのだろうが、土曜日の午後ということで相当の混雑となっており、その人いきれもあり、多くの人が途中のソファでばてて座っていたのが印象的だった。子どもたちも、もっとじっくり見たかったようだが、この状態では疲労困憊するのは目に見えているので、時間をかけるのは諦めた。
その後、平成館(第2会場の一階)の考古学の名品(土器、土偶など)や法隆寺宝物館、東洋館などを見て回り、非常に疲れはしたが、久しぶりの美術鑑賞として、大変面白かった。次男は、歴史に興味があるようで、二体の「踊る埴輪」や甲冑埴輪(挂甲の武人:うちかけ‐よろい【打掛鎧・挂甲】 うちかけのように肩にかけて着る鎧の意)などの名品をレプリカではなく本物で見れたことに非常に感激していた。今回は、本館の他の展示を見る時間がなかったが今度は、本館もじっくり見てみたいものだ。(入場料金は昨年10月から上がってしまったようだが、常設展の600円程度は安いものだ)。
今上野では、都美術館でオルセー展もやっているし、六本木に新しくできた新国立美術館ではモジリアニなど「異邦人たちのパリ展」も行われ、その後「モネの回顧展」も企画されているようで、西洋美術はなかなか盛況だ。そうは何度も足を運べないが、時には日常を離れて異世界(特に法隆寺の数多くの金銅の仏像群はバーチャルリアリティの世界に踏み入れたようなショックがあった)に行ってみるのも、いいものだ。
P.S. 2007/05/16追記
なお、最近の日本の美術館、博物館も海外のそれらと同様に、写真撮影お断りというところは少なくなった。もちろん、フラッシュ・三脚は禁止だし、特に重要な文化財などは撮影禁止のマークが付いているが、それ以外ならほとんど大丈夫のようだ。(むしろ撮影を禁止している公立の博物館、美術館があれば、対応が遅れているものとみなしてもよいだろう。)撮影は、フラッシュが使えないので、デジタルカメラでも、ASA感度が変えられるものは、500程度にしてみたり、もちろんマニュアル撮影できるものは、絞りやシャッタースピードを調整したりすれば、上記のように結構まともに撮影できる。また、デジタルカメラは、これまでの銀塩フィルムカメラに比べて接写が得意なので、このような細かいものを撮影するのにも向いているようだ。
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