J.S.バッハ フルート・ソナタ集 ニコレ、リヒター
J.S.バッハが残したフルートとチェンバロのためのソナタ4曲と、無伴奏(というよりも独奏)フルートのためのソナタ(パルティータ)。
ソナタ集は、
ロ短調 BWV1030
変ホ長調 BWV1031
イ長調 BWV1032
ト短調 BWV1020
ソロフルートソナタは、イ短調 BWV1013
ソロソナタが1963年で、後の4曲は、1973年に録音されている。
ニコレは、フルトヴェングラー時代のベルリンフィルの首席奏者として活躍後(カラヤン初期にもかぶるが)、ソロ以外にも多くのアンサンブルに参加しており、私のコレクションのにも彼がメンバーのディスクも結構あるはずだ。特に、同じリヒターとの『音楽の捧げ物』でも参加しているし、バウムガルトナーの『ブランデンブルク協奏曲』でもソロフルートで参加している。その他、リヒターとミュンヘンバッハ管によるアルヒーフへの録音にも相当参加しているのではなかろうか?
また、私の数少ない超一流の奏者体験のうちの重要なものの一つとして、彼が小林道夫を伴って仙台に来たときに、「電力ホール」という東北電力が経営?している多目的ホールの大空間の中で、フルートとチェンバロのデュオを聴いたことがある。
しかし、これまで、バッハのこれらの曲集は、ランパルとラクロアのエラート盤が座右の盤(といってもこれしかなかったのだが)として非常に親しいものだった。ランパルの黄金のフルートの音色は華麗過ぎてバッハに合わないとも言われてきたが、自分としては、輝かしく繊細な音色と演奏が好みにあっていた。(ちなみにランパル盤は、BWV1030,1031,1020のソナタ、1013のソロ、1034と1035のフルートと通奏低音のためのソナタ=トリオ・ソナタ?)が演奏されている。ニコレの1032はランパルでは聞けない。)
ニコレはというと、アンサンブルの一角を占める演奏家として、バッハの中でも特に好んでいる『音楽の捧げ物』のフルートとチェンバロと通奏低音によるトリオ・ソナタでも、自己主張を相当抑制しているのか、その音色の渋さが強調され、ランパルのフルートに比べると自分の好みではないように感じていた。
ところが、今回このディスクを入手して、じっくり聞いてみると、さすがにフルートが主役だけあり、しっかりした自己主張と、渋いながらよく通る音色は聴き応えがあり、これまで培われてきたアンサンブル主体の地味なフルーティストという少々自己流のイメージがよい意味で覆された。
« 東照宮に豊臣秀吉が相殿(あいどの)されている | トップページ | ブレンデル 『エロイカ変奏曲』『エリーゼのために』 »
「ディスク音楽03 アンサンブル」カテゴリの記事
- Harmoniemusik (管楽アンサンブル)というもの(2015.03.22)
- モーツァルト ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 K. 478(2014.09.14)
- 小学館 モーツァルト全集のCDを夏の帰省時に持ち帰った(2014.09.02)
- ゲヴァントハウス四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集(2013.12.28)
- 「夏の風の神パンの加護を祈るために」(ドビュッシー、アンセルメ編曲)(2013.10.17)
« 東照宮に豊臣秀吉が相殿(あいどの)されている | トップページ | ブレンデル 『エロイカ変奏曲』『エリーゼのために』 »
コメント