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2007年5月 2日 (水)

大チェリスト ロストロポーヴィチ逝去

すでに数日前のニュースではあるが、ソ連(現ロシア)の生んだ大チェリストのムスティスラフ・ロストロポーヴィチが亡くなった。

ソ連邦解体を進めたボリス・エリツィンの逝去もついこの間だったが、いずれもスターリニズム後のソ連体制への批判者で活動家だったところに共通点があり、失礼な言い方ながら「興味」深い。

ロストロポーヴィチのチェリストとしての名声は、ソ連時代から名高く、すでに60年代に西側のレコード会社(フィリップスなどではリヒテルとのベートーヴェンのソナタ全集)に録音を開始し、いわゆるゴスコンツェルト(だったか?)とかいう当局からも特別扱いを与えられていた。あのカラヤンとも早くから競演を果たし、ドヴォルザークの協奏曲や、R.シュトラウスの「ドン・キホーテ」は名盤として有名だ。夫人はボリショイのプリマ、ヴィシネフスカヤであり、ショスタコーヴィチとも親しく、小説家ソルジェニーツィンの国外強制移住に際しても深く関わりがあり、彼自身、その後ソ連から亡命して、ソ連の冷戦相手であるアメリカの首都であるワシントンD.C.のオーケストラの指揮者を務めるなどソ連にとっては非常に扱いにくい政治的な存在だったようだ。弟子としてミッシャ・マイスキーなどが知られる。

また、指揮者小澤征爾とは個人的にも非常に親しかったようで、日本国内を2人で「流し」のコンサートで「巡業」したこともあったほどだった。また、小澤とN響が例の事件以来の共演を果たした際にも、ロストロポーヴィチがその仲介的な労をとったのではないかと思われ、非常に豪華な三者共演が成し遂げられたのも記憶に深く残っている。

一音楽好きとして、同時代の大チェリストとして、それなりに録音や放送に接してきたが、好みから言えば大柄すぎる印象が強くそれほど愛好するタイプではなかった。それでも、特に作曲家ベンジャミン・ブリテンとの共演のシューベルトのアルペジオーネ・ソナタ、ドビュッシーのソナタ、シューマンの入ったCDは古くからの愛聴盤の一つだ。

哀悼の意を表したい。

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