ノリントンとN響のピリオド奏法
今晩のN響アワーは、ヨアヒム没後の100年ということで、ヨアヒムが初演したり、蘇演したりした曲を特集していた。その中で、弦楽器のヴィブラート奏法の始まりは?という記事で触れたことのあるイギリスの指揮者 ロジャー・ノリントンとNHK交響楽団の2006年11月の演奏(庄司紗矢香のヴァイオリンソロによるベートーヴェンの協奏曲の第2、3楽章)を初めて聞いた。
うわさでは聞いていたが、面白いものだった。アメリカの指揮者デイヴィッド・ジンマンによるベートーヴェンの交響曲全集と同じような奏法によるもので、ラトルなどもベルリンフィルでピリオド奏法を一部取り入れているようだし、やはりイギリスの指揮者で若手注目株のダニエル・ハーディングはその奏法の徹底で注目を得ている。完全にモダンオーケストラ界の潮流になっているのだろう。
第2楽章のブツギレのフレージング、ノンヴィヴラート奏法、ティンパニの叩きつけるようなアタック。ソリストの庄司紗矢香もその影響を受けているのだろうか、ノンヴィヴラート気味で(そのせいか、音色は美しかったが、最高音などは音程がぶら下がり気味に聞こえた)最近はソリストと指揮者の共同作業でこのような協奏曲演奏もあるのだなと思った。ただ、様式的にはまだ折衷的な感じで、新鮮ではあるが、感動のつぼに触れてはくれないように感じた。
p.s. リンクを張った以前の記事で、ピリオド奏法(HIPとも言うらしい)によってヴァーグナーを演奏したらどうなるかということを書いたのだが、ノリントンについて詳細な情報が網羅されている"The Web Kanzaki" に ノリントンによるヴァーグナーのオーケストラ曲集が1995年にすでに発売されていること知った。
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