ブロムシュテット シュターツ・カペレ・ドレスデンのベートーヴェン交響曲全集
ベートーヴェン 交響曲全集
第1番 9:03/8:32/3:26/6:09 〔1976〕
第2番 13:05/12:33/4:06/6:43 〔1978〕
第3番 15:02/16:47/5:49/11:49 〔1979〕
第4番 12:09/10:31/5:50/7:10 〔1979〕
第5番 8:05/11:21/8:53/8:52 〔1977〕
第6番 9:31/12:40/5:44/3:42/9:51 〔1977〕
第7番 13:31/9:57/9:45/9:03 〔1975〕
第8番 10:02/3:56/4:47/7:50 〔1978〕
第9番 16:55/13:48/16:24/25:09 〔1980〕
デーゼ(S), シムル(A), シュライアー(T),アダム(B)
ライプツィヒ放送合唱団、ドレスデン国立歌劇場合唱団
Lukaskirche Dresden (ドレスデン ルカ教会)
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)
5CD BOX BRILLIANT CLASSICS 99927
ブロムシュテットとシュターツ・カペレ・ドレスデンによるベートーヴェンは、日本ではかつて徳間音工の手によりドイツ・シャルプラッテンレーベルで発売されていて、第九を集めていた折にその廉価盤を見つけて入手したことがあり、多くの第九の同曲異演盤の中でそのオーケストラの奏でる音響の美しさに感心したことがあった。
このブリリアントによる廉価盤ボックスセットはこれまで横目で見ながら、更に欲しいセット(セル、ジンマン、クリュイタンスは入手。クレンペラー、ノリントン、ケンペ、ヨッフム、クーベリック、フルトヴェングラーなどは未入手)ということもあり、触手が伸びなかったものだった。
ただ、近隣への出張の折に入手したクリュイタンスの全集が古い録音ながら相当面白かったので、第九の美しさを経験しており、その他の曲も地味ながら美しいといううわさのブロムシュテット盤も聞きたいと思っていた矢先、ブリリアントレーベルが国内代理店により販売されたのを見つけ購入した。
全体を聴き直してみると、繰り返しになるが、一言で言って美しいベートーヴェンだ。
シュターツ・カペレ・ドレスデンの各パートの自律的な充実とトゥッティでの豊かな倍音に満ちた響きは、ザンデルリング指揮のブラームスの第1番でも味わえたものだったが、この全集ではそれがどの曲でも味わえる。ただ、ザンデルリングの場合には求心的な印象を持ったが、ブロムシュテットの指揮によるこの交響曲集は、オーケストラが伸び伸び演奏しているのが見えるかのようだ。パートのなかで、特に目立つのは、ペーター・ダムが率いていた?ホルンのパートと、素晴らしく歯切れがよく良い音のするティンパニだろうか。勿論、弦楽器群、木管楽器、トランペットなどどのパートも素晴らしい。
よくブロムシュテットは、何もしていないというように言われることがあるが、決してそんなことはないと思う。オケのパートの自発性もあるのだろうが、『英雄』でのホルンパートの活躍は、特にスケルツォのトリオが有名で、その部分が美しいことも言うまでもないが、各楽章の普段はあまり聞こえないホルンによる声部がこの演奏に奥行きを与えてくれている。このような一貫したバランス調整は明らかにブロムシュテットの解釈と指示だろう。
一曲一曲が取り立てて強い個性を示す録音ではないが、これからも美しいベートーヴェンを聴きたいときには真っ先に手が出る演奏だと思う。
なお、このブリリアント盤は、ライセンスを Edel Classics,GmbHから受けているという。また、録音時期は西暦が記されているだけだが、同じ音源の第九で比較してみると、ブリリアント盤が1980年とだけなっているだけなのに対して、ドイツ・シャルプラッテン盤は、1979.4.9-11/1980.3.31 とあり、ブリリアント盤は恐らく録音完了時期のみを示しているものと思われる。また、合唱指揮は シャルプラッテン盤によるとライプツィヒがウェイグル、ドレスデンがフリューゲルということだ。
収録は、フィルアップの序曲集は、まったく含まれておらず、交響曲のみというのも潔い。
*SKDの他の録音
若杉弘指揮 マーラー 交響曲第1番
ザンデルリング指揮 ブラームス 交響曲第1番
スイトナー指揮 モーツァルト 『魔笛』
ヨッフム指揮 ブルックナー 交響曲第8番
« 音楽データ ダウンロードサイト | トップページ | アメリカ 小売の返品制度! »
「ディスク音楽01 オーケストラ」カテゴリの記事
- ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」 ベルリンフィルによる録音のいくつか(2024.01.14)
- 2015年暮れの第九(読響とN響)のテレビ放送を聴いてトスカニーニを聴き直した(2016.01.03)
- 第6回音楽大学オーケストラフェスティバル(ミューザ川崎 2015/12/6 最終日)(2015.12.07)
- 第6回音楽大学オーケストラフェスティバル(ミューザ川崎 2015/11/28)(2015.11.29)
- 「コンサートは始まる」を20数年ぶりに再読(2015.10.01)
「ディスク音楽05 声楽」カテゴリの記事
- 小学館 モーツァルト全集のCDを夏の帰省時に持ち帰った(2014.09.02)
- 年末に届いた "LIVING STEREO 60 CD COLLECTION"(2013.01.04)
- ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ EMI録音集(11CD)(2012.06.20)
コメント