モーツァルト ピアノ協奏曲第21番ハ長調 ペライア/ECO(旧盤)
モーツァルト
ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K.467
13:58(カデンツァ:ペライア)/6:57/6:37(カデンツァ:R.ゼルキン)
〔1976年9月20日-22日、ロンドン、EMIスタジオ〕
併録 ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488
〔1984年2月16日、ロンドン、セイント・ジョンズ・スミス・スクエア〕 11:40/7:27/8:18
マレイ・ペライア(ピアノ&指揮)イギリス室内管弦楽団
先日の夕暮れ時、自動車のカーナビにMP3で取り込んだこの曲を、子どもの塾からの帰宅が日没後になったので出迎えに行ったときの待ち時間に、クルマのエンジンを切って、車幅灯だけをつけて聴いた。
カーステレオは、COMPRESSIONだとかEQUALIZERだとか、ディジタルでのホール、スタジアム等の残響調整だとかの機能がついており、その音質調整のせいかも知れないが、協奏しているオケの音量が非常に小さく、ピアノが独奏のように前面で鳴っているバランスで聞こえた。ペライアのモーツァルトもしばらく聴いていないし、確かこの録音の後も、再録音をしたのだっけ、それにしてもピアノがこんなにクローズアップで聞こえたかなどと思いながら、夕闇の中耳を澄まして聴いていたところ、この曲の調性はハ長調のはずなのに、やけに短調に転調する部分が多いことに今更ながら気がついた。
この曲は、邦題『短くも美しく燃え』という映画で第2楽章の天国的に優美な音楽が使われていることで、映画で使われたクラシック音楽には必ず登場する曲だ。以前カサドシュとセルのコンビの第23、24番のCDを買ったときに、彼等のコンビによる他の曲もいずれ欲しいと思ってネットで検索してみると第21番に人名らしい"Elvira Madigan"という題名(HMVのサイト)が大きく掲載されていてびっくりしたものだった。欧米でもこのスウェーデン映画"ELVIRA MADIGAN"(WIKIPEDIA英語版) というその題名(人名)と結び付けられ("Eliviraのテーマ"!)相当ヒットしたという。(この曲のサウンドトラックは、ゲザ・アンダがモーツァルテウムを弾き振りしたDGのステレオ初期のモーツァルトピアノ協奏曲全集とのことで、最近のDGの名曲シリーズでアンダのCDのジャケット写真として使われた女性はこの映画のヒロインのようだ。)
私ももこれまでグルダとアバドのLPを初めとして多くのピアニストの録音で聴いてきたが、ほとんど短調で書かれたような部分があるということにそれほど注意が向かなかった。
この曲は、ハ長調で書かれていることもあり、トランペットとティンパニが用いられ、第1楽章の冒頭部は、モーツァルトの他の協奏曲の冒頭でよく用いられる少々武骨な軍隊行進曲調で開始され、そのイメージが強かったのかも知れないし、途中のアインガングとかというピアニストの手すさび的なフレーズで第40番ト短調交響曲の第1主題が一瞬だけだが引用されるところに耳が囚われていたのかも知れない(これに関してはHPで我ながら小生意気なことを書いたことがある)。
ペライアのこの録音も何度も聴いているが、これまで今回のような印象は持たなかった。これは、周囲の環境(夕暮れ、クルマの中で一人でカーステを聴く、子どもを待ちながら)ゆえに耳が、短調に傾く曲調を捉えたのかも知れないなどと考えた。
私が音楽を聴くとき、その音楽から受ける印象は、周囲の状況、自分の心理状態に左右されることは以前からわかっていたが、このように聴きなれた曲でも、印象ががらっと変るような体験をしたのは興味深い体験だった。
◆参考記事
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