明治時代の教科書に現れたオオカミ
この夏休みに松本城と旧開智学校を見学してきたが、開智学校の展示物の中に興味深いものを見つけた。
(左は、開智学校の正面玄関。天使と雲、龍の組み合わせが面白い。)
2階の資料展示室に展示されていたものの中に明治時代の動物図録と教科書があり、そこに、ヤマイヌ、オオカミが掲載されていたのだ。左は「獣類一覧」という掲示用の図録に掲載されているヤマイヌの図。「ヤマイヌ 豺 深山ニ棲ム猛獣ニシテ他獣ヲ残(?)食ス 飢ニ迫レバ人ヲモ害ス」とある。ニホンオオカミの研究での躓きの石となっている「ヤマイヌ」の記述がここにもある。
こちらは、教科書(副読本?)。
肉食獣類。狼。おほかみ。
(1)種類1 狼 2 豺 ヤマイヌ とあるのが上記の関連で興味深い。
(2)部分 頭 長シ ○口 長ク且大ニシテ耳下ニ至ル 耳ハ小ナリ ○体 犬ニ似テ大ナリ ○脚 蹼(みずかき)アリテ能ク水ヲ渉ル ○毛 灰色ニシテ白色雑ル ○歯 甚ダ鋭利ナリ
(3) 常習 性猛悍兇暴ニシテ餓ユルトキは人ニ迫ル 深山ニ棲息シ他獣ヲ害シ (以下略)
ニホンオオカミの絶滅は、通説では明治38年(1905年)とされており、明治初年にはまだ全国各地にはオオカミは棲息していたものと考えられる。実際に長野の深山に棲息していたかは不詳だが、教科書としては上記のように児童に教えられていたようだ。この開智学校の洋風校舎は、明治9年に竣工したという(ちなみに中込学校は、明治8年に竣工)。教科書、図録自体がいつのものかは記されていたと思うのだが、写真としては撮影してこなかったが、明治期のものであったことは確実だ。
参考:オオカミに関する記事
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