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2007年9月17日 (月)

ガヴリーロフのバラキレフ『イスラメイ』

Gavrilovtchaikovskynr1lisztbarakire

 ミリイ・アレクセエヴィチ・バラキレフ(1837-1910)

『イスラメイ』(東洋風幻想曲) (7:53)

アンドレイ・ガヴリーロフ(ピアノ)

〔1977年7月13、15日、ロンドン、アビーロード・スタジオ〕

(併録 チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ムーティ指揮フィルハーモニア管<1979>, リスト『ラ・カンパネラ』<1977>)

今年の冬ブックオフの250円-500円の棚で見つけた東芝EMI 新・名曲の世界67というシリーズもの。以前から聞きたかった『イスラメイ』が聴けるので購入した。

これまで一回通しで聴いただけだったが、子どもがリストの『愛の夢第3番』を聴きたいというので、取り出したCD(フジ子ヘミング、シフラ)に『ラ・カンパネラ』が収録されており、この曲の聞き比べを一緒にしたのだが、そのとき一緒に『イスラメイ』をステレオセットで聴いた。

小型のインナーイヤーステレオイアフォンで聴くのとは違い、スケール感が感じられ面白かったし、密室的ではないためか、ガヴリーロフの豪快で緻密な演奏を楽しめた。

『イスラメイ』は、ピアノ曲史上最も演奏困難な難曲として知られていることは以前から知っていたのだが、このCDで聴くまでは聴いたこともなかった。恐らく、バラキレフの曲を聴いたのも初めてだと思う(FM放送の流し聴きは除いてだが)。

以前、インターネットホームページでピアノの難曲を特集したページがあったが、そのようなマニアックでディープな世界もあるのかと思った程度であまり関心がなかったし、その方面でアムランなどの超絶技巧のピアニストやゴドフスキーというピアニストが編曲したショパンの練習曲集などについても一時は噂を耳にしたものだが、ブームの元になったそのサイトも更新を停止しているようだ。

ただ、この『イスラメイ』は、ラヴェルが『夜のガスパール』を作曲するにあたって影響を受けたというような話を聞いていたこともあり、興味があった。

今はIMSLPがあるのでこのような少し知られた曲ならすぐに楽譜を確認することもできるが、聴いてみただけでもとにかく同音連打が激しく使われたりする曲のようだ。ピアニストはものすごく疲れるだろうと思う。

ただ、この曲はそのようなヴィルトゥオジティを要求するだけでなく、音楽の素材の面でも魅力的であり、それが単なる超絶技巧曲とは一線を画すのではないかと思える。

ロシアの五人組のリーダーであるバラキレフだが、この曲で用いた音楽素材は、ロシアの辺境である黒海地方やタタール人に起源を持つものらしい。五人組のリーダーがそのようなところにロシアらしさを求めたためだろうか、wikipediaによれば、リムスキー=コルサコフも、ボロディンもこの曲に敬意を表して、それぞれの有名な自作『シェエラザード』や『イーゴリ公』に引用をしているらしい。ロシアらしさとは何かという回答の一つがこの曲にあるのではなかろうか?

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