J.S.バッハ 『クリスマス・オラトリオ』(ガーディナー)を聴く(2of6)
Weihnachts Oratorium BWV248 (クリスマスオラトリオ)
指揮:ジョン・エリオット・ガーディナー
管弦楽:イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
合唱:モンテヴェルディ合唱団
アルジェンタ(S),ホールトン(S),プリングル(S),フォン・オッター(Ms),ブロッホヴィッツ(T),ジョンソン(T),ベアー(B)
1987年1月、ロンドンでの録音(場所は不詳)
第1部 降誕節 第1祝日(12月25日)用 全9曲
第2部 降誕節 第2祝日(12月26日)用 全14曲
第3部 降誕節 第3祝日(12月27日)用 全13曲
第4部 新年(1月1日 キリストの割礼と命名記念日)用 全7曲
第5部 新年後の主日(日曜日:1月2日から5日の間の日曜日に限る)用 全11曲
第6部 主顕節(顕現節 1月6日)用 全11曲
第2部 降誕節 第2祝日(12月26日)用 全14曲
第2祝日用の第2部12月26日当日に聞いた。この第2部あたりまでは、全曲一気リスニングの際に何とか集中力が続いている部分で、そのため何度も聞いていることになり、それなりに親しみがある部分だ。
12月25日のクリスマス当日は、日本では街もイヴに比べてひっそりして、一年で最も昼の短い時期の既に夜の暗さの帰宅時には、駅ビルなどでケーキの安売りなどが行われる。そして、今日12月26日ともなれば、クリスマスツリーやリースも片付けられ、家庭ではケーキの残りがあればそれをボソボソと食べ、大晦日を迎える準備をそろそろ始めるかという気になる頃だ。しかし、ルター派の教会では、第2祝日(クリスマス2日目)が祝われる。
1.シンフォニア ト長調 12/8 (パストラーレ)
2.福音史家:このあたりに羊飼いおりて
3.コラール:差し出よ、おお 美わしき朝の光よ
4.福音史家と天使:御使かれらに言う---恐るな、見よ、われ汝らに大いなる喜びを告ぐ
5.レチタティーヴォ(バス):神いにしえの日アブラハムに約したまいしことの
6.アリア(テノール):喜べる羊飼いらよ、急げ
7.福音史家:かつその徴として
8.コラール:かしこを見よ!この暗き畜舎に伏す者
9.レチタティーヴォ(バス):さらば行けかし、汝ら羊飼いよ
10.アリア(アルト):眠りたまえ、わが尊びまつる者
11.福音史家:するとたちまち御使のもとに
12.合唱:いと高きところには栄光、神にあれ
13.レチタティーヴォ(バス):その調べもて、汝ら御使よ
14.コラール:われらは汝の軍勢に交りて歌いまつらん
第1曲Sinfonia pastorale については、先日のベーム/VPOによるベートーヴェンの『田園』交響曲のときに触れたものだが、リコーダーアンサンブルのための「笛はともだち」というシリーズのバッハの曲集に掲載されていたもので、ゆったりとした8分の12拍子の音楽を珍しく聴くよりも吹いて覚え、その後このCDを聞いたときに、ああ、この曲かと思ったものだった。そんなわけで、この曲がこのクリスマスオラトリオの中で一番親しい。
第6曲テナーのアリアは、ト長調の平行短調のホ短調による密やかなアリアだが、中間部ではコロラトゥーラ(メリスマ?)風のフレーズがオブリガートのフルートと一緒に歌われ印象的だ。
第10曲(通し番号では第19曲)のアルトのアリアは、おさなごイエスへ捧げる子守唄。それぞれ1分に満たない長さの曲が多い第2部の中では9分を越す大曲で、この第2部の中心をなしている。ト長調、4分の2拍子のゆりかごの歌のような穏やかさに満ちた曲だ。ただし、歌詞は、安らかに眠った後は、諸人の栄えのために目覚めたまえという勇ましい内容になっている。
第12曲の合唱は、ルカ伝2,14の有名な言葉『いと高きところには栄光、神にあれ。地には平和、しかして人には主の悦びあれ』(ドイツ語は勿論マルティン・ルターの訳文)によるフーガ(この曲集全体ではあまり使われることがないように思う)による明るく前向きな讃美歌になっている。
第14曲のコラールは、リトルネロとして第10曲のシンフォニアが用いられており、これで第2部としての統一感を醸し出しているようだ。
全体として、楽器編成でもトランペットやティンパニといった華やかだがうるさい楽器は使われず、全体的におさなごイエスを見守るかのような柔和な音楽を聞くことができる。
第
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