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2007年12月24日 (月)

J.S.バッハ 『クリスマス・オラトリオ』(ガーディナー)を聴く(1of6)

Jsbach_weihnachtsoratorium_gardiner Weihnachts Oratorium BWV248 (クリスマスオラトリオ)

指揮:ジョン・エリオット・ガーディナー
管弦楽:イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
合唱:モンテヴェルディ合唱団
アルジェンタ(S),ホールトン(S),プリングル(S),フォン・オッター(Ms),ブロッホヴィッツ(T),ジョンソン(T),ベアー(B)

1987年1月、ロンドンでの録音(場所は不詳)


第1部 降誕節 第1祝日(12月25日)用 全9曲
第2部 降誕節 第2祝日(12月26日)用 全14曲
第3部 降誕節 第3祝日(12月27日)用 全13曲
第4部 新年(1月1日 キリストの割礼と命名記念日)用 全7曲
第5部 新年後の主日(日曜日:1月2日から5日の間の日曜日に限る)用 全11曲
第6部 主顕節(顕現節 1月6日)用 全11曲

12月24日はクリスマス・イヴ。日本では、この日の夜が特に子どものいる家庭や恋人達の特別のお祝いの日のようにもてはやされている。クリスマスプレゼントは、この夜にサンタ・クロースが配り、翌朝子どもが目覚めると靴下の中に入っているという、ヨーロッパの風習なのかアメリカの風習なのか分からないが、日本の子ども達の楽しみになっている。(サンタ・クロースの赤い衣装は、20世紀のUSAのコカコーラ社の広告が元になっていると聞いたことがあるがどうもこれは俗説らしい)。

Wikipedia で クリスマス・イブを調べると、http://ja.wikipedia.org/wiki/クリスマス・イヴ 「ユダヤ暦およびそれを継承する教会暦では、日没をもって日付の変り目とする。このため伝統的教会では、クリスマスイヴの日没からクリスマスを起算する。」とあり、これがクリスマスの前夜祭 Christmas Eve として年中行事化したものらしい。

さて、このクリスマスの降誕節を祝う教会暦に合わせて誂えられたのが、このバッハによる『クリスマス・オラトリオ』だが、J.S.Bach のキリスト教音楽の大曲として『マタイ受難曲』、『ヨハネ受難曲』、ミサ曲ロ短調とならび称される大曲だ。しかし、この曲の全曲を一度に聴きとおしたことがほとんどない。この理由としては、演奏のせいなのか(カール・リヒターの録音は未聴)、曲そのものが私にとって魅力的でないのか(自分の理解力、受容力が不足しているのか)よく分からないでいる。1994年に妻からプレゼントされて以来、毎シーズン今回は聞こうと思い立つのだが、これまで受難曲とロ短調ミサに比べるとどうも疎遠な曲集だ。

今回は、そんな習慣から逃れるべく、気合を入れて聞いてみることにした。先日のモーツァルトの『コシ』同様、満足できる結果が得られるかも知れない。

まずは、この大曲の構成だが、オラトリオと名前が付けられていても、ヘンデルの著名な諸作品やバッハの受難曲(オラトリオの一種)とも違い、カンタータが6曲、ドイツのルター派のクリスマスの祝日での上演に合わせて作曲されたものの集成だということが重要だ。その意味で一挙に聞きとおすようには作曲者自身意図してはいないということだ。これについては知ってはいたが、一度に聞きとおそうと無理をして途中で挫折することが多かったので、今回は一日に一曲ずつ聞いてみようと思う。

ARCHIV盤の訳詩や解説は、おなじみの杉山好氏のもの。

1. 合唱:歓呼の声を放て、喜び踊れ
2. 福音史家(ルカによる福音書):その頃皇帝アウグストより勅令出で
3. レチタティーヴォ(アルト):いまぞ、こよなく尊い花婿
4. アリア(アルト):備えせよ、シオンよ、心からなる愛もて
5. コラール:いかにしてかわれは汝を向かえまつり
6. 福音史家:いかにしてマリヤは男の初子を生み
7. コラール(ソプラノ)とレチタティーヴォ(バス):彼は貧しきさまにて地に来たりましぬ---たれかよく この愛を正しく讃えん?
8. アリア(バス):大いなる主よ、おお、強き王
9. コラール:ああ、わが心より尊びまつる嬰児イエスよ

ニ長調の晴れやかなトランペットを伴った幕開けのコーラスは、同じくニ長調で書かれた聖母マリアのための『マニフィカト』 (英訳My soul doth magnify the Lord.) と共通性を持つ曲調だ。『マニフィカト』もクリスマスの夕べの祈り(晩課)に用いられる楽曲なので、その喜びの感情に共通性があるのだろう。(ただし、『マニフィカト』の初版は変ホ長調だったという。現在の曲よりも半音高い主音だったわけだ。)

第2曲、福音史家が登場するところに、この曲が通常のカンタータとは異なり、受難節のためのオラトリオ(受難曲)との共通性を示し、オラトリオと称される一因であるのだろう。

第3曲、第4曲 アルトのフォン・オッターのアリアは感情豊かで聞き応えがある。花婿イエス・キリストと花嫁シオン(エルサレムを中心としたイスラエル)の寓意による。

第5曲 P.ゲールハルト作詞待降節コラールは、受難曲のどれかで聴いたような記憶があるのだが、どれだったか?

第6曲で、福音史家により、イエスの誕生が淡々と告げられる。

第7曲は、有名なカンタータ第147番の『イエスよ、わが魂の喜びよ』(主よ、人の望みの喜びよ)と同じ構造の、コラール合唱のようだ。オーボエ・ダモーレが美しい。

第8曲は、バスとトランペットによるアリア。一時期、F=ディースカウの後継者に目されたベーアが美声で端正に歌っている。

第9曲は、第7曲と同様、ルター作のコラール。ティンパニとトランペットの響きが天からの賛美のように響く。

第2部は年末までの別の日に聞くつもりだ。

第 2部 降誕節 第2祝日(12月26日)用 全14曲 に進む

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