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2007年12月20日 (木)

セルの『ペールギュント』組曲、ラヴェル

Szell_grieg_ravel_2グリーグ『ペール・ギュント』組曲 
朝 4:11
オーゼの死 5:02
アニトラの踊り 2:33
山の魔王の宮殿にて 2:26
ソルヴェイグの歌 5:17

ラヴェル
『ダフニスとクローエ』第2組曲 15:00
『亡き王女のためのパヴァーヌ』 6:23

ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団

グリーグの没年は、1907年なので、今年2007年は没後100年の記念年だった。祖国ノルウェーではさぞ盛大な催しがあったこととは思うが、個人的には今年になって「ホルベアの時代」を何回も楽しんだりした程度で、あまり意識することはなかった。

セルのグリーグ、ラヴェルは、これまでほとんど聞いたことのなかったものだが、The Great Collection Of Classical Music シリーズの一枚でFDCA507 という型番が中古店の分売で売られており、グリーグやラヴェルがどんな演奏だろうかとの興味から求めたもの。

グリーグは、有名な「朝」から大変丁寧な音楽が奏でられる。ヴィブラートの少ない清楚なフルートとオーボエの絡み合いから、クリーヴランド館の一糸乱れぬ弦楽合奏によって朝日が昇ってくる。品格のある風景画を見ているかのようだ。以降、第1組曲からの3曲と、第2組曲の終曲のソルヴィエグの歌の合計5曲という珍しい収録なのだが、オリジナルの録音がこうだったのかは分からない。全体として凄く真摯な音楽になっている。

ラヴェルは、オーケストラの繊細な妙技を堪能できる。『ダフニスとクローエ』第2組曲は、トラックが一つしかなく、どうしても通して聞くことになる。フランス系のアンセルメやクリュイタンス、デュトアの表現とは違い、靄のような音の描写を前面に出すのではなく、スコアの細部まで明確に表現しているように聞こえる。それがユニークでもあり、少々違和感も感じるところだ。特に冒頭の木管の装飾的な音型の繰り返しも明瞭に演奏されるので、少々うるさい感じになってしまう。ただ、こちらも弦楽合奏による音楽の流れや表情は見事だ。

この第2組曲も、日の出の様子を描写しているが、その点「ペール・ギュント」と合い通じるところがある。また、『オーゼの死』『ソルヴェイグの歌』での悲哀の描写と『亡き王女』も対応関係にあるように思う。このアルバムは、そのような意図で作成されたのだろうか?

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ディスク音楽01 オーケストラ」カテゴリの記事

コメント

僕もこのCD持っています。セル/クリーヴランド管のスッキリした演奏は、グリーグですと北欧の清冽な空気を想像させてくれます。大好きな演奏です。
ラヴェルはモヤモヤしたところのない、これも明瞭でスッキリ、いろいろな楽器の動きが聞こえるのが楽しいですね。
録音が今ひとつで残念なんですが、これは我が家のシステムとの相性かもしれません。

mozart1889さん コメントありがとうございます。

大げさな言い方ですが、セルの録音の多くは、いろんな意味で、20世紀の再現芸術の一つの極致だったのかも知れないなどと思っております。

乾燥気味の音は、トスカニーニのものもそうですが、やはり聴きづらいですね。

リマスタリングされた没後30周年のCDの音が結構改善(美化?)され聞きやすいので、CBS録音のみならずEMI,DECCA録音も綿密なリマスタリングが行われないものでしょうか?それとももう既に発売されているのですかね。

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