ドラマスペシャル「のだめカンタービレinヨーロッパ」第2夜
金曜日の夜の第1夜に続いて、土曜日の夜も第2夜を堪能した。
こちらは期待以上にシリアスなドラマに仕上がっていた。天然ピアノ大好き娘の「のだめ」の壁・苦悩と努力、そして(少々安易ながら)苦悩を突き抜けて歓喜へのストーリーが原作のエピソードをそれなりに上手く組み合わせて表現されていたのがよかった。日本人が敢て西洋音楽を演奏し、聴く意味というところまでは踏み込まれてはいなかったが、そこまでは娯楽ドラマとして仕方がないだろうなとは思った。
原作のイメージに合っていたのが、若手ピアニストナンバーワンの中国系美人、孫ルイを演じた山田優で、彼女の弾くリストの超絶技巧練習曲集から第4番 ニ短調「マゼッパ」は、誰の演奏が音源かは知らないが、CMの間に取り出して確認した小菅優のSonyへの録音の超絶技巧練習曲集の相当凄い演奏と遜色のないほどだったように聞こえたほどだった。(のだめがルイのビデオをコピーして練習をしている演奏はさすがにそれなりの演奏だったし、オクレール教授の前の演奏も楽器の鳴りの点ではルイの演奏に比べると違っていたのは面白かった。) それにアップで、この難曲の指使いを何回も見られたのはすごく面白かった。ルイの母が片桐はいりだったのは意外だったが、中国人のピアノ学生ユンロンが登場して来ないのは少々淋しかった。
のだめの苦悩の解決として、ルーアン?の教会でのリサイタルとまさに西洋の城(宮殿)はかくやと思わせる古城でのモーツァルトパーティは、なかなか見ごたえがあった。原作でも印象的だった「キラキラ星変奏曲」(ああ、ママに言うわ)とモーツァルトの最後のソナタニ長調、そして(原作ではラヴェルの「水の戯れ」だったが)ラヴェルの「道化師の朝の歌」は、本当にあのロケをおこなった教会で録音したのだろうか、残響が見事に聴かれた。さらに、宮殿内でのモーツァルトパーティ(城主は、ダニエル・カール!、執事はパンツェッタ・ジローラモ)での、野武士黒木君のモーツァルトのオーボエ四重奏曲もよかった。(ターニャのイ短調ソナタも聴きたかったが、ターニャの黒木君への軽侮が思慕に変わるのはうまく演じられていた)。
また、のだめ苦悩中のノエルの教会での賛美歌、バッハやモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム」はなかなかのものだった。
真一の日本での代役デビューは、川崎のミューザのシンフォニーホールでだっただろうか?山田優のルイとのラフマニノフの3番のフィナーレも結構迫力があったが、コンクール優勝記念のヨーロッパデビューコンサートのブラームスの第1番は、パリでのコンサートという設定だが、第1夜のスメタナホールでのロケだっただろうか?(クレジットでは、プラハ放送交響楽団がオケを務めたらしい。) コンマス、ホルニスト、フルーティスト、バスーニストもいい味を出していた。
原作では、この後も彼らの活躍やドタバタは続くのだが、テレビドラマとしては、連続ドラマの続きをたくみにつないで巧く盛り上げて大団円を形作ったというところだろうか?
原作のドタバタを知らないいわゆる免疫のない人には、「ぷりゴロタ」や「砂漠のプロメテウス作戦」、「ワンモアキス」などでのシュトレーゼマンの女好きなどの極端な描写は首をかしげるものだったかも知れないが、その意味で原作ファンにとってはよくぞここまでという面はあった。出演者、スタッフ御一同にお疲れ様をいいたい気分だ。
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» 「のだめカンタービレ」を観る(2) [電網郊外散歩道]
昨晩も、「のだめカンタービレ」新春スペシャル第2夜を堪能しました。今回は、「のだめ」こと野田恵さんのピアニストとしての悩みと成長がテーマです。
オークレール先生という人は、素晴らしい先生ですね。「あなたは何のためにピアノを弾くのか」という質問は、ライバルに技巧で追い付こうとするのだめにとって、本質的で焦眉の課題だった。ピアニストは、自分の持ち味で、自分が発見した音楽を通じて、聴く人に喜びを与えることが嬉しいものなのだ、ということを体得させるのです。なんとかいうモーツァルト・マニアの貴族の館で、ヴォ... [続きを読む]
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「のだめ」新春スペシャル、二晩ともたいへん楽しく面白く観ました。ご指摘の、教会でモーツァルトの響きを理解する場面のきっかけになった賛美歌は、たしか「神の御子はこよいしも」でしたね。ノエルの代表的なものかと思います。私は免疫のない代表のようなものですので、竹中直人さんのシュトレーゼマンは思わず??でした。勝手な印象ですが、竹中シュトレーゼマンは美術彫刻系で、音楽家はもう少し存在に透明感があるのでは?と思いますが、どんなもんでしょうか(^o^;)>poripori
投稿: narkejp | 2008年1月 6日 (日) 21:26
narkejpさん、こちらにもコメント、トラックバックをいただきありがとうございます。
家族そろってファン(長男はコミックは興味がないようですが)の我が家では、二晩とも9時までに食事、入浴、宿題!を済ませてじっくりと楽しみました。
パリの教会での讃美歌は、おっしゃる通り第111番の讃美歌でしたね。
http://www.soundpie.com/hymn/111.htm
英語歌詞の"O come all ye faithful"ではなく、"adeste, fideles"というラテン語で歌われていましたが、モーツァルトの"Ave verum corpus"の残響豊かな合唱とともに美しくて感動しました。
やはり免疫の無い方には、竹中シュトレーゼマンは強烈過ぎたことでしょうね。本編のドラマの時にも賛否両論でしたが、いつの間にか慣れてしまっていました。もし娘さんのお持ちのコミック原作を読まれる機会があれば、そのギャップに驚かれることと思います(^^) 原作では、シュトレーゼマンはカラヤン風、ヴィエラ先生はシノーポリという感じでした。
投稿: 望 岳人 | 2008年1月 6日 (日) 22:31