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2008年1月10日 (木)

ドラマスペシャル「のだめカンタービレinヨーロッパ」補遺、ランラン

のだめのピアノ音源が誰のものか調べていたら、アマゾンで今回のBGMが発売されており、その中のレビューに非常に詳しい情報が載っていた。

それによると
 マゼッパは、上野真氏(京都市立芸大)
 ラフ3、道化師の朝の歌は  野原みどり氏(ロン・ティボー優勝者)
 モーツァルトは 三輪郁
などが使われたらしい。

寡聞にして野原氏は名前を聞いたことがある程度で、他の方は知らないピアニストだが、ホームページを閲覧すると実力者揃いらしい。特に上野氏は、超絶技巧のCDも録音している。

また、コンクール時の演奏は、ウラディーミル・ヴァーレク指揮のプラハ放送交響楽団が行い、チャイコフスキーのソリストは、パヴェル・エレットというヴァイオリニストだったようだ。

それと、少々ドビュッシーを想起させた 「もじゃもじゃ組曲」の 第1曲「もじゃもじゃの森」は、大島ミチル氏の作曲で、沼光絵理佳氏のピアノだったようだ。

ところで、原作の孫ルイを見て現役の中国出身の男性若手ピアニスト ランランを思い出したと以前書いたことがあったが、ちょうど日曜日の題名のない音楽会でランランが特集されていて面白かった。( 「のだめカンタービレ」第9巻から第11巻(最新刊)第11巻p.128 、「ハーンとランラン」

彼は幼い頃、何とアメリカアニメ「トムとジェリー」の短編"The Cat Concert"(ピアノ・コンサート)を見てピアニストを志したのだという。 また、バレンボイムに師事した際、ショパンの「黒鍵」をオレンジを転がす曲芸を教わったとのことで、妙技?を披露。ただ、『猫のコンサート』で用いられたリストのハンガリー・ラプソディー第2番をホロヴィッツ編の音の多い版で演奏したが、結構難しいらしく音が怪しいところが何箇所かあった。なお、ランランはピアニストを志した子供時代から平日は6時間、休日は8時間の練習をしていたという。タレント系のヴァイオリニストだが、高島ちさこも先日テレビで、子供の頃は親に叩かれながら練習したと語っていた。プロになれるだけの技量は一朝一夕では身につかないもののようだ。

ランランはチェロのヨーヨーマに通じる楽天性と超絶技巧の持ち主ゆえに、柴田南雄の『マとビルスマ』のエッセイが参考になる。

なお、トムとジェリーでは、ワルツ王ヨハン・シュトラウス2世の飼い猫をトムが演じる短編"Johann Mouse"(ワルツの王様)もあり、なかなかよくできている。製作者が結構音楽好きだったようだ。

ところで、「のだめ」という言葉については、「のつぼ」と「こえだめ」の合成語を連想してしまうのが普通らしいが、改めて国語辞典で「のだめ」を調べてみたところ結構興味深い言葉が見つかった。

のため【箆撓・箆矯】
(「のだめ」とも)矢竹の曲がりをため直すこと。また、その具。細い木にすじかいに溝を彫り刻み、箆を入れて撓める。

のだけ【箆竹】
矢の箆に作る竹。箆(の)。

の【篦】
1 植物「やだけ(矢竹)」の異名。
2 矢の竹の部分。矢竹で製した矢柄。

(以上、Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国
語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988 より)

竹の曲がりを矯正するというような意味で使われる言葉のようだが、天然の才能(天才)を持った少女が、クラシック音楽というconservative (コンセルヴァトワールと同じ語源)な伝統継承と楽譜(テキスト)重視の世界で、野性味は保ちながら次第に成長していく、というような。狼少女エレーヌ・グリモーも連想させる。

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コメント

こんにちは。
ドビュッシー風のもじゃもじゃ組曲が大島ミチルの作曲だったんですね。
何気ない曲でもちゃんと作りこんでいたので、だれの作曲かと思っていました。

ピースうさぎさん コメントありがとうございました。

本編のドラマでは聞けなかった「もじゃもじゃ組曲」が聞けて楽しかったですね。コミック原作の描写にうまく合わせて洒落た感じの曲だったので、誰が作曲したのかと思っていましたが、アマゾン情報(既にCDは店頭でも山積になっていました)では、大島ミチル氏でした。器用な方のようですね。ただ、原作の協力者 大澤徹訓さんではなく、少々残念でした。

のだめカンタービレも初期の頃から大ファンです。
私のブログで「同じ森の人たち」の森は
のだめ原作の「変態の森へようこそ」の森から
つけました(笑)
でもイメージとしては「となりのトトロ」の
クスノキの森のイメージもプラスしてますが。
私は のだめチャンや 
そのモデルになったリアルのだめこと
野田恵さんに負けないくらい片付けられない女ですが
あの漫画でずいぶん救われています。
まあ、こういうキャラクターもいいかしらって。
ちなみに主人が音楽について語ってることが
千秋先輩に似ていてよく笑ってしまします。

また 主人にもこちらのブログを
ご紹介させてくださいね。

これからも宜しくお願いします。

くすのきさん、こちらにもコメントありがとうございます。

「のだめカンタービレ」は私は最初恐る恐るだったのですが、元々漫画好きなこともあり、あっという間にハマってしまいました。「片付けられない女」という本?が以前あったように思いますが、私は男性でいつもは几帳面に片付けておくのが好きなのですが、心身の調子によってある日突然片付けるのが億劫になり、自室や仕事場の机回りが乱雑になるという癖(特徴)があります。大体その時は心身のパワーが落ちているという信号なのですが。

「のだめ」からは、漫画もドラマもアニメでもいろんな意味でパワーをもらえています。それもああいう主人公の設定だからだと思います。彼女は、少々大げさな表現ですが、(トトロ関連でナウシカではありませんが、ナウシカとは別の意味で)私にとっての救いですね。

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