J.S.バッハ 『クリスマス・オラトリオ』(ガーディナー)を聴く(4of6)
Weihnachts Oratorium BWV248 (クリスマスオラトリオ)
指揮:ジョン・エリオット・ガーディナー
管弦楽:イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
合唱:モンテヴェルディ合唱団
アルジェンタ(S),ホールトン(S),プリングル(S),フォン・オッター(Ms),ブロッホヴィッツ(T),ジョンソン(T),ベアー(B)
1987年1月、ロンドンでの録音(場所は不詳)
第1部 降誕節 第1祝日(12月25日)用 全9曲
第2部 降誕節 第2祝日(12月26日)用 全14曲
第3部 降誕節 第3祝日(12月27日)用 全13曲
第4部 新年(1月1日 キリストの割礼と命名記念日)用 全7曲
第5部 新年後の主日(日曜日:1月2日から5日の間の日曜日に限る)用 全11曲
第6部 主顕節(顕現節 1月6日)用 全11曲
第4部 新年(1月1日 キリストの割礼と命名記念日)用 全7曲 (通しでは第36曲から第42曲)
ここからCDの2枚目に入る。元日に聞くべきものだが、一日一曲で、1月3日の帰省から帰宅後に聴いた。
元旦は、より享楽的にフランスの83歳の指揮者ジョルジュ・プレートルの指揮によるヴィーナー・フィルハーモニカーによる新年演奏会を少し聞くことができた。プレートルの登場は以前からアナウンスされていたにもかかわらず、容貌を知らなかったので、どこか東野英治郎やクナパーツブッシュに似ている老人は誰だろうとしばらく分からなかったが、ああこの人がプレートルかという感じだった。最近ではヴィーンフィルが最も楽しそうに演奏していたように聞こえた。プレートルは、私にとってはカラスによる『カルメン』(1964)の指揮者として親しい人だが、44年前といえば、プレートルもたった39歳だったわけで、隔世の感がある。
なお、実家にある、昭和30年代発行の音楽之友社版の名曲解説全集「歌曲」篇をひも解き、この「クリスマス・オラトリオ」の解説をざっと読んでみたが、既に1960年代において現在通常この曲集について書かれている必要十分な内容が簡潔に記されており、驚いた。
1.合唱:ひれ伏せ、感謝もて、ひれ伏せ、讃美もて
2.福音史家:八日みちて、幼な子に割礼を施す日となりたれば
3.レチタティーヴォ(バス)とアリオーソ(ソプラノとバス):インマヌエル、おお甘きことばよ!-イエス、こよなく尊きわが生命よ
4.アリア(ソプラノとエコー):答えたまえ、わが救い主よ-いな!
5.レチタティーヴォ(バス)とコラール(ソプラノ):さらばいざ!汝の御名のみ-イエス、わが喜びの極み
6.アリア(テノール):われはただ汝の栄光のために生きん
7.コラール:イエスわが始まりを正し
第1曲、ヘ長調の穏やかな合唱で始まる。まさに、明けましておめでとうの雰囲気に合致する「めでたさ」を寿ぐ気分に満ちている曲調である。歌詞の内容は、人々に、救い主、贖い主、神の御子の前にひれ伏せ(Fallt)と呼びかける。ヘ調のホルンが柔和な気分を醸し出す。
第3曲は、バスのレチタティーヴォとソプラノとバスによる二重アリオーソで、ソプラノのコラールが慎ましやかで美しい。
第4曲は、ソプラノによる美しいアリアで、エコーが遠くから響き、オーボエソロがオブリガートを奏でながらアリアに寄り添っている。死をいとうべきか、喜び迎えるべきかという自問自答が歌詞であり、元日であり幼な子イエス・キリストの割礼の祝いの日というのに、厳しい内容である。
第5曲は、第3曲と同じ編成のバスのレチタティーヴォとソプラノとバスによる二重アリオーソ。コラールも第3曲と同じ曲。
第6曲は、テナーによるアリアだが、二提のヴァイオリンによる協奏曲的な器楽伴奏が印象的な曲である。これは主調のヘ長調の平行短調であるニ短調による。
終曲である第7曲は、第1曲と同じくヘ長調。J.リストによる新年コラールに基づく。
この新年の第1部は、ストーリー的な展開は、第2曲目の福音史家による割礼を施したということにつき、その他は誕生したイエスへの祈りに尽きるようだ。
なお、第5部は1月2日から5日に日曜日がある場合に演奏されるものだが、今年は1月6日が日曜日のため、もし今年指定通りに聞くとすると聞けなくなってしまうので、土曜日に聞き、1月6日指定の第6部をその当日に聞こうと思っている。
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>東野英治郎やクナパーツブッシュに似ている老人
たしかに。思わず笑ってしまいました。83歳だそうで、元気ですね。楽員が楽しそうなのがわかり、嬉しくなりました。
投稿: narkejp | 2008年1月 5日 (土) 09:40
narkejpさん、こんにちは。コメントありがとうございます。細かい部分まで読んでいただき恐縮です。誰だろう誰だろうと思いながら、新聞で確認して、合点がいった次第です。
今年の「ニューイヤー」は妻の実家だったため全編を見ることはできず、前半は見逃してしまいましたが、最後の方の『皇帝ワルツ』や『インドの舞姫』、スポーツポルカ、『美しき』や『ラデツキー』は楽しむことができました。
このところ小澤、アーノンクール、ヤンソンス、メータ、マゼールと大物が続き、また来年はバレンボイムだそうですが、ときには今回のように甘いトカイワインのような演奏も楽しみたいものですね。
投稿: 望 岳人 | 2008年1月 5日 (土) 11:25