1月に、ブラームスとシベリウスの1番を聴き、2月にはラフマニノフの2番を聴いた。2番をもう一曲くらい聴こうかと思うが、どれにしようか迷う。
ハイドン全集の2番は? モーツァルトの2番は今手持ちにはない。ベートーヴェンの2番はいくつもあるし迷う。ブラームスも同じ。ボロディンの2番という手もあるし、カリンニコフの2番もいいかもしれない。チャイコフスキーとドヴォルザークの2番はこれまでまともに聴いたことがないし手持ちもない。シューベルトの2番もブロムシュテットの全集にあるが。シベリウスのは先月1番を聴いたし。メンデルスゾーンの2番は讃歌だったか、これは聴いたことがないし音盤もなし。ブルックナーの2番も自分的には欠番状態。マーラーの『復活』はつい先日8番を聴いたばかりだし。シューマンの2番というと、あのバーンスタインが存命の頃、札幌のPPMだったかのオケを入魂の指導していた緩徐楽章と、セルのルガーノライヴを思い出すが今は聴きたい気分ではない。グラズノフ、プロコフィエフやスクリャービン。サン=サーンス、ルーセル。ヴォーン=ウィリアムズ、エルガー。彼らの2番は未聴、未所持。ショスタコーヴィチの2番はちょっと敬遠気味だ。疲れているし。そういえばフルトヴェングラーの交響曲第2番というのも一時話題になったこともあったが聴いたことがない。バーンスタインのも。
そうそう、ニールセンの2番があった。これは、のだめ関連で、ニールセンの『不滅』(第4番)を買ったときに、カップリングされていたが、まだまともに聴いた記憶がない。せっかく思い出したので、これを機会に聴いてみよう。
ニールセン 交響曲第2番 作品16 というのだが、『四つの気質』という変わった題名が付けられている。
気質というと、クレッチマーによる気質の分類が思い浮かんだりするが、CDの解説によると「胆汁質」「粘液質」「憂鬱質」「多血質」を表現しているということで、WIKIPEDIA 性格をひも解くと、ルドルフ・シュタイナーの性格分類がちょうどこれにあたっているらしい。(ブルーノ・ヴァルターはこのシュタイナーの人智学に傾倒していたということを読んだことがあるが、ここでは直接の関係がない。)といっても、このシュタイナーの性格分類自体、ギリシャのヒポクラテスによる四体液説に基づいているので、シュタイナーとニールセンのこの交響曲に直接の関係があるかどうかは分からない。ただ、時代的には1856年生まれのニールセンと、1861年生まれのルドルフ・シュタイナーであるので、ちょうど同時代人ではあるからまったく関係がないとは言い切れないかも知れない。
このCDは、今マゼールに率いられ、日系人の富豪(女性)の資金援助を受けて北朝鮮を訪問しているニューヨーク・フィルハーモニックによる1973年の録音。指揮者は、桂冠指揮者のレナード・バーンスタイン。彼の性格分類は非常に難解そうだが、音楽は非常に解説的だったと評される。ヤングピープルズコンサートやテレビレクチャーの印象も強く、音楽を自ら生きるのではなく、どのように感動しているかを外側から解説するようだということらしいが、いまいち分からない。マーラーなどでは没我的に音楽にのめり込んでいるようにも聴こえるが、NYP時代はどちらかというと啓蒙的な使命感から解説的な音楽だったのかも知れない。
第1楽章 Allegro collerico Collerico とはイタリア語で「短気な、怒りっぽい、かんしゃくもちの」という意味のようだ。
胆汁質:古代ギリシアの医学者ヒポクラテス以来の気質分類の一つ。情動反応が強く激しく怒りやすい性格をいう。(Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988)とあるから、ちょうど当てはまる。
第2楽章 Allegro comodo e flemmatico 心地よくかつ冷静なアレグロ。
flemmatico は、英語の phlegmatic にあたるようで、「沈着、冷静な」「粘液質の;無精な,無気力な,のろまな;無感動な」(Progressive English-Japanese Dictionary, Third edition ゥ Shogakukan 1980,1987,1998/プログレッシブ英和中辞典 第3版 ゥ小学館 1980,1987,1998)とある。 ねんえき‐しつ【粘液質】 気質類型の一つ。感情的につめたく遅鈍な気質。保守的な傾向があるが、意志強く耐久力がある。(Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988)
第3楽章 Andante malincolico これは想像がつく。メランコリックだろう。つまり憂鬱質だ。
ゆううつ‐しつ(イウウツ‥)【憂鬱質】 些細なことも重大に考え、心配し続ける気質。(Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988)
第4楽章 Allegro sanguineo 英語でも sanguine という形容詞がある。イエス・キリストの受難で、ラテン語の聖句にsauguine という言葉が出てきて血を意味するので、多血質ということだろう。たけつしつ【多血質】 古代ギリシアの医学者ヒポクラテス以来の気質の分類の一つ。快活・活動的であるが、感情が激しく、変化しやすい性格。(Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988)
全体的に、『不滅』同様、晦渋な印象の曲だが、何回か聴くうちに味が出てきたり、愛着が湧くというタイプだろうか。ニールセンは、気質分類の中では何タイプだったのだろう?
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