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2008年2月 6日 (水)

ドラティのコダーイ、アバドのヤナーチェク

Dorati_hary_galanta_abbado_sinfonie コダーイ・ゾルタン(ゾルタン・コダーイ) 1882-1967
 組曲『ハーリ・ヤーノシュ』 (1926)
 ガランタ舞曲(1933)

 ドラティ・アンタル(アンタル・ドラティ)指揮フィルハーモニア・フンガリカ〔1973年9月、12月、西ドイツ、マール Marl〕

レオシュ・ヤナーチェク 1854-1928
 『シンフォニエッタ』(1926)
   クラウディオ・アバド指揮 ロンドン交響楽団〔1968年12月、ロンドン、キングズウェイホール〕

ヤナーチェクの「利口な女狐」を聴着直したら、これまであまり熱心に聴かずに放置していたアバドの「シンフォニエッタ」を聴きなおしてみようという気になり、聴き始めたところ、これがなかなかよろしいようだ。

第1楽章は、リファレンスのセルやクーベリックに比べると青空への抜けるようなファンファーレの明るさに乏しく感じるのだが、あまり目立たない第2、第3楽章を実に丁寧に音化しているのだ。また、1960年代末とは言え、デッカの録音はさすがに鮮明で、このようなフルオケの鳴りのよい音楽は特に面白く聴ける。アバドは、この後、ベルリンフィルと同曲を再録音しているといい、そちらの評判もいいと聞く。ただ、この曲に感じるローカルな郷愁めいたものは、クーベリックはもとよりセルに比べても非常に薄く、またフィナーレでのファンファーレの晴れやかさや切れも相当物足りないように思う。モラヴィアの自然と、イタリア人アバド、霧のロンドン交響楽団の縁は非常に薄いということもあるのだろう。

そういえば、小澤征爾も若い頃、シカゴ響のラヴィニア音楽祭の監督を務めていた頃、この「シンフォニエッタ」やバルトークの「オケ・コン」などをRCAに録音したように記憶するが、当時1960年代としては、ヤナーチェクやバルトーク、コダーイなどは比較的新鮮な存在だったのだろうか?

ところで、併録のコダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」は、ホームミュージック選集で、これと同じ音源の「ウィーンの音楽時計」だけが収録されていた関係で我が家の子ども達には親しく、特に弟の方がこれを好んでいた時期がある。よく、セルの「ハーリ・ヤーノシュ」の組曲盤のそれと聴き比べをして楽しんだものだが、この曲の演奏と録音に関しては、セルとしては存分に羽目を外しユーモラスさをアピールした演奏とは言え、ドラティの細やかな描写の方が私には楽しめるように感じる。因みにドラティはバルトークやコダーイに師事したこともある。同じハンガリー生まれでも、セルがヴィーン育ちでR.シュトラウスの薫陶を受けたというのと対照的である。

ガランタ舞曲は、コダーイが幼少期を過ごしたガランタという街(現在はチェコ領だという:柴田南雄『おしゃべり交響曲』より)のハンガリー・ジプシーの民謡に基づくものだという。よくCDなどのフィルアップ曲として見るのだが、聴いたのはこの盤が初めて。コダーイの達者なオーケストレーションにより、ブラームスやリストの同趣向曲より、洗練味が感じられる。フィルハーモニア・フンガリカは、ドラティとハイドンの交響曲全集を完成している団体だが、録音で聴く限り、どのパートも非常に安定しているように思う。現在はどうしているのだろうか?

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コメント

ハンガリー動乱の亡命者関係の二世など個人的にはお付き合いがあります。この団体もアデナウワーの肝入りでヴィーンからルール工業地帯に移されたとWIKIにあります。

数年前にも少し話題となったのは覚えていますが、創立メンバーが高齢化して、冷戦終了でその寿命を終えたようですね。

似たバンベルク交響楽団が新生化して行きながら地元の支援で生き長らえているのと事情が異なるようです。

ドラティーは、昔の巨匠とは異なりますがトレーナーとしても優れていたようで、数々の名録音を残していますね。

pfaelzerweinさん、コメントありがとうございます。

もはや亡命ハンガリー人を中心としたフィルハーモニア・フンガリカはその使命を終えたのですね。東西融和の時代でもあり、また同じくハイドンの交響曲全集を録音したオーストロ・ハンガリアン・ハイドン・オーケストラ(アダム・フィッシャー指揮)などは、まさに汎ヨーロッパ、かつてのハプスブルク文化圏の象徴なのかも知れないなとど考えが進みました。

バンベルク響は、チェコ在住のドイツ系の人たちによる楽団でしたか?私の妻の故郷が出身地のホルンの水野さんが在籍していたこともあり、「里帰り」公演で楽しませてもらいました。

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