2冊のクラシック入門書
3月19日は子どもの卒業式出席のため有給休暇を取得して出席してきた。非常に独特の個性を持った子どもなので、級友との付き合い、団体生活・行動等々、いろいろな心配はあったが、特に毎学年の担任の先生(毎年クラス替えがあり、6年間別の先生)のご指導のおかげで、何とかひどいいじめにも合わずに6年間を過ごすことができた。卒業式に列席し、長そうであっという間の6年間を回想すると、ビデオカメラで撮影しながらも時折ウルウルとしてしまった。これからは、そのような個性を矯めようとはせずに、マイペースで学習することのできる中学校へ進むことができることになったので、個性を生かして成長していってもらいたいと願っている。
昼過ぎに式も終り、少し雨模様の中帰宅後、久しぶりの週日の休日をのんびりと過ごした。昼寝も出来たので、風邪も大分治まってきた。
先日購入した樋口裕一『笑えるクラシック 不真面目な名曲案内』(幻冬社新書)は、ラ・フォル・ジュルネのアンバサダーを務める音楽愛好家の手になるもの。笑いを武器にいわゆる堅苦しいジャンルに切り込むものというと、宮田光雄『キリスト教と笑い』(岩波新書)を思い出させるが、名曲案内の方はより気楽にクラシック音楽に楽しんでもらおうという意図で書かれたもので、寝転んで読むのに最適な本だった。中ではラヴェルの『ボレロ』についての解説は、非常に納得のいくものだった。フランス音楽についての捉え方も鋭いと思った。また、リヒャルト・シュトラウスへの日本の一般的な音楽ファンの印象を踏まえての評価も、なるほどという感じをもった。前半は、このボレロを含んで、『第九』『英雄の生涯』『レニングラード』が詳細に論じられ、第2部は膨大な数のオペラが笑いをキーに紹介。第3部は思わず笑ってしまう名曲が列挙されていた。オーケストラ曲とオペラがほとんどだが、面白い視点からの名曲案内で結構啓蒙された。これからハイドンの交響曲第60番『うっかり者』を聴いてみたいと思う。まだ例の全集では聴いていない曲のようだ。
また、先日現役オーボエ奏者としては引退して指揮者・教育者として再スタートを切った宮本文昭『疾風怒涛のクラシック案内』(アスキー新書)も、入門書ではあるものの、特にドイツの一流放送オーケストラの首席を務めた名プレーヤーで、あのヘルムート・ヴィンシャーマンの弟子でもあるので、実際の音楽実践と、これからの指揮者としての抱負が混じった音楽案内も、結構興味深いものがあった。ただ、シューベルトの交響曲第2番のフィナーレへの妄想?は、改めて曲を聴きなおしたが、やはり妄想ではなかろうか? 交響曲第5番であのヴァントにしごかれた話も面白かった。こちらもオーケストラ曲とオペラを扱っているので、他のオーボエが活躍する室内楽曲についても書いて欲しいものだ。
「名曲案内」もいろいろ出ているが、やはり切り口が明快なものが面白いようだ。百科全書的にあれもこれもというとどうしてもくどくどしてしまうから。
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