レーザーターンテーブルというものについて
消え行くアナログレコードに新しい技術で再度光を当てる - ビジネススタイル - nikkei BPnet
このレーザーピックアップによるアナログレコードプレーヤーについては、相当以前何かで読んだ記憶があるのだが、改めて日経bpのサイトで連載されたものを読んでみると、相当興味を掻きたてられる。 ここに書かれたアナログレコードに刻まれた情報量の凄さについての記事は、以前自分が書いたLPレコードと昨今のディジタル音源から得られる音楽鑑賞の感激度の差に通じるものがあるように思われるからだ。
周波数特性上の問題だけなのか分からないが、ディジタル録音は、何か大切なものを削ぎ落としているのではないかと感じることがたまにある。ブラインドテストをしてみれば、そんなものは幻想だということにもなりかねないのだが。
検索すると、エルプ社のサイトが見つかった。本社(埼玉県)で試聴が可能とのこと。また、針再生とレーザー再生のデモCDも無料で入手できるというので、早速申し込んでみた。
また、ジェトロのページでもこんな紹介がされているところが面白い。
針を使わない完全非接触方式のレコード・プレーヤー<< 内容 >>究極:夢と情熱とテクノロジーの粋。レコードの音溝を全く痛めないプレーヤー。それは、世界中のオーディオファン、レコード音楽愛好家、文化財保存関係者、そして技術者達が夢にも見、切望したものでした(完全非接触方式)。その夢を日本では弊社が情熱と最先端技術で実現。音情報はアナログ信号処理により、空気感から余韻に至るまで限りなく原音に近いリアルな音質で再生可能にした光学式アナログ・レコード・プレーヤー“レーザー・ターンテーブル”。息吹:全世界で保存されているアナログ・レコードは300億枚とも400億枚ともいわれています。“レーザー・ターンテーブル”はこの貴重な文化遺産1枚1枚を後世に残し、なおかつ活用する事です。音溝に刻まれた芸術と文化を余すところなく半永久的に再生できる夢を実現し、人類の文化遺産に新しい息吹を吹きこみます。実証:ご愛用者から、絶賛の声が数多く寄せられています。そして、利用される施設や人々もいろいらな分野に広げっています。● 業務用としてジャズ喫茶、中古レコード店、録音会社、PCM放送局● 盤を痛めずに音楽を楽しみたいレコード音楽愛好家● 世界的に貴重な盤、針では再生出来ない盤を再生させたいレコード収集家● レコードを研究資料として半永久的に活用したり、レコード音楽を存続させ るための公共機関自在:トレーにレコードを乗せて、ボタンを押して下さい。あとはレーザー・ピックアップ方式とマイクロコンピュウター制御により、CDプレーヤーなみの使い易さです。頭だし、リピート再生、スキップ機能なども自由自在。全て液晶パネルに表示されますから、だれにでも簡単に使いこなせます。<< 参考価格 >>US$8000
英語版wikipedia にも記事があった。
相当高価なものだが、是非聴いてみたい。また、入手できる機会があるかは分からないが、運がよければ購入したいものの一つだ。
なお、レーザーターンテーブルで検索すると、このプレーヤーを使ってLP,SPなどを再生し、それをCD化するという商売をしている会社もあるようだ。そういうのを利用するのもいいかも知れない。
追記:2008/03/06
帰宅したら、クロネコメール便で、ELP社のパンフレットと試聴CDが届いていた。CDケースがA4の封筒にそのまま入れられていたので、荷扱いの荒さのためか、ケースの一部が割れていたが、中のCDは無傷だった。全部で60分ほど収録されていて、状態のよいLPのフルオーケストラのデモの後、傷ついたLPや反ったEP,割れたSP,磨耗したLPを針再生とレーザー再生したものがまず収録されていた。また、後半45分はいろいろなジャンルの音楽をレーザーターンテーブルで再生したものを収録していた。
特にSPの再生も見事に実在感のある音で鳴っているのは驚いた。針音がしない(おそらくELPで発売しているノイズリダクションを使っているのだろうが)のでまったく最近録音されたかのような生々しさだ。また、かつてLPでよく聴いた曲も収録されており、しばし懐かしさにひたれた。
ただ、不満のある再生の現行のCDプレーヤーとアンプ、スピーカーで聴くのだからあまり当てにはならないが、CDとして制作されたものより全体に元気がいい音になっているように感じた。
いつも使っているポータブルCDプレーヤーでヘッドフォンで聴いてみるとと、LPの再生時には微細な雑音(プチプチ)が残るようだが、チェロなどは指がネックに当たるような音まで聞こえ(たまたま同じ音源のCDを持っているがそこまでは聞こえない)びっくりした。また弦楽合奏では音場の広がり感やホールトーンもよく聞き取れる。ただ、この弦楽合奏のサンプルでは原盤に収録されている(と思われる)歪もそのまま色づけなく再生されるので、そのような録音では歪感のある音が少々聴きづらかったりもした。クラリネットと弦楽合奏の曲では、楽器の音色がCD再生よりもくっきり個性的に聞こえた。分解能も相当いいようだ。
元々LPは、それ自体癖のある様々なカートリッジの帯域特性を補うように調整されていると読んだことがあるので、ジャズのトリオなどでは、比較的低音が強めに再生されるようだ。女性ヴォーカルは、ヘッドフォンで聴くとと耳元でささやかれるような実在感があり、CD用にリマスタリングされたものの存在の希薄さとは一味違う。ロックグループのヴォーカルのハーモニーなどは、二人の声質の個性がよく聞き分けられ上のパートと下のパートがくっきり分かれながらハモッテいるのが聞き取れる。
なお、不要になったCDは返却くださいと書かれていたのには別の意味で驚いた。
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