臼井隆一郎『コーヒーが廻り世界史が廻る』
3/25から3/26にかけてココログ(フリー以外)がメンテナンスに入っていたため、投稿はフリーのサブブログの方にしたが、そのときに書いた中公新書を早くも読み終えた。
実に面白い本だった。1992年に初版というのだが、これまで背表紙も見た記憶がないので、逆に驚いている。ネットを検索すると、結構この本の感想や書評が見つかるので、それなりに有名な本ではあるようだ。
コーヒーの歴史が人類史の中でも比較的新しく、イスラム神秘主義が生みの親だとは知らなかった。それが、ヨーロッパでは修道院で意識を覚醒し、欲望を沈静させるということで、尊重されたという経緯があるようだ。そして、これがイギリスではコーヒーハウスにより有名なロイズの保険を生み出し、一方でその欲望沈静化作用を言い立てられた結果イギリスではコーヒーは廃れ紅茶が飲まれるようになったとか、フランスではカフェがフランス革命のゆりかごとなったり、ドイツでは市民革命の鬼子ファシズムを生んだりと、またその背景に西インド諸島、東アフリカでの植民地と黒人奴隷労働があるなど、コーヒーというカフェイン嗜好飲料がとてつもない働きを近代史の上で残しているということが読み物として面白く語られていた。副題の『近代市民社会の黒い血液』というのは、言い得て妙だと思った。
またイギリス人の支配、ドイツ人による官僚による匿名性の支配という図式(p.188前後)の提示は非常に面白いものがあった。
近著で、『パンとワインを巡り 神話が巡る』というのも出ているようだ。こちらにも興味がある。
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『コーヒーが廻り世界史が廻る』2007年15版を買いました。とても勉強になりました。
目次の次の表題紙には コーヒーがめぐり世界史がめぐる、
とルビがうってありますが、後ろの経歴や出版社名が書かれたページには
コーヒーがめぐり世界史がまわる、 とルビがうってあります。
投稿: 河野 真典 | 2013年4月14日 (日) 12:02
興味深いコメントをいただきありがとうございました。「まわる」と「めぐる」。微妙なニュアンスの違いがあるように感じますね。
私がPCにインストールしている、 Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988 では、
まわる(まはる)【回る・廻る】
めぐる【廻る・回る・巡る】 のように漢字があててありました。
コメントへのお礼が遅くなり申し訳ありませんでした。
投稿: 望 岳人 | 2013年6月25日 (火) 16:15