アシュケナージのショパン『バラード』『スケルツォ』
ショパン
バラード集
No.1 ト短調 Op.23, No.2 ヘ長調Op.38, No.3 変イ長調Op.47, No.4 ヘ短調 Op.52
スケルツォ集
No.1 ロ短調 Op.20, No.2 変ロ短調 Op.31, No.3 嬰ハ短調 Op.39, No.4 ホ長調 Op.54
アシュケナージ(ピアノ) 〔1975-1985年録音、場所は様々〕
このところアシュケナージとポリーニで交互にショパンを聴いているような形になっている。
個人的には、このバラードとスケルツォが、曲目として一番聞き応えを感じるショパン作品かも知れない。そうはいいながら、税込み定価が2,297円だった頃のロンドンベスト100所収のこのCDを購入してからは、バラード全曲やスケルツォ全曲が入った他のCDやディスクを購入してはいないので、聴き比べ的にはほとんど収穫がない。
スケルツォに関しては、エアチェック時代に、リヒテルの2番と4番(1977年録音)がたまたま上手に録音できたので、よくそれを聴いたものだった。そのほかオムニバス盤では、ホロヴィッツのバラード1番、スケルツォ1番(CBS)、スケルツォ3番(RCA、モノ)。ルービンシュタインのスケルツォ2番がある程度。
先日の『前奏曲集』『即興曲集』同様、ショパン全集の一環としての録音だが、それらと同じく、録音場所、録音時期は、それぞれの曲集の中でも相当違うようだ。初出CDでもないため、録音データはそう詳しくクレジットされていないが、録音場所も5箇所書かれている。なかでは、バラードの1,4 とスケルツォの1,2,4がディジタル録音となっているので、1980年代の録音になるのだろう。
このようにまとまった曲集は、一般的にはまとめて録音するのが普通だと思うが、特に作品番号順というわけでもないようで、どのようなコンセプトで全集を作ったものだろうか。ただ、プロデューサー、エンジニアも違うのに、アシュケナージの演奏であるということは、どの曲からも伝わってくるのが不思議だ。特に、バラードは、リズムにも形式にも縛られず、比較的自由に書かれた作品であり、アシュケナージの(結構個性的だと思う)解釈や癖もそれほど目立たず、説得力ある演奏として違和感を感じることなく味わえる。ベートーヴェンなどでは、結構技術的な粗が感じられるような気がするのだが、このバラードでは、アシュケナージの巧さを感じることが多い。
スケルツォは、バラードに比べると拍子や形式的な枠組みがあるので、ある基準的な枠組みをもって聴くこともあるし、リヒテルというリファレンスとの比較で聴くこともあるためか、いつものアシュケナージの明朗な楽天性が少し感じられるように思う。
ただ、そうは言っても、曲目といい演奏といいこのCDは聴き応えのあるものだ。
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