レオナルドのヴェッキオ宮殿の壁画が発見!?
日本テレビ 2008/4/29 19:00-20:54
ダイワハウススペシャル 天才ダ・ヴィンチ 伝説の巨大壁画発見!
フィレンツェのヴェッキオ宮殿の広間に描かれた後、失敗作として放棄されたと伝えられたレオナルドの『アンギアリの戦い』が隠されているのが発見されたらしい。アメリカのカリフォルニア大学のサンディエゴ校の工学博士でフィレンツェ出身のマウリツィオ・セラチーニによるとのこと。あの「画家伝」のヴァザーリが隠したらしい(ヴァザーリのフィレンツェの他の教会でもマザッチオの祭壇画を保存のためか?隠したらしい)。
ただ、またニッテレなので眉唾も必要かもしれない。例のたけしとアイルワースのモナリザを制作放映したのも日本テレビだったので。
BGMでは、レスピーギのローマの松や泉、メンデルスゾーンの『イタリア』などが用いられているが、これも何だかな。レスピーギなら「古風な舞曲」ではなかろうか?
追記:その後、ネットで検索してみると、例のNHK地球ドラマチックで2006年に既にセラチーニによる『アンギアリの戦い』の捜索が海外ドキュメンタリーとして放映されていたのに気が付いた。たけしの『もう一つのモナリザ』でもそうだったが、またもやニッテレによる「新発見」ものは、過去にマスコミが取り上げたもの(モナリザではニッテレが過去に取り上げたものだった!)のいわゆる「焼き直し」だった!?
『ダビンチ捜査官~消えた名画を追え!~』 2007年11月17日(土) 10:00~10:45
原題:The Da Vinci Detective
制作:Darlow Smithson Productions
とは言え、このような番組はついつい見てしまうのだから、私も懲りない。ただ、この番組で「新たに」新発見とは言っていなかったようだし、CGにより有名なルーベンスの模写の周囲の絵までも再現して、いわゆる完成版を復元して見せたのはこの番組の手柄なのだろうか?
ちなみにアンギアーリの闘い(La Battaglia di Anghiari, Battaglia d'Anghiari)の Anghiari の場所はGoogle mapで、Italy Anghiari で検索すると表示される。フィレンツェの東南東約65kmの地。ミラノからは300kmもある!
参考ページをいくつか探してみたら結構あった。
イタリア語:http://www.artive.arti.beniculturali.it/Disegni/Battaglia%20d'Anghiari/Frame%20Anghiari.htm
http://www.anghiari.it/italiano/s0/da4.htm
イタリア Nazione紙のサイトの記事 セラチーニのことが特集されている?2008年3月3日のものなのでまだ新しい。 La ricerca della 'Battaglia di Anghiari' raccontata in un documentario
英語: wikipedia 英語 セラチーニのことも記述されている( Possible recovery)
日本語: 不埒な天国 (フィレンツェ市在住の日本人の方らしい)
2005年06月23日 失われたダ・ヴィンチのフレスコ画を探す鍵
2007/10/30 数字で見るイタリアの常識・非常識 vol.226
今回の「発見」も2005年頃にも日本でも報道されていたらしい。
YouTube: Il mistero della Battaglia di Anghiari (2007) 短編ドキュメンタリー
p.s. フィレンツェは、新婚旅行のローマからのオプションの日帰りツアーだったが、ミケランジェロ広場、サン・ジョヴァンニ洗礼堂、サンタ・マリア・デル・フィオーレ、シニョーリア広場、このヴェッキオ宮殿、アカデミア美術館、サンタ・クローチェ教会、そして駆け足で回ったウフィッツィ美術館をみて回ることができた。アメリカ人の団体客と、日本人の女子学生たち、それに我々夫婦という構成のバスツアーで、ガイドさんは日本にも滞在したこともあり、長野オリンピックの前だったが長野のことも知っていた若い女性だった。英語、日本語、イタリア語を駆使して案内してくれた。当時はフィレンツェに関する予備知識がほとんどなかったので、帰国後様々なフィレンツェ関係の本を読み漁った。塩野七生『わが友マキアベリ』が面白かったし、和辻哲郎『イタリア古寺巡礼』も面白かった。実際に自分が体験した風景を思い浮かべながらそのような書籍を読むのは非常に面白いものだった。
なお、先日関口知宏のファーストジャパニーズ(FJ)という番組で日本人カバン職人がフィレンツェで独立して工房を開いたことを特集していたが、フィレンツェの裏町の石畳の風景が懐かしかった。
P.S. 「弐代目・青い日記帳」
にトラックバックさせてもらった。本館の BLUE HEAVEN も凄い美術サイトだ。
追記:2008/05/03
他の番組の関係で全部見れなかったため、ビデオ録画をしておいたが、ようやく今日の憲法記念日の休日に見ることができた。最初の方のモナリザの眉毛の復元は結構面白かった。これが最新の映像技術による発見。眉毛があるのとないのとではまったく印象が違う。ずっと若々しく見えた。これは何しろ、ラファエロの白黒の模写には眉毛があり、またいわゆるラファエロの円柱があるのだからそれなりの蓋然性はあるのだろう。色調の明度についての復元も面白い。例のアイルワースのモナリザには眉毛がなかったように見えるが、ルーヴルのモナリザに眉毛の跡があるというのが面白い。
次に、「最後の晩餐」に隠された音符について。これは,WIKIPEDIAの英語版からのリンクで、この番組で紹介された音楽家についての記事を読むことができ、その音楽家がREQUIEMのようだと言う音楽も聴くことができる(英語版)。ただ、手とパンに音符を当てはめるというのはあくまでもそのように読むこともできるという解釈の可能性の類で、偶然、左から音符を読むをそれらしい音楽に聞こえるというだけで、(これが音符だとして)和声的な書法と三拍子という見方は、15世紀末から16世紀初めに活躍したジョスカン・デプレなどの音楽の様式とは違うのではないかと思わせられた。なおその「曲調」からRequiem らしいというのもあまりにも「ロマンチック」な見方ではなかろうか?
暗号の「求めよ、されば与えられん」の発見は、画期的だったが、Masaccio の サンタ・マリア・ノヴェラ教会の三位一体の壁画がヴァザーリによって「なぜか?」隠されており、その隠し方がちょうど500人広間の壁画の隠し方と似ているということ。2008年の7月、8月には、電子的・原子的な透視のような手法で、現在のヴァザーリの壁画の裏にあると想定されている「アンギアリの戦い」が「見える」かも知れないという。復元については、各地に残るデッサンや下絵の原画(オックスフォードの Ashmolean Museum アシュモレアン美術館所蔵には驚かされた)そして日本にあるという彩色付きの模写から、それらしいものが提示されなかなか面白かった。
番組の作り方が日テレのこの種の番組的にチープだったが、「啓蒙的」な番組としては、私のような興味だけはある素人にはそれなりに面白かった。
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