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2008年5月27日 (火)

アニメ映画『アズールとアスマール』(ミシェル・オスロ監督)

一休している間に見た映画の話。

2007年?日本公開されたばかりのフランスのアニメーションのようで、DVDを妻が借りてきた。借りてきた本人も子ども達も、また私も内容をまったく知らず、またアニメーションのオープニングが子ども向けのいわゆる「つかみ」要素の少ないものだったため、妻は居眠り、子ども達は不平たらたらだった。

どうやら、ジブリミュージアムによる海外アニメの紹介シリーズの一本のようだ。

見ているうちに、非常に質の高い色彩表現に驚かされ、またアラブ風のエキゾチシズムにも魅了されていく。絵柄は、ヨーロッパのタペストリーを彷彿とさせる様式的な要素が強い。

子ども達も私も次第に引き込まれ、次第に物語は高潮していき、最後は予定調和的な大団円にいたり、カタルシスを得られた。

一言では言い切れないが、敢えてテーマを示せば、ヨーロッパとアラブ(北アフリカ)文化の対立と融合を寓話として描いたものだろう。

フランスと言えば、旧植民地の北アフリカや、中央アフリカから多くの移民が移住して来ているが、自らが招いたことであるのに、狭量な愛国主義者たちによる差別、宗教弾圧(ベールの禁止)の様相とそれに対する反発(暴動)が近年続いている。この映画はそれらに対するフランス内部からの意思表示の一つなのかも知れないとも思った。

特典映像では、一時期テレビCMもやっていたらしく、CFも収録されていたが、これまでまったく知らなかった。「キリクと魔女」という作品もこのオスロという監督の作品だといい、この名前は聞いたことがあったのだが、世界は広いと思った。日本的なアニメーションとは対極的で、その日本的なアニメーションの総本山のジブリがこれをリリースしているのもまた懐が広い。なお、アラブの小公女(リトルプリンセス)が登場するが、この日本語吹き替えがイメージ通りで、特典映像でオスロ監督も誉めていた。

追記:記事を書いた後で、ネットを検索したら、非常によくまとまっており、また私の感じ方に近い意見を発見した。『超映画批評』というページ 『アズールとアスマール』95点

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